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【社長インタビュー第2弾!】地域貢献を軸にしながら観光業界に変化をもたらす社長に、起業志望の学生が取材してきました!

こんにちは!しお@27卒です!
今回はランドオペレーターの立場からインバウンド向けに東北の魅力を伝えている和楽旅行社の代表取締役である阿部素子さんにインタビューしてきました!
阿部さんのぶれない姿勢と地域貢献の熱い思い、原動力について、伝えられたらと思います!

※ランドオペレーターとは旅行会社の依頼を受け、旅行先のホテルやレストラン、ガイドやバス・鉄道などの手配・予約を専門に行う会社のこと

今回インタビューさせていただいた社長のプロフィール
阿部素子
和楽旅行社 代表取締役
会社HP↓

和楽旅行社 代表取締役 阿部素子

起業に至るまで

ーご自身の経歴について教えてください
 
 日中友好の架け橋になりたいという思いがあり、中国から日本に渡って東北の専門学校の通訳コースで勉強をしていました。
 そこを卒業してから、そこで学んだことと全く関係のない会社で働きはじめました。
 もちろん仕事仲間と仲良く働いていたのですが、この仕事は「中国人である私じゃなくてもいいよな」という気持ちがわいてきて、やりがいが全く感じられなくなっていしまったんです。
 そして自分が産休に入るタイミングだったこともこともあり、あえて産休を取らずに退職する決断をしました。
 その後は、通訳の勉強をしていた母校からのお誘いを受けて、留学生のサポートをする仕事につきました。
 そんな中、2011年に東日本大震災がありました。ちょうど私は2人目の子供の産休から戻るタイミングだったのですが、震災の影響で留学生の来日が止まってしまい、これまでのようには働けないと職場から伝えられました。その条件では自分がこのまま働くイメージがつかず退職を決めました。
 
 その時、ちょうどJTBの求人広告を見つけて、締め切りは過ぎていたのですが思い切って連絡して何とか採用していただきました。
 JTBの国際旅行部に配属になり、そこで、今の仕事でもあるインバウンドの手配をスタートしました。しかし、約7年間働いたところで部署の閉鎖が決まり、退職いたしました。その後、震災の時に良くしてくれた周りの方に恩返ししたいという気持ちがあり、勇気を振りしぼって和楽旅行社を立ち上げました。 

ランドオペレーターの課題

 会社を立ち上げてから、ランドオペレーターが黒子のような存在になっていることに気づきました。
 旅行者が依頼するのは旅行会社で、その旅行会社が交通や宿泊の手配など諸々をランドオペレーターに依頼するのですが、ランドオペレーターが表舞台に出ることはありませんでした。
 その結果ランドオペレーターの存在は薄いものとなり、旅行会社と宿泊業者や交通業界などの人たちとの直接取引が始まります。我々ランドオペレーターの存在が必要とされていなくなってきたのです。その理由は、ただ旅行会社から言われた通りに業務を行うような受け身の姿勢にあったと思います。
 そこで、自ら発信力のあるランドオペレーターになろうと考えました。旅行会社の方も知らないような各地の魅力を知っていたり、彼らが手配できないようなことができたりと、ランドオペレーターとしての自社の価値を高めようとした訳です。まずはfacebookを使って行政や日本に住む人向けに発信を始めました。
 さらに、中国や様々な国に行ったときにエンドユーザー(旅行客)が東北の魅力をほとんど知らないことに気づきました。東北旅行をいくら提案しても選ばれないんです。どうしたら選ばれる東北になるかを考えました。
 そこで、instagramや中国でシェアがあるWeiboを活用しはじめました。東北の知名度を上げてユーザー側から行きたいと思ってもらう。そして、ランドオペレーター側から旅行会社に旅行者のニーズを基にした旅行プランを提案するという状態を実現しました。
 
ー流れが逆になってますね。発信力によって受け身の状態を変化させてるんですね。
 

仲間との出会い

 復興庁の事業がきっかけで仲間に出会いました。私は中華圏が専門なんですけど、仲間はタイが専門の人と韓国が専門の人。そうするとお互い同士の競争が生まれないのです。 どこも被ることがないので共業できる。何よりも皆が揃って東北に対して恩返ししたい、よくしていきたいという熱い気持ちをもっていて、「これってミラクルだよね」と話していたのですが、それじゃ、「ミラクル会だね」と言って、最初はただ名前が先行していたのですが、気づいたらいろんな連携事業ができていました。

和楽旅行社の強み

 自社が違うのは、お金が第一ではないということです。もちろん事業を継続するためには利益がなければなりませんが、それよりも、まずはそれぞれの地域のために何ができるかということが大切だと思ってます。
 コロナ禍の3年間、ビジネスとしと厳しくなると、休業したり他業種に切り替えるランドオペレーターがいる中で、苦しい中にもなんとか頑張って耐えてきました。
 そのようなことがあって、例えば行政からの信頼も厚くなり、私達の存在価値が上がったと考えています。
 仕事の依頼は、まずは地域のためになるかどうかを先に考え、次に利益がでるかどうかも考えて、どっちもダメなら絶対しないという方針を貫いてきました。そのような訳で弊社はしないと決めていることも多くあります。
 社長である私自身もポリシーを持ち、そのポリシーに従ってしないことを決めることも多くあり、私はそのポリシーを持つことがすごく大切な事だと思っています。
 例えば、先程のように地域のためになるかどうかとか、仲間の専門分野には手を出さないとか、しないことも多いんですね。
 
ー会社の方針がぶれないのは、阿部社長が大事にしているポリシーの影響なんですね。

信念はあるか

ー私が起業したいというときに仲間が欲しいと思いますが、なかなか同じ志を持った人を見つけることができないです。どうやって仲間と出会ったのか教えてください。
 
ちょっと説教じみてしまうのですが、
 
ーお願いします
 
 西遊記のお話をさせてください。三蔵法師は最初1人だったんです。誰がついてこなくても自分は天竺に行くんだという信念を持ってました。
 途中で白馬に出会い、次に孫悟空と出会いました。道中で出会った人が同じ志で仲間になりました。でも仮に孫悟空が一緒に行かないからといって三蔵法師は天竺に行くという目標を諦めなかったはずです。
 何を言いたいかというと、まず自分自身なんです。まずは自分が歩んでみるんです。そして、その途中で同じ志の人が集まってくるんです。
 最初から仲間を探していても始まりません。自分がぶれないと言う姿勢があって、自分だけでもやりぬく強い意思を持たないと良い仲間には出会えません。
 途中でいろいろな人と出会って、その中で考え方が一致して仲間になる人がいるという感じですね。
 ですから、最初に仲間を探してからやろうというところが間違いだと思います。誰がいなくても自分がやるんだという意思がすごく大事だと思います。
 三蔵法師は強力なリーダーシップを持ち合わせていませんでしたが、この人の唯一素晴らしいものはブレない信念なんです。そしてその信念の下に能力ある人が集まり、一緒に事を成した訳です。
 ですから、経営者はすごく頭がいい必要はないのです。経営者にブレない信念さえあれば、あとは有能な人に来てもらってやればいいと思います。
 
ーそうですね。私はできないことが多いのを何とかしたいと思っていましたが、1人で全部やる必要ないですよね。
 

阿部さんの原動力

ー阿部さんの原動力は何ですか?
 旅行業界を変えたいという気持ちや理不尽なことを変えたいという気持ちですかね。旅行業における、海外旅行者→旅行会社→ランドオペレーター→交通手配や宿泊会社という正しい生態系をもう一度構築したいと思っています。
 
ーなぜその生態系が大事になるのでしょうか?
 
 例えば直接旅行会社が交通も食事も手配しました。土地勘がないために、実際に行った時に移動が思うようにいかず、食事の時間が過ぎてしまったりするかもしれません。
 また段取りが悪い行程表を作成してしまうと、「やたらバスで移動している時間が長いよね」と思われてしまうかもしれません。
 お客様に、東北は思ったより広く、どうせあちこちを見て回れないのだと思われてしまっては、東北のファンになっていただけないんです。
 だから私たちの会社は、お客さんが東北のファンになって頂けるように協力してくれるエージェントとお付き合いしたいし、そこのエージェントのお客さんがファンになれるように私たちもサポートしたいと考えています。
 私たちにとって地域貢献というのはまさに東北のファン作りです。それにはややはり有能なラドオペレーターという存在が必要なのです。
 
ー阿部さんの持っている旅行業界を変えたいという気持ちはいつから持っていますか?
 
 独立してからです。JTBという大手企業の中では流れ作業みたいなことが多くて全体的に会社のことを考えなかったんです。でも、経営というのは全体を見て行動していくことが必要です。
 独立してから考えた時、業界全体が良くならないまま、自社だけが良くなることはないと気づきました。
 例えば、廃れてる温泉街で、一つの会社だけすごく儲かるという旅館やホテルは考えられません。まず温泉街が知名度があり、魅力があって、それから旅館やホテルが盛り上がります。
 なので、業界の環境が良くないと、その中で一つの会社としてどんなに頑張ったとしても儲らないし、地域貢献もできません。だから将来的に地域に貢献し、さらに儲かることできる会社になるには、やっぱり業界全体の環境をまずよくしていかなければならないのです。
 

観光業に進もうと決めたのはいつ?


ー観光業に進もうと決めたのはいつだったんですか?
 
 JTBに入った時です。その時は中国語を生かしたいっていう気持ちだけでJTBに入りました。そもそも中国から日本に来る時は、日本が大好きだし、日本へ留学して将来的には日中の架け橋になりたいという目標があったんですね。
 でも、架け橋と言っても漠然としていて何をやればいいのかわかってなかったのです。ただやはり自分の得意は中国語と日本語が話せると言うことで、これを生かして何かをやりたいとは思っていました。
 観光業に入りたいから入ってるわけじゃなくて、たまたまそれが中国語を使うという仕事だからはじめたのです。ですから、他の業界もあったかもしれないのですが、たまたまその時のタイミングで旅行業の求人を見たからなので全部たまたまですね。
 
ー自分が中国語と日本語を話せることを活かしたいということが軸になっているんですね
 

唯一無二の存在になれ


 今では自社はこのランドオペレーターの中で異彩を放っています。先程言った発信力のランドオペレーターとしてです。私自身もなんでもできるわけじゃないんですけど、一応カメラを使って写真撮影も、また通訳もできます。ですから、本来であればインフルエンサーが来た時にはカメラマンも通訳も添乗員もつけなければならないのですが、この3人分の仕事を私はマルチにできます。
 この分野において唯一無二の存在って何をすればいいのかって考えるべきだと思っています。全然完璧な存在じゃなくていいんです。
 
ー自分が唯一無二になれることって思いつかないです。
 
 自己分析してみてください。欠点がない人はいないから、欠点は置いておき、まずは自分の長所を見つけてください。1個、2個しかなくていいのでそれを伸ばすしかありません。
 

学生へメッセージ

 
ー自分のやりたいことを実現したいと思ってる学生に何かメッセージがあればいただきたいです!
 
 現在の授業にしても、将来仕事をするにしても、自分が楽しいことをまずやって欲しいし、何よりも自分自身の価値を高めることに重点を置いてほしいと思います。長所を伸ばして、どんどんマルチな人間になることを意識して頑張ってほしいなと思います。自分への投資が何よりも大事です。
 
ー学生が起業したいと思ったときにノウハウや経験が社会人より少ないので、最近学生でできることは何だろうかって考えてしまいます。
 
 何をやりたいかじゃないですか。学生だからというのがダメという訳ではないと思います。むしろそれを生かした方が良いです。学生だから、固定概念がない新鮮な考え方をもって、どんなものになるかが大事なんじゃないですか。
 これにニーズがあるか、誰に対して発信して、誰に対して売るのか、その人たちに響くような学生の発想とはなんなのかということを考えるべきだと思います。
 
ーそうですね。もっと頭を柔らかくして考えようと思いました。
 

インタビューを終えて


 今回のインタビューを通して、自分の信念を持つことが大切だと思いました。阿部さんがぶれないこと自体が強みだとおっしゃっていて、確かにそうだなと納得しました。ぶれない信念を持つということは言葉で言うより難しいことだと思っていますが、阿部さんとお会いして自分も実践しようと思えました。
 また仲間が欲しいと相談した際の「自分が一人でもやると思っていればおのずといい仲間ができてくるもので仲間ができなくてもやらないと」という言葉にはっとしました。自分がやらないことの言い訳にしてしまっていることに気づきました。
 そして、学生にスキルやノウハウがないことは当たり前で学生の発想というもの自体が強みであると知って、自分は変に難しく考えていたんだなと思いました。
 阿部さんが地域の信頼を得て会社を成長させている要因は、自分の目的や信念からぶれないことだと感じました。自分がこれからどんなマインドで進んでいけばいいか知ることができました!
 自分のような学生の方にも参考になっていたら嬉しいです!
 


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