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中国 なんかレベルが違う…

9月も、もう半ば過ぎ…。

今年の日本の水中考古学のニュースと言えば、文化庁のハンドブック、池田先生の元寇の船、沖縄エモンズの調査、山舩さんの本、木村さんの幾つかの調査、私のインタビューや本・丹後の水中考古学プロジェクト、桧原湖の明治の村、琵琶湖(坂本城)、沖縄県の調査などなど…。あれ、結構あるぞ!とは思いますが、中国には及ばず。

なにが理由かわかりませんが、9月に入って中国から水中考古学関連のニュースがバンバン入ってきています。夏の調査がひと段落ついたからでしょうか?

ガトリング砲のように出てくるんですが、どれもこれも貴重な発見・調査ばかり。どれだけこの国は水中遺跡に力を入れているのだろうか。

リンク多めですが、ぜひご覧ください。すべて、9月に入ってからのニュースですが、ほんの一部です。(同じ内容の記事は割愛)


①元の時代の船・福建省で発掘

福建省の泉州は、宋・元時代はおそらく中国で最も栄えていた貿易港。おそらく、そこの港を使っていた船なのでしょう。いくつか同時代の同様の船がすでに発掘されています。この船の発掘には、エポキシ樹脂を塗った特殊なシートを使い、水中で遺物などをくるんでから引き揚げる方法を実験的に行なっているようです。また、この方法で、遺跡のある範囲を囲んで、周りの砂ごと引き揚げることが出来るそうです。細かな有機物などが多く流れのはやい場所では、周りの砂ごと引き揚げて陸で発掘しても良いですね。


②清代の沈船・揚子江。専用の沈船引き揚げ用台船で…

これまたスゴイ発掘…
上海近くで発掘。長江口2号という名前の沈没船だ。長さ38m。清代~日本でいえばちょうど明治維新のころの船となる。この船、人の手による発掘ではなく、周りの砂ごとガッツリ引き上げるそうです。そのための大型の船も準備したとか。遺跡を丸ごと囲んで砂一粒も落とさずに引き揚げるとか…。

沈没船ひとつの調査にどれだけお金をかけているのでしょうか?


③深海考古学への挑戦

深いところにも遺跡はちょっぴりあります。ちなみに、水中遺跡の96%は水深50mよりも浅いところにあるという統計もある様です。ですが、深海への挑戦、中国は進んでいますね。科学調査船「探索1号」「探索2号」を駆使して水中ロボットや自立型(AUV)などを使って深海を探査しています。

水深2,000mを超えた深さでロボットを使った発掘調査を実施しているようです。中国の深海考古学の新時代の到来。

わりとそのまま船が残っているような遺跡もありますね…この上の映像。よく見るとプラごみでしょうか、また、漁師の網も引っかかっています。よくあることで、地中海などでは、かつて、ローマ・ギリシャ時代の船も底引き網によってだいぶ破壊されたと言います。このような遺跡、保護していきたいですね。


④その他もろもろ。中国と世界のつながり

この手のニュースは、特に今に限った記事ではないです。宋時代の中国の海洋貿易について。また、それ以前のお話など。アラブ・ペルシャ商人が中国へやってきた唐の時代の船がインドネシアで発見されていますが、そのこともニュースに書かれています。
水中考古学(文化遺産)と交易、中国と世界の繋がりの歴史を語る。海のシルクロードをユネスコ世界文化遺産登録関連でこのような記事が書かれているのでしょう。


番外編!

すごいのは、中国だけではない。
中国が深海考古学へ挑戦しており、そして、水中ロボットを駆使しているとのこと。実は、いくつかの国では、水中考古学調査船用ロボットの開発が進んでいます。

日本政府では水中遺跡調査専門員の職員数はゼロ人ですが、いくつかの国では調査専用のロボットまで開発しています。国として水中文化遺産の保護に取り組んでいます。

最初は、韓国のロボット。Crabsterちゃん。奇妙な動きが何とも言えません。ちょっぴりかわいい。こちら2代目で深海調査用になります。水深6000mでの作業を想定しているとか。

あれ、待てよ…韓国に水深6,000mの場所ってあったか?どこの調査を想定しているのでしょうか?太平洋の真ん中、マリアナ海溝でも水中遺跡調査できる技術を開発する必要があるのか…。とはいえ、個人的にはこのような技術開発は必要だと思います。ちょっとぐらい挑戦的なプロジェクトを行なうことで、科学のすそのが広がり、また、浅い場所での調査にもそのノウハウが生かせるのではないでしょうか?


お次は、フランス。Ocean One君です。スタンフォード大学と共同開発。人型の水中遺跡調査ロボットです。なぜ人型?それは、VR技術とハプティクス技術を使っています。つまり、人がスクリーンを見ながら泳いで行って、手を動かすと、ロボットも同じ動きをしてくれます。VR上でモノを掴めばロボットも掴み、その感覚が操縦者にも伝わります。いわば、ロボットは、操縦者の分身。そのため、人型の方がなにかと都合が良いそうです。 


というわけで、今日はこの辺で…

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