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12.29 日本武道館

12月13日、BUCK-TICKのファンクラブから一通のメールが届いた。

タイトルは「公演延期のお知らせ」。

なんだか嫌な予感がして、すぐにメールを開いた。

書かれていたのは、12月15日〜22日に予定されていたスタンディングツアーの福岡・熊本・京都の計4公演が延期されるという内容だった。
そしてその理由は、ボーカル櫻井さんの"消化管出血"。

しばらく思考がうまく働いてくれなかったが、とりあえず消化管出血について何も知らなかったので検索した。

すると、詳しい症状や考えられる病気などが記されているページが見つかった。
症状の重さが分からず、不安が押し寄せた。


BUCK-TICKは、毎年12月29日の武道館ライブを恒例としている。

今回は19回目にあたり、昨年3月にアルバムが発売されてから行われてきたツアーの締めくくりという位置づけだった。

メールが来た日から、櫻井さんの病状に関してそれ以上の情報はなかった。

物販のお知らせがされても、果たしてライブは無事行われるんだろうか?本当に大丈夫なんだろうか?無理を押しての開催になってしまうのでは?…と落ち着かなかった。
ただ、今井さんが発信した「ダイジョーブ」という一言が頼りだった。


そして迎えた29日、私は9時過ぎに新宿に着いた。

まずは、新宿駅東口から徒歩3分にあるユニカビジョンを目指した。
30日までの期間限定でBUCK-TICKの2017年武道館ライブの映像が流れていた。

この期間中にたまたま通りかかり、『ICONOCLASM』や『MY EYES & YOUR EYES』を聴いて懐かしさを感じた人もいたのではないだろうか。

新宿の騒々しい中で『愛の葬列』が流れている光景はなんだかとても異様だった。


大画面でBUCK-TICKを堪能した後は早速武道館へ。

無事に目当てのグッズを購入した後は、ホテルのチェックインなどを済ませてから、会場に戻り開演を待った。

武道館は上の方でも視界が広く見やすくて大好きな会場だが、今回はスタンド1階のG列という良席で見ることができた。


ライブは、開演時間から10分ほど遅れてスタートした。
『ノスタルジア-ヰタ メカニカリス-』をアレンジしたSEが流れ、メンバーがステージに現れる。

そしてSEが途切れた時、幕越しに櫻井さんの姿も見えた。
(以下、敬愛を込めてあっちゃんと書かせていただく。)

その瞬間ホッとした気持ちと、"おかえりなさい"という気持ちと、"ありがとう"という気持ちと…色々な感情が混ざって涙腺が緩むのが分かった。

アッパーチューン『GUSTAVE』で一気に会場のボルテージが上がる。

幕が上がった時そこにいたのはいつも通りのあっちゃんだった。
ただこの日は、歌詞の一つ一つをいつも以上に、より丁寧に歌ってくれているように感じた。

猫ポーズで会場が一体となった後は『Baby, I want you.』『美醜LOVE』と続く。
「ご心配をおかけしました。今夜は一緒にダンスしましょう」という言葉で始まった『光の帝国』では、今ではおなじみとなったアイドルばりのピースサインを見せ、黄色い歓声につつまれた。

『月蝕』『BABEL』で武道館がミサのような雰囲気に一変し、
『Moon さよならを教えて』の美しい旋律に酔いしれ、
『BOY septem peccata mortalia』では露出の大サービスがあり、
『Memento Mori』の、<今宵 喰らい 踊り明かそう 人生は愛と死>という歌詞に想いを馳せながら腕を振り上げた。

アンコールでは、このアルバムにおいて欠かせない『零式13型「愛」』『ゲルニカの夜』『胎内回帰』の3曲が披露された。

『胎内回帰』で心が浄化された後は、2回目のアンコールで、アルバム・RAZZLE DAZZLEから『TANGO Swanka』『狂気のデッドヒート』と続いた。

恒例のアニイのドラムソロとメンバー紹介があり、あっちゃんの番になった時、歓声がやむのを待ってから静かに話し始めた。
「お見舞いメールや励ましのお手紙、たくさんいただきました。本当にありがとうございます」という感謝と、ライブが延期になってしまったことへのお詫びの言葉だった。少し涙を堪えるように言葉に詰まる場面もあった。

「みなさんに感謝の気持ちを込めて歌います」と言って流れたのは、『鼓動』のイントロだった。

95年にリリースされた曲だが、今回のアルバムの世界観とよく合っている。
スタンディングツアーのセットリストにも入っていたため、この曲自体が特別サプライズというわけではなかった。

しかし、あまりにも歌詞が"今"とリンクしていて、堰を切ったように涙が止まらなかった。

なぜ生きてる 知らないけど
それでも激しく 生きていたいと思う
愛されてるなら ごめんなさい ありがとう


歌い終えて、あっちゃんは客席に深々と頭を下げてステージを後にした。

その時にはいつもパフォーマンスの道具として使っているステッキで体を支えていたように見えた。

今井さんが『禁じられた遊び-ADULT CHILDREN-』のフレーズを織り交ぜ、最後はきらきら星で〆…かと思いきや、『夢見る宇宙』のイントロへ。そして、あっちゃんも再びステージに戻ってきてくれた。

TOUR No.0 -FINAL-は大歓声の中幕を閉じ、最後に5月26日~27日に幕張メッセで2daysのワンマンライブが行われることが発表された。

感謝と感動、たくさんの優しさで溢れた濃密な2時間半だった。


今回は、春夏のホールツアーに秋のスタンディングツアーにと続いていたことと年末のちょうど土曜日で交通費や宿泊費が普段より高くなることで、正直チケットの申し込みを締め切り寸前まで迷っていた。
だけど、本当に本当に行ってよかった!!

このライブの模様は2月28日にWOWOWで再放送されるので、気になった方、お時間ある方はぜひチェックしてみてほしいです。



毎年、初詣の時は大切な人たちの健康と幸せを願うようにしている。

大切な人というのは、家族、親戚、友達、そして好きなアーティストや芸能人なども含めた、私にとって好きで大事にしている全ての人。

今年は、健康を特に強く願いました。


スタンディングツアーのMCで「みなさん幸せになってください」と言ってくれた彼らが、いつの日ももっともっと幸せでありますように。





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アルバム『No.0』全曲試聴トレーラー(公式) - YouTube
BUCK-TICK / 鼓動【Victor Years】(公式) - YouTube

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