[書評][栞]ちゃんと上司と話してる?部下として上司をうまく使う方法「3分間コーチ」

現場までの車移動の車内、到着まであと40分、上司・コーチとふたりきり。仕事上では信頼できるけど、趣味が似てるわけでもなく共通の話題は乏しい。むこうから話を振ってくるようなタイプでもない、、、、

そんなときあなたならどうする?

私の場合、その日のお仕事の話して、飽きたら寝ちゃうんですが、よくよく考えれば日々の悩みを聞いてもらえる良い時間なんですよね・・・

コーチ・上司とお話をする時間がちょっとできた、って時にどんな話をする、振るのがいいのかな?ということを考えていて行きついたのがこの本である。

3分間コーチ ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術(著:伊藤守 ディスカバー・トゥエンティワン刊)

会社の管理職向けのコーチ研修で、使われているらしいと聞いていた。また、ツイッターでこんなツイートを見て以降、

"上司はどんな動きを部下に求めているのかなぁ?"ということを知りたくて、ビジネス書の中でも「部下の使い方」的な、部下の管理が求められる人向けのものをちょくちょく読むようにしていたのでいい機会だと思って読んでみた。

年功序列や権威を根拠にした「教育・指導」が若者に対する効果を持たなくなっている昨今、マネジャー、指導者にとって「コーチング」という手法が重要になってきている。しかし、多くの人が自分にもノルマを課された「プレイングマネジャー」であり、部下に構う時間を長くは持てない・・・
時間の無い中、それでも効果的に部下をコーチングしていく手法として開発されたのがこの「3分間コーチ」である。

本書のタイトルにも「世界一シンプルなマネジメント術」とあるように、「3分間コーチ」のやり方は非常に簡単である。

"三分の時間をその人のためにとる。ついでではなく、その人と話すという目的をもってつくる"(p.25)

次に

”同じように、部下について考える時間をつくる。この二つの時間はお互いに連動しています。”(p.36)

以上のサイクルを習慣的に繰り返す努力をするだけだ。仕事の手を止めさせないon goingな内容で話しかけ、三分間必ず話す。スムーズに話しかけることが出来るようになるには、彼との会話をどうするか考える時間が必然的に生まれてくる。この二つのサイクルを継続していけば自ずと彼の人となり、仕事の仕方、迷い、希望、求めているものなどが見えてくるはずだ・・・

「いや、そりゃそうだけど、それがなかなかできないんだよね・・・」というようなやり方ではある。全205ページもあるが、手法のキモは40ページまでに書かれているので、以後は
「どういうタイミングで声をかければいいか」「どういった言葉をかければいいのか」「なぜ部下は黙ってしまうのか」
などの補足的な内容となっている。

確かに、適切なタイミングで上司がちょっとでも声をかけてくれて、短いブレスト的な会話ができる、仕事に対する示唆をもらえる、となれば、そりゃ仕事の効率は良くなりそうなものである。現にこの本は、いかに部下が助けを求めているときに声をかけるのか、というところを大事にしている。

しかし、

「コーチたるもの、コーチングを必要としている部下の悩みに対して適切な道を示せる実力くらいは持ってるよね?」

という非常に難しい暗黙の前提に立っている点が厳しいなぁ・・・部下が分らないところは上司も悩むところだよなぁ・・・と思う点でもあるのだが、お互いが分らない、道が見えていない、ということさえ共有できない場合もあるのだろうから、コーチも部下もうまく3分間を使おう!という意識を持つのが重要なのだろう。

コーチのほうから声をかけてくれないのならば、自分からコーチのもとに、毎日数分でいいからお話をしに行く、自らコーチを使う、というのがよいのだろう。それに応えてくれるコーチである必要があるのだけどね・・・

部下の育成とかマネジメントに興味のない上司に対しては響かない本なのだろうなぁ・・・マネジメントされることにはあまり期待せず、自分で周りにある資源をうまく使う方法を覚えよう!そっちのがきっと早いし効果的だよね。

そのためにも、お仕事の話でもなんでも、相互理解を深めるためにどんな話をしようかな、と考えながらレンタカー屋にむかうようにしよう、と思ったのであった。

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