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リサイクル旋回(ローテーション)について深掘りしてみた

この前フットボリスタで紹介されていた「リサイクル旋回」について深掘りして考えてみました。なぜローテーションするのか、ローテーションの型、練習など。

僕が「ローテーション」をセオリーとして学んだのはJed Davies氏が書いた「The Philosophy of Football: In Shadow of Marcelo Bielsa」からでした。
この本はビエルサのサッカーを関係者(ビエルサの下でプレーした選手・スタッフ)への聞き取りを通じて分析した本で、「ローテーション」がビエルサのサッカーにおいて非常に大きな役割を担っていたため、1つの章として取り上げられていました。

本noteはJed Davies氏の本を解釈した記事であり、彼が書いたビエルサのローテーション理論に基づいて書いたものだと理解して読み進めてください。(ところどころマーレーの考えが出てきますが...笑)​

なぜローテーションするのか

さて、Jed Davies氏が述べるローテーションをする理由として3つ挙がっています。

1. 危険なエリアにボールを供給するプラットフォームを作るため
2. 動きによってパスコースを開き、危険なエリアを創出するため
3. 相手の中盤ラインを超えた危険なエリアにフリーな選手、または数的有利を生み出すため

単語の意味
プラットフォーム
プラットフォームを説明するには本を1から読まないといけないのですが、ざっくり言えば、ボールを右から左へ、左から右へ安全に巡回させているラインのことです。DFだけでなくGKや守備的MFもプラットフォームの一部と考えていいでしょう。

試合の状況によって、ボールを巡回させる基準が変わります。
押し込んでいればボールが巡回するのはForwardのプラットフォームかもしれませんし、相手がハイプレスを仕掛けるチームであればDeepestでサイドチェンジすることもあります。
それが大体この4つのプラットフォームだよねって感じです。
そしてプラットフォームの場所によってチームに求められる動きは変わります。DeepestとForwardではプラットフォームより前の選手の動きが変わるのは必然です。
危険なエリア
DFの裏、DFの前、そしてMFの裏です。
DFの前とMFの裏の違いは、簡単に言うとルカクとシルバです。(これは完全にマーレーの解釈です。本では出てきません)
DF背負っている選手にボールを送り込むか、DF-MF間でボールを受けて前を向くかの違いです。

ローテーションの型

Jed Davies氏は5つのローテーションがあると言っています。

1. ピボーテのCB間落ち
2. ボールサイドのIH落ち
3. ウィークサイドのIH落ち
4. Over and Under, Under and Over
5. 偽9番

このnoteを読んでくださっているのはおそらくサッカーに関心のある人だと思うので、これらのタイトルを見ただけでどんな現象かはだいたい想像がつくと思うので、Over and Underと Under and Overの2つをあとで図を使って説明します。

1. ピボーテのCB間落ち
中盤がCBの間に割って入ることで2人を開かせ、SBを押し上げます。その結果WGが内寄りにプレーすることになります。

2. ボールサイドのIH落ち
例えば左CBがボールを持っていれば左のIHが落ちることです。サイドバックを押し上げ、WGを絞らせる結果になります。結果としてはIHに中盤がついてくればWGへのパスコースが空きますし、ついてこなければIHがフリーです。(詳細はアナリシスアイへ。確か似たようなのがあったはず...)

3. ウィークサイドのIH落ち
左CBがボールを持っていれば右のIHが右のCBよりも外に落ちることです。これに関しては僕自身、メリットをあまり理解できていません。

4. Over and Under, Under and Over
4.1. Over and Under

これはプラットフォームのスペースを作る際のローテーションであり、かつ縦への突破のチャンスもあります。10番が抜けることがトリガーとなり、4番が10番の作ったスペースに抜け、8番が4番がいたスペースに降りてきます。プラットフォームにスペースを作り、ビルドアップを安定させたり、縦に抜ける4番にボールをいれることで、縦に加速することもできます。

4.2. Under and Over
タイトなスペースを空けるための動きがUnder and Overです。10番が空けたスペースを8番が使います。この動きは結果8番が外を向いてプレーすることになりますが、一時的に相手SBと2v1の状況を作れるので効果的かもしれません。

5. 偽9番
SBが押し上げWGが絞ります。相手が4バックの場合SBとWGの4人を4人で対応しなければならず、9番が浮きます。ただ9番が降りてくる戦術ではなくて、全体のローテがあってピン止めなどができて初めて成立する戦術なのかもしれません。

これらの型を理解したところでむやみに使えるものではなく、相手の分析があって初めてローテーションは成立するものだとJed Davies氏は言っています。
例えば4バックに対して相手が1トップでプレスをかけてくるならピボーテは落ちる必要がありません。

この辺ははらいかーるとさんが書いたアナリシスアイを読んでいただきたいのですが、アナリシスアイで出てきた「守備の基準点ずらし」とJed Davies氏が書いてるローテーションが似てる気がします。相手の守備をずらそうと動き、できたスペースに人とボールを送り込むのがローテーションの本質かなと思っています。

また、ローテーションの原則として、DFラインからの安定したボール供給があります。だからこそMFが相手のプレスを分析し、DFラインまで落ちることで+1を作るのだと思います。プラットフォームにフリーな選手を作り出し、タイミングよく動き出してスペースを作り、そのスペースに人とボールを送り込めるというのが一連の流れだと思います。

Jed Davies氏がこの本を書いたのが2016年ですが、その当時偽サイドバックはすでに出てきていたと思われますが、もしいま執筆すればローテーションの型として入ってくるんですかね...?

ローテーションを練習しよう

上記のなぜや、型を理解してもコーチとして落としこめないとなーんの意味もありません。
ということでローテーションの練習を探してみました

が、とにかく見つからない。皆さんあんまりやってないんですか?

ということで、テクニック(相手なし)、スキル(相手あり)、とゲーム形式の3つを、(字が汚いとか、練習がしょうもないとか恥だとわかりながらも)載せます。
こんな形でもローテーションの練習できるよ!っていうのがあれば教えてもらえると大変ありがたいです。
それとフットサル!旋回がよく使われているということですが、フットサルでの旋回の練習を教えていただけるとさらにありがたいです!(フットサルは+1の原則なし(数的同数)で旋回してるのですごいです)

テクニック(相手なし)

こういうパターンは誰にでも思いつくと思いますが、一応載せときますね。パターンはなんぼでもあると思います。

スキル(DFあり)

一応グリッド内は2v2で書きましたが、3v3全く問題ないです。
ユニットとして連動して動くことがキーです。お互いが足元に受けにきたり裏に抜けたりと被らないこと。

スキル(5v3)

イングランド世代別代表(U18)の攻撃コーチ、Mikey Harris氏の練習を見学する機会があり、ロンド形式の練習でローテーションを導入していました。これはイングランドのゲームモデルにあるからです。
また、世代別代表は活動期間が短い事もあり、ポジションや味方との関連の中での練習でプレーオブジェクティブ(ゲームモデル)を落とし込むとも言っていました。
最初は普通の5v2 or 5v3で始まり、セットをこなした後にローテーションを入れてました。
キーファクターとしては、バーバル、ノンバーバルコミュニケーションによるポジションチェンジ。また、練習がCBからフォワードにボールを運ぶイメージで行われていたので、ローテーションしても必ず高い位置に選手がいること、を挙げていました。
ローテーションすると、どこかのポジションが空いたり重なったりするからこそ、相互のコミュニケーションが大事と言ってました。
ローテーションのメリットとしては、フォワードの前にいる選手が一瞬誰をマークしていいかわからなくなることで、フリーの選手を作りだせること、をメリットの1つとして説明されてました。

ゲーム形式

これはイングランドFAがやっていた練習です。その中で、中盤のローテーションのタイミングが大事というコーチングをしていました。
参考までに見てください。リンク先の練習1です。
SESSION: building and creating the attack

おわり

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