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今、ヨルダンはタウジーヒの真っ最中

先週からタウジーヒが始まった。タウジーヒはヨルダンで12年生(日本で言う高3)になると受けれる試験。試験会場は各地域の学校で、試験運営は教育局の職員と学校の先生で行うようで、朝に教育局に行ってみると、人とバスと警察官がたくさん集まっていた。

このタウジーヒは1日おきくらいに1日1教科のペースくらいで行われている。教育省から発表されているスケジュールを見てみると、1日おきにある日もあれば、2日おきの日もあったり、1日2教科の日もあるようで、試験期間はおよそ20日間にわたる。

タウジーヒ初日はスタッフの試験問題受け取り場となっていた2階のエレベーターホールの窓からみんながバスに乗り込み、各学校に出かけていく様子を見ていた。バスが出るまでみんな優雅にコーヒーを飲みながらタバコ吸って談笑していたり、試験時間までに間に合うのか?と思うくらいゆっくりしていた。私はチャーミング溢れるどこかの校長先(女性)から「家に遊びに来なさい、電話番号教えて」とナンパされ電話番号を交換した。
日本の大学の先生たちの、公平な運営をしなければならないという、センター試験前や入学試験前のちょっとピリピリしている様子を考えると雰囲気は全然違う。でもこの国はそんな感じでも、なんとなく、なんとかなっている。

そんなタウジーヒ期間中に事件は起きた。私がボランティア活動をしている教育局の職員がタウジーヒの試験監督中に心臓発作で亡くなったらしい。享年50歳。会ったことがあるのか、ないのかはわからないが、見覚えのある顔ではなかった。事件の起きた次の日はこの話で持ちきりだった。
ネットで調べるとイスラム教の葬儀は亡くなってから土葬まで24時間以内に行われると書かれていた。あっという間だなぁとなんとなく感傷的になっていたが、同僚と話をしているとクリスチャンだった。男性だと見た目だけだとヒジャブをかぶってるわけではないから、仲良くならないとわからない。

同僚が紙に名前を書き、みんなからお金を集めていたので聞いてみたら、その亡くなった人の家族への支援のためにお金を渡すと言っていた。15時から教会でお葬式、16時にお墓へ。ムスリムの同僚は行くらしい。それが理由かわからないが、行くと言った2人は黒い服を着ていた。喪服とかでもなく、黒のジーパンに黒のTシャツ。ムスリムもキリスト教のお葬式に行っていいの?と聞いたら、行ってもいいよとのこと。
日本だとそんなことは聞かずとも宗教を超える人との繋がりで行くのが当たり前だろうけれど、この国の当たり前はまだわからないので、いちいち確認する必要がある。
ヨルダンでは宗教による分断も時々感じるけれど、イスラム教だろうがキリスト教だろうが関係なく、その人その人同士でのつながりを感じると、私と同じ人間なんだなと、当たり前なことだけれどほっとする。

同僚から「葬式に行くか?」と聞かれたけれど、よく知らない人だったので遠慮した。それでも同僚は私に教会の場所と墓地の場所を丁寧に説明してくれた。ちょうど家からその教会が見えたので、16時に鳴った教会の鐘の音を聞きながら心の中でお祈りしといた。安らかにお眠りください。

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