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『最適な日本語』

ナレーション原稿の中に日本語の誤字脱字違和感のある言い回しを見つけた時、皆さんはどうされていますか?私は、基本的にはどんなに些細なことでも、気が付いたのであれば現場で収録前に全て確認し、発音する言葉に慎重になるようにしています。ただし、確認する相手や尋ね方、タイミングにはかなり気を配ります。細かに確認する理由は、以下の3つです。

  1. リテイクを減らすため

  2. 収録時間をコンパクトに収めるため

  3. 無駄なリスクが生じるのを避けるため

詳しくは後述しますが、特に 3. に関しては、ナレーション原稿以外にも当てはまります。実は、日々我々が目にする日本語の中には、誤った使い方がされている言葉が数多くあります。中には、「伝わればよい」というケースもありますが、例えば企業が関わるような動画や文書などに誤った日本語が使用された場合、企業側に避けられるはずの無駄なリスクが生じてしまうかもしれないのです。

そんな時に役立つのが、我々のようなナレーターやアナウンサーの経験と知識、そして、体内に刻まれた日本語の正誤センサーです。日本語の使い方やアクセントに対して、その正誤が逐一気になってしまうセンサーが、もはや「性(さが)」として体に染みついており、もうどうにも逃れられません(笑)でも、そんな「性」がもしかすると皆さんのお役に立てるかも…?

最後までお読み下さった方は、ぜひ一度ご連絡をお待ちしております♩


日本語の正誤センサー

このセンサーはどのようにして身についたのか。それは、大学を卒業後アナウンサーとして働く以前の、アナウンススクールおよび入社前研修での厳しい指導から始まります。何事も最初が肝心!変な癖がつく前に、アクセントや正しい日本語についての知識を叩き込みます。

特に、当時のテレビ朝日系列の入社前研修は最も厳しいと言われており、A3ノートが数日で真っ黒になるという濃密な2週間の研修を通し、アナウンサーの先輩方に鍛えていただきます。(当時は自分の期待と現実とのギャップに涙を流しながら受けていましたが、今となっては良き思い出です。笑)

そして、テレビ局へ入局後も、アナウンス部内で実施される日本語の抜き打ちテストや勉強会、放送現場での実践を重ねていく中で体に刻み込んでいきます。加えて、私自身は現在もテレビ生放送に関わっているため、このセンサーは現役でフル稼働、さらに磨きをかけているところです。

とは言うものの、仕事外ではうるさい人間にはなりたくないので(笑)、私個人として投稿するゆるっとしたSNSやプライベートの会話ではあえて自由に。一方、こうしたnoteの投稿をはじめ、畏まって公に発信するものに関しては、細心の注意を払って『最適な日本語』をといったように、このセンサーを使い分けるようにしています。

誤った日本語例▶考えられるリスク

「誤った使い方の日本語」は、例えばどんなところで見られるのか?

  • テレビやタクシー広告などの広告媒体(テロップおよびナレーション)

  • スーパーや飲食店、書店などの店内掲示ポップやメニュー

  • 企業のリリースおよびHPなどの公的資料やSNS など

具体例としては・・・ 

A)某ゴルフ関連サービスのタクシー広告 
×「スコアが見れて」 
〇「スコアが見られて」
理由 : ら抜き言葉になっている

B)某大手不動産会社のテレビCM
×「~を選べたりします」 
〇「~を選べます」
理由 : 「たり」は2回以上連続して使用するのが基本

このように消費者の立場として日常的に目にするものから、ビジネス上で目にする様々な企業・サービスの広告や会社資料といったように、日常の至る所で誤った日本語が使用されています。

では、誤った日本語を使うことで考えられるリスクとして一体何があるか?仮に、上記のタクシー広告(A)を例に挙げるとします。

広告の想定顧客層が企業経営者で、実際にそれを目にした人が50代の経営者だった場合に、(個人差はあるものの)年齢を重ねるほど若年層に比べ日本語の乱れに敏感な場合が多いことから、「『ら抜き』も分からない企業なのか」と企業としての信頼を損なってしまう可能性があります。

一方、『最適な日本語』を用いていれば「この企業はきちんとした日本語が使えている」と、安心感や信頼感の獲得に繋がる可能性があります。ただ、多くの場合は誤っていなければ目につくこともないので、『最適な日本語』を用いることで企業の信頼を損なうリスクを回避できるというメリットの方が大きいと考えます。

ただし、必ずしも❝誤り❞ではない?

これまで正しい日本語」ではなく『❝最適な日本語』と表記していたのにはワケがありました。それは、時代の流れと共に言葉の使い方も変化し、過去は誤りとされていたものが徐々に許容され、今や❝誤り❞であると断言できなくなった言葉が数多くあるからです。いわゆる「日本語のゆれ」です。

例えば、「ある企業の社長が本を出版し、現在各書店で売られている」という内容のリリースを、企業の広報担当者が出版日以降に作成するとします。

「●社 代表取締役の初の著書今月20日より発売中!」

おそらく、この一文を見て「ここが誤りだ!」と指摘される人はあまり多くないのではないでしょうか?ただし、『最適な日本語』を目指すのならば、私は次のような修正をご提案します。

まず、「発売」は「売り出すこと」、つまり瞬間的な意味合いを持つ(期間を持たない)ため、発売した瞬間(当日)にSNSで投稿する文言などであれば最適ですが、今回は出版日以降の掲載、かつ進行形の出来事であることから、期間の意を含む「販売中」が最適であると判断し…

「●社 代表取締役の初の著書今月20日より販売中!」

と修正します。とはいえ、「発売中」を使いたい心情もよく分かる…!「売り出したばかり=‟新しい・旬”」というようなイメージも残しておきたいという、広報担当者の意図や想いも理解できます。そうなった場合、私はあえて「発売」を生かし、期間を表す「中」と「より」をトルことで、「発売」という言葉に対し期間のイメージが加わる違和感を解消しつつ、さらに「新」を加えることでより新鮮さを出すことができます。

「●社 代表取締役の初の著書今月20日新発売!」

さらに、助詞の「の」も2回までは連続して使用してもよいといわれていますが、この場合は「、」を用いる方が見た目がスッキリしますよね。

「●社 代表取締役初の著書今月20日新発売!」

というように、広報担当者の意図や想いといった、おそらくAIでは察知できないであろうニュアンス、感覚的な要素も日本語は持ち合わせているため、私はやはり生身の人間の手が加わることで、より『最適な日本語』にたどり着けると考えています。

【募集】❝数社限定❞でお手伝い致します!

そこで、『最適な日本語』をご提案するお手伝いとして、私に日本語が使われたあらゆる資料や文言の修正および推敲をさせていただける企業様を、2~3社限定で募集します!

日本語1500字以内であれば、企業関連資料やSNS投稿文、セミナー使用スライドなどいかなる文字資料にも対応し、必ず3日以内にお返しいたします。(※詳細は個別にご案内。)

また、テレビ局勤務時代に記者としてニュース取材や映像制作経験もあるため、ご要望があればメディアが取り上げたくなるリリース作成のアドバイスも。さらには、オプションとして記事作成のためのインタビューナレーション収録イベント・セミナーなどのMC業などと幅広く対応可能です。

お問い合わせに関しては、お手数をおかけいたしますが、私個人とfacebook等各種SNSで繋がっている方はそちらにコメントもしくはDMをお寄せください。そうでない方は、anchor2024.japan@gmail.comまでメッセージをお送りいただけますと幸いです。

ご依頼内容に合わせて柔軟に対応いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。ご連絡をお待ちしております♩

(そして、もしよろしければページ上部の左サイドにある♡を押していただけますと今後の励みになります…!ありがとうございます。)

ナレーター 石井しおり


お知らせ

現在、ナレーターとして活動したい方ナレーション技術を高めたい方向けに、マンツーマンでのオンラインレッスンを開催しています。居住地はもちろん、年齢や経験の有無も問いません。

「地元企業のテレビCMを読みたい」「報道番組のナレーションがしたい」といった個々のご希望に合わせたオリジナルレッスンをご提供いたします。

アナウンサー試験を検討されている方司会者の方、ビジネスの場でプレゼンの機会が多い方など、人前でお話しされる機会がある方もご要望に合わせて対応させていただきます!まずはぜひ体験レッスンからお試しください。

ご相談やお問い合わせは、以下SNSのDM、もしくはanchor2024.japan@gmail.comまでお気軽にメッセージをお送りください。



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