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こよみ薬膳 #春の土用「春の野ちらし』

今春の大きなうねりの中で少し時間ができました。今年こそ再びと思いながら手をつけられずにいた二十四節気や節句に合わせた「こよみ薬膳」を気持ちあらたに始めます。

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春はストレスフルな季節です。
自然界では寒く閉ざされた季節から暖かく外に向かってのびゆく季節へと動植物が目覚める時、日本では年度の変わり目にあたり環境や状況が変わりやすい時期です。こうした比較的大きな変化がいくつも重なると緊張感が高まり、自律神経の調整を担う「肝」が活発にはたらきます。さらに、冬に栄養と一緒に溜め込んだ老廃物を排出するのも「肝」の役割です。

そんな「肝」も春の終わりに近づくとお疲れ気味に。オーバーヒートするとイライラや寝つきの悪さ、目の疲れなどとして表れ、さらにそれが消化吸収を担う「脾胃」に飛び火すると胃腸不良や食欲不振、あるいは反対に食べ過ぎにつながったりもします。

とりわけ、今年はあらゆる人にとってこれまでの日常が一変する春になりました。自分では手の打ちようがなく先が見通せない状況にストレスや心労が溜まっている方が多いと思います。ストレスは「肝」、不安は「心」の負担になりやすく、長くつづくとおなかの調子も崩しやすくなります。

今年は4月16日に春の土用、二十四節気では19日に「穀雨(こくう)」に入りました。ここから立夏までは春から夏へと移り変わる間の調整期間。夏を迎える前に奮闘をつづけてきた「肝」をいたわり「脾胃」のはたらきを調えるタイミングです。

そこで今回は柑橘と春野菜のまぜずしをご紹介します。柑橘の甘酸っぱさは高ぶりやすい「肝」をなだめてくれますが、今年は甘夏を使い「心」を落ち着かせるほろ苦さを加えることで「肝」「心」の負担を和らげ「脾」をいたわる食養ごはんとしてお楽しみいただけたらと思います。すし飯にすると冷めるので、おなかの冷え予防に温かいお味噌汁と一緒にどうぞ!


 春の土用のこよみ薬膳
『春の野ちらし〜甘夏と春野菜のまぜずし』
 *材料は2人分、すし酢は作りやすい分量です

《具材》
・春キャベツ …1/3枚
 →塩を加えた熱湯でさっと湯がいて水を切り短めの千切りに
・新たまねぎ …1/4個
 →薄切りにしてさっと湯がいて水を切る
・甘塩鮭 …1切れ
 →蒸して骨を取り大きめにほぐす、鮭フレークでも
・薬味として紫蘇の千切り

《柑橘すし飯》100ccくらいできます
・甘夏 …1/2個(果汁で50ccくらい)
 →薄皮から果肉を取り出して指でぎゅっとしぼる
 →果肉はわたを除いて半量まぜる
・酢 …果汁と同量
・砂糖 …小さじ2〜2.5
 →香りがマイルドなメープルシロップや蜂蜜でも。量は少し減らして
・塩 …小さじ1/2
*以上を蓋付きの瓶に入れてよく振って混ぜる
・ごはん …300g
 →固めに炊いて熱々のうちにすし酢大さじ3杯と煎り胡麻を合わせて切り混ぜる

柑橘は今回は「心」もいたわるため甘夏を使いましたが、酸味が立つものなら他のものでも良いです。時間があったら混ぜてから少し置いておくと味がまろやかに。お子様には果肉だけ甘い柑橘にするか果肉無しにしてくださいね。

具材の春キャベツと新たまねぎは胃のはたらきをととのえ、鮭はおなかを温めてからだのエネルギーや栄養を補ってめぐらせます。ごはんはからだを養う要「脾」のはたらきを高めて力をつけます。甘酸っぱいすし飯にすることでお疲れ気味の「肝」をおだやかにいたわります(酸味のとりすぎは反対に「肝」を傷めるのでほどほどに)。

◎余ったすし酢でかんたんアレンジ
ごはんに少量のすし酢と胡麻、新生姜を混ぜて、しらすと壬生菜のお漬物を乗せ、海苔を散らして。お味噌汁はスナップエンドウ、長芋、たまねぎ、常備菜からきんぴらごぼうも添えて。今朝の朝ごはんでした。

次回は「穀雨」に寄せてお魚をつかった一品をご紹介します。

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