無意識に自死を意識した日
自分の心を保つためには、アスペに負けないアスペ力も大切。
夫は日常生活に少しだけ支障をきたすアスペルガー症候群です。
2人の精神科医から病名を診断されたものの、本人に病識も自覚も全くありません。我が家はそんな夫と、夫から逆に発達障害を疑われ、定型発達と診断された私の2人暮らしです。
2018年11月現在、アスペルガー症候群という項目はアメリカ精神医学会による最新診断マニュアル(DSM-5)から削除されています。自閉症スペクトラムのひとつとして考えられていますが、旧名称のアスペルガー症候群という表記にしました。私の夫は、いわゆる大人の発達障害を抱える1人です。
※当記事シリーズでは「大人の発達障害(ASD・ADHD)」についての記述があります。2018年10月現在、アスペルガー症候群は自閉症スペクトラムに含まれます。また、その他諸症状についても個人的な意見の記載があります。ご了承ください。
質問に答えられない夫にイラつく妻
我が家のケースでは、夫と妻という関係です。配偶者や生活を共にするパートナーだけでなく、親や兄弟といった身近な存在を思い浮かべて読み進んでくださいね。
夫は手帳型スマホケースを使っています。数日前のことですが、スマホケースに真新しいQUOカードが入っている事に気がつきました。日常会話として、夫にこのような言葉を投げかけました。
「そのQUOカード、どうしたの?」
私の質問に込められた意味は「そのQUOカードは誰からか頂いたの?」という質問です。「どうしたの?」という曖昧な発言が悪かったのだと思います。
夫は少しだけにやにやした表情を浮かべ、返ってきた答えは、
「QUOカードは、QUOカードだよ。」
うん……QUOカードは分かるんだよ……。
そうじゃなくってさ。
誰かからの頂き物なの? それとも自分で購入したの?
そんな感じの日常会話だよ……。
さあ、1人2役で声に出して読んでみてください。
妻「そのQUOカード、どうしたの?」
夫「QUOカードは、QUOカードだよ。」
……これ、成人済み男女の日常会話です。
日本語の会話として成立していますか?
結局QUOカードについて「誰かから頂いたものですか?」と聞けば「はい、そうです。」のように答えました。定型発達同士での会話例を挙げると、
妻「そのQUOカード、どうしたの?」
夫「会社でもらった。」
上記のようなやりとりで終わる会話が終わりません。
本当に謎ですが、会話にならない!!
アスペルガー症候群の特徴に、周囲とのコミュニケーションが苦手という症状が挙げられます。本人に苦手意識があれば良いのですが、我が家のケースでは本人は無自覚。人を傷つけていたり、会話のキャッチボールが出来ず相手が困ってしまったり、イラッとさせてしまっている現実を理解出来ていない模様です。
1人外出中に自分がヤバいと思った日
夫との生活で、少しずつ私自身の身体が見えない何かに蝕まれている感覚がありました。元々持病があり、障害者認定も受けています。1人で療養していたときは日常生活にあまり支障なかったけれど、夫との生活で病状が悪化。
ストレスがたまるのは致し方ないと思うので、1人で外出してストレス発散していました。
今年の10月某日、定期通院の病院帰りのこと。妙な身体の疲れを感じ、駅までの道のりの途中にある川沿いのベンチに座っていました。確かベンチに座ったのが11時前頃。
ただただぼーっと水量が減っている川を眺めながら「ああ、今ここで飛び込めば、全身に大きな怪我が出来るかな。打ち所が悪ければ、命を引き取ることが出来るかな。」そんなことを真顔で考えていました。
確か11時前にベンチに座ったはずですが「こんなことを考えちゃいけない!!自立しよう!!今の生活に耐えられなくなったら離婚すればいいんだ!!」と我に返ったのは16時過ぎ。昼も食べず、ただただ無心で5時間ほど川沿いのベンチに座り込んでいたようです……。
夫との生活で日常会話がままならず、どこかで「私が悪いのかな」と自責していたんだと思います。結果「私が死を選べば良いんだ」と精神的に追い込まれた状態に陥っていました。とても危険な兆候ですよね。
「私は川に飛び込んで死のうとしました。」と夫に伝えた日
上記出来事があり、当日帰宅した夫に対しストレートに伝えました。
「今日の病院帰りだけどね。」
「●●駅の近くの川に飛び込んで死のうと考えていました。」
「気がついたら、川辺で5時間経過していました。」
夫からの返答は「どうしてそういうことを言うの?」でした。
「どうしてそういうことを言うの?」
この言葉に込められた意味をゆっくり夫から聞くと、
・仕事から帰ったタイミングで言われても困る
・勝手に死なれては困る
・夫自身や夫の周囲に迷惑がかかるから困る
・自死されると私の親兄姉から夫が責められるから困る
・世間的に夫自身が困る
等、困る理由は挙げられるんです。
ええ、わかりますとも。困りますよね。いきなり配偶者が自死を選べば。
でもね、この理由を聞いて、私はなおさら悲しい気持ちになりました。
夫の感情やすぐに出てくる言葉の中には、身近な愛する人がいなくなって悲しい!困る!!という感情を持ち合わせていないようです。
愛情をはかりたかった訳じゃない。心配してほしかったわけじゃない。
ただただ今のままでは、私の感情も身体も限界を迎えてしまう。
夫にそのことを伝えても「いやでも実際起きて生活出来てるじゃん」と言われました。夫よ、そういう事じゃないんだよ……。
私たち夫婦は、周囲から見ると、決して仲が悪いようには見えないでしょう。実際に仲が悪いと夫は思っていませんし、私も思ってはいません。
身近な人間とコミュニケーションが適切にとれないことが、とてもつらく悲しいのだと気がつきました。
人間が生きていく上で、衣食住は大切です。生きていく上で必ず必要な金銭も大切です。適切な医療行為も大切ですし、知識を蓄えるために学ぶことも大切です。
大切なことはたくさんありますが、何よりも大切なのは健康な身体と心だと思います。
離婚は2人が歩み寄って生きていけないと判断したときに出すカードと思うんです。
自分の人生は自分のもの。
夫の特性を理解し、生きていくのか。子供はどうするのか。別々の道を歩むのか。
数多く選択肢があるなかで、最終的にどの道を私自身が決断して選ぶのか、最後まで見届けて頂ければ幸いです。
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