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2024年以降の松本山雅FCを予想してみる

松本山雅FCの2019シーズンはJ1のステージでした。しかし1年で降格し、2020シーズンはJ2でしたが新型コロナウイルスが猛威をふるいJ2 13位。2021シーズンはコロナ禍が明けないままJ2 最下位でJ3に降格。2022シーズンはコロナ禍による制限が徐々に緩和しつつも J3 4位、 勝点差1で昇格を逃す。2023シーズンは5月に新型コロナウイルスが5類へ移行し観戦時の制限が解除されるも昇格争いすら絡めずJ3 9位で終了。

出てしまった結果は受け入れないといけないのですが、ではこの5年で、いやむしろ山雅がJ2で闘い始めた2012年からのデータをいま一度見直し、そもそもコロナ禍は関係なかったのではないかと思うようになってきました。

というのも、2023シーズンの結果を受けて自分はこのような感想を持ったんですね。

そもそも今の山雅は
誰がやってもうまくいかないようになっているのではないか


属人化と標準化

これは決して今頑張っているみなさんができていないんだということではなく、これまでやってきた仕組みに無理があったのではないか。特定の人たちだけで山雅という組織が動かされてきたのではないか、つまり属人化が進んできた結果なのではないでしょうか。

属人化とは、特定業務に関する手順や状況などの情報が作業担当者しか把握できておらず、周囲に共有されていない状態を指します。「担当者の違いにより製品の品質に差が生じる」「担当者不在で対応方法がわからない」などは、属人化が引き起こすトラブルの典型例です。属人化は業務の再現性を損なってしまうため、持続可能な企業経営を妨げます。

2019年から2023年までの5シーズンで山雅のトップチームの監督は5人ついてきたわけですが、なぜそのようになってきたのでしょうか。
そりゃ監督の力不足だろ、経営陣が力のある監督を連れてこないからだろと思う人が多いかもしれません。しかし、自分は上記のようにこう考えました。

そもそも今の山雅は
誰がやってもうまくいかないようになっているのではないか

それはこれまでの仕組みの問題であったり上記の属人化もあると思います。
それにこの5年でうまくいかなかったということは人を疑うのではなく仕組みを疑うほうが良いのではないかと思ったんですね。
それもそのはず、年を追うごとに悪くなっている、現状維持ですらできなくなっていることを考えればこれまでが属人化だったのかなと疑われてもおかしくないと思うのです。
今の山雅は誰かが抜けたら組織全体もうまくいかなくなる仕組みになっているように感じます。ピッチ上が一番わかりやすい例でしたよね。
誰か1人欠場しただけでチームとして全く機能しなくなる。
これはチームだけでなく一般の組織や会社にも当てはまります。
自分がお勤めの会社や属している組織でもないでしょうか。だれか一人がとんでもない業務を抱えていてその人がいなくなったら組織が機能しなくなる。そしてその人はほかの人に自分の業務を任せようとせずに抱え込んでしまい、自分がいなくなったらみんなが困ると思いこんでいる。
まさにそれです。属人化の悪い例ですね。
それを解消するために。属人化の対義語は標準化です。
つまり、誰が抜けてもそれなりの結果が出せるような組織作りです。
そこに監督や選手個人の力が加わることで組織として最大の力が発揮できるわけです。
今の山雅は属人化でしょうか?標準化できているでしょうか?

どんなに頑張っても儲からない仕組み

次に目を付けたのが毎年Jリーグで公表している決算情報です。

このなかでひとつ疑問が沸いたんですね。

山雅はどんなに人が入っても
会社が儲からない仕組みになっているのではないか

なので、オフィシャルのデータも参考にしながらJリーグに上がった2012年からJ3に降格した2022年の損益計算を比較してみることにしました。
※2023年シーズンはまだ公表されていないため除外

すると興味深いデータが出てきました。
まずは山雅の売上の推移です。
これで年ごとのクラブの規模(大きさ)がわかります。

続いてその売上の内訳を見てみましょう。

そのうち入場料収入を見てみます。
いままで私たちは1試合平均観客動員数ばかり着目してきましたが、今回は総動員数、つまりリーグ戦のホーム全試合で何人来たかという数字を使います。
ここでは入場料収入を総動員数で割り算すると1試合のひとりあたりの入場料(チケット代金)を、入場料収入に物販収入を足しそれを総動員数で割り算すると1試合のひとりあたりの客単価を計算します。

リーグ戦ホーム1試合1人あたりの入場料
=入場料収入÷総動員数
リーグ戦ホーム1試合1人あたりの客単価
=(入場料収入+物販収入)÷総動員数

コロナ禍で入場者数を規制していた2020、2021は数字がバグっているのがわかります。
しかし、それ以外の年をみてどうでしょうか。
個人的に思ったのは1試合ひとりあたりの入場料がホーム自由席の値段を下回っている、おおよそシーズンパスのホーム自由席の1試合あたりの値段だと思ったんですね。つまり安すぎると。
なんでグレードの高いSS席、S席、A席、ピッチサイド、B席がありながら1人あたり1試合で2,000円も払っていなかったのでしょうか。
おかしいのはJ1に昇格した2014年はひとりあたり1,103円2018年はひとりあたり1,803円しか払っていないのにJ1へ昇格しているのです。笑
おかしいですよね?試合後の勝利の打ち上げの方がお金使っているんですよ。なんでこんな格安な値段で2度もJ1昇格してきたんだとサポーターは胸を張ってきたのでしょうか笑
いやいや、これは招待券も含まれているし山雅の招待券はスポンサーさんが出してくれているからそれはスポンサー収入に含まれているんだよと思うかもしれません。たしかにスポンサー各社さんにも招待券は割り当てられているし、子ども夢招待券はスポンサー各社さんがお金を出して小中学生を招待しているという点もあります。
しかし、だからこそ客単価を上げないと儲かるわけがないですよね。
これこそまさにアルウィンは2万人入るという洗脳から来ていると思うのです。

これはあくまで私の勝手な想像なのですが、アルウィンに2万人入るんだから入場料を据え置いても客席の人数増やそうと。それか、ある程度の入場料収入超えたらより客席の人数を増やすためにあとは招待券でスタンドを埋めてしまおうと。
もしこの想像が当てはまるとなると今につながるわけです。
なぜなら、招待で来ていたおよび割安で来ていた客はカテゴリー落としたら通常の料金払って来てくれることがないんですよ。

となると、自分たちがコロナ禍が明けたら客が戻ってくるという考えがそもそも大間違いだったわけです。なぜなら、戻ってくる以前にそもそもいなかったということですから。招待や割安で埋めていた幻だったわけです。

いや、ちょっと待ていと。
そんな割安でできていたんなら今それよりもお金払っているわけだし、なんで今のほうができていないんだと思われるかもしれません。たしかに今のほうが入場料収入はしっかり取れていると見えるし、それに物価も2012年から比べると上がっているので一概に比較はできないかもしれません。
でも、それこそまさに属人化だったと思うのです。
逆になんで1試合あたり1,100円しか払っていなかったのにJ1行けたと勘違いしていたんですか笑、どう考えても誰かが何かを犠牲にしていたからJ1に行けたとしか考えられなくて、それがまさに属人化なんですよ。
2018年だって総入場者数が前年の2017年と比較したら約24,000人も増えているのに入場料収入はというと約900万円しか増えてないわけで、その増えた約24,000人は1人あたり375円しか払ってないんですよ。
そんな格安で来ていた人たちがカテゴリー落とした上にホーム自由席の定価2,300円のチケットを買って来ると思いますか?って話だと思うんです。
1試合平均の入場者数ばかりを気にしていてこういった数字を見破ることができなかったわけだし、自分がやっとこの数字のトリックに気づくことができたわけで、そりゃこのままいけばカテゴリーを落としたのはコロナのせいだ、カテゴリーを落としたから客が減ったと言いくるめられそうになってました。
そもそもですがチームが弱くて客もスポンサーも離れるなら、それは山雅にお金を出しているのではなく今いるカテゴリーにしか価値が無いと言っているようなものです。
それに客が入っていたのはホーム自由席より安い値段で観戦していた、もしくは各種招待券の力で観客数を増やしていただけだったということです。

山雅はこれまでサポーターの力で、満員のアルウィンの力で選手を後押ししてきたと言われてきていました。
しかし損益計算をみるとどう考えてもピッチが結果を出してきたから客が増えてきたという逆転現象だったわけです。なぜなら入場料収入が入場者数のわりに低く、ピッチの結果が伴ったあとに増えているからです。
入場料収入が増えたからピッチの結果も良くなったということがないのです。

ただ、自分はこれをポジティブにとらえています。なぜなら2019年は異常なくらいに加熱していたからです。
迷惑駐車は頻繁に起こるし入場列も何日も前から待機するし、人が多ければそれに比例してトラブルも起きやすくなりますが、ただそんなことで揉めるの?ってことも少なからずありました。アルウィンのクソ狭い座席の1席をめぐって揉めるとかもありましたね。
もう完全に沸騰状態だったわけです。ああ、これは長くは続かないなと。

そこにコロナが襲ってきて沸騰していたものが完全に冷めたわけです。
それを大きく反映しているのがシーズンパスの数ですね。

2019(J1)10,437
2020(J2)8,362
2021(J2)5,839
2022(J3)5,594
2023(J3)5,119(ホーム9試合終了時点)

2019年から2020年は2,075枚減らしまだJ1から降格したので仕方ないとみていたんですが、その翌年の2020年から2021年はカテゴリーが同じであるにもかかわらずそれよりさらに多い2,523枚減らしてしまったわけです。
ここで一回棚卸が起きたわけです。なぜならピッチの結果で増やしてきた動員なのでこんな勝てないクラブに金は出せないなと見切られてしまったわけです。
でもこの現象を私たちはコロナが明けたら戻ってくると勘違いしてしまい、結果的にここで胡坐をかいてしまったのです。
しかし、入場料収入の柱は間違いなくシーズンパスです。
その柱を2年で4,598枚も削ってしまえばそりゃ収益に影響出るし、選手人件費にも影響が出るのは当然です。J3降格するのも当然じゃないですか笑
2年で4,598枚もシーパス未更新でありながらサポーターの力でJ2残留を、とかどう考えても無理な話だったのです。そう考えるとJ3に落ちるのは必然でしたし、もしJ2に残留していたら結局また属人化になっていたわけです。

ただようやく日常に戻りつつある中で、山雅はようやく標準化に向けて動き出せるいい機会になったと思います。
カテゴリーでしか応援していなかった、山雅を使って自分が優位になってやろうとたくらんでいた人たちが去り、本当に応援したい人たちが残ったわけですから、これが本当の身の丈経営になると思ってます。

私が山雅に求めるもの

もう特にないです。笑
というのも期待していないわけではなく、属人化で大きくなってしまったので、再び大きくなるにはまた属人化で誰かに負担を押し付けて無理してやるか、標準化して組織を立て直してみんなでしっかり積み上げていくしか方法がないんですよね。
で、自分は松本にJクラブがある価値というのをもう一度見つめなおすことにし、とにかくクラブが存続し続けることに注力をしたいと思っております。
なのでそのためにはお金が絶対で、今後はSS席のシーパスでクラブのサポートをしていきます。
それに今後はスタジアムに行くことだけが応援のすべてではないと題し、スタジアムに行けなくても応援して良いんだという文化を作りたいと思います。
そんなの当然ですよね。大谷翔平さん応援したいのに、現地ドジャースタジアムにも行けないくせに大谷翔平応援するんじゃねえと現地の人に言われたら皆さんどう思うでしょうか。
Jリーグはどうもスタジアムに行くことだけが応援のすべてになりがちです。

もちろんホームゲーム収入もクラブの収益の柱ですし、週末の貴重な時間とお金を使って選手のサポートをすることは娯楽でもあり楽しみでもあり趣味でもあり人生の楽しみの一つでもありそれも尊重します。
しかし、スタジアムに来る人数よりもテレビ、配信など映像を通し画面越しで見る人たちのほうが多いのも事実です。それがまさに放映権料で、そこの裾も広げていかないとクラブどころかJリーグが先細りになります。
メディアではプロ野球ばかり取り上げられる!とお怒りの方は多いですが、当然です。球場で見る人も多いしテレビ・ラジオ・配信等の映像・音声で見聞きする人も多いからなんですよ。
特にJ3はスタジアムに来ている人たちでテレビ・配信も見ているので放映権の裾が広がっていないんですね。
それに2026年からは秋春制が始まります。

「Jリーグ『シーズン移行』~次の30年に向けて~」(PDF)

スタジアムに行くことだけが応援のすべてではないという考えでないとクラブを大きくしていくばかりか存続自体が危うくなると思っています。
それなら秋春制反対すれば良いのではと思われがちですが、自分は単純にシーズンのスタートがずれるだけで暑い日は暑いし寒い日は寒いし晴れる日は晴れるし雨降る日は雨降るしで天気はコントロールできないわけですし、そもそも天候不良なんて雪に限らず1年中起きてるわけだしなんでそこまで雪だけが天候不良の王者みたいな感じになっているのかよくわからないのです。雷や台風、ゲリラ豪雨も普通に怖いですからね。

そうなると以前山雅が表明した新スタジアム構想。

もしこれが秋春制になったらアルウィンは冬場使えないから1年中使えるスタジアムがあったらよいよねというメッセージが込められていたら皆さんの見方は大いに変わっていたのかなと思ってます。この動画が公開された当時から秋春制の議論はあったはずですからね。それに当時はスタジアム作る金あったらトップチームの強化やほかに使えなんてことになっていたはずです。
自分も新スタジアムに賛成です。
なぜならアルウィンの老朽化が着々と進んでいるから。

チームを強くしたいなら
さらにお金を出すか、行動するか。

ということで今シーズンもよろしくお願いします。

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