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辛口:国の海洋政策について…

内閣府の海洋基本計画に意見を提出してくれ人を募集します!
水中文化遺産への取り組みの指針をちょっとでも変えるチャンスです!

実は、日本の内閣府の水中文化遺産の取り組みは、海のないモンゴル国よりもダメダメなのはご存じでしょうか?

期限は4月2日ですので、よろしくお願い申し上げます!

あらすじ…
海洋計画の策定に関する意見募集について
日本の水中遺跡保護
はじめに
第1部 海洋政策の在り方
第2部 海洋に関する施策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
第3部 海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
終わりに

いつものように書きすぎてしまったので…。最初に結論を書きます。興味のない人は、ここだけ考えてくれればOKです。

日本は、世界最高の海と水中文化遺産研究のポテンシャルを持ちながら、内閣府が文化についての考えがあまりにも低すぎるため、すでに多くの遺跡が破壊されており、これからもドンドン破壊が続く可能性があります。このままでは、日本の国際的信用も失われる可能性もありますし、日本の文化の本質までもが失われてしまいます。

水中文化遺産は、日本の海洋政策の核をなす存在であるのに、ほぼオマケとしての扱いしか受けていません。この状態を変えるのは、多くの人からのパブリックコメントだと思います。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

海洋基本計画の策定に関する意見募集について

内閣府が5年に一度、国の海洋政策について基本方針を打ち出しています。平成20年から始まり、今回が第4期となります。この計画を閣議決定する前に、パブリックコメントを募集しています。

4月2日まで! 

誰でも内閣府に対してコメントできますので、国民の意見を反映させる良い期間です。皆様にも、この機会に国に対して水中文化遺産をどのように保護・管理していくか、国への意見を提出していただければと思っています。

さて、水中文化遺産に対してですが…

海洋国家である我が国の歴史・文化を知る上で重要な文化遺産である水中遺跡について、遺跡の保存や活用等に関する検討を進める。(文部科学省)

およそ60文字….。

これだけです。あまりにも情けない。

なので、皆様には、意見を言っていただき、少しでも内閣府が水中文化遺産の保護に積極的に乗り出して欲しい。5年に一度なので、次は5年後です。

言い忘れましたが、前回、5年前は、

海洋国家である我が国の歴史・文化を知る上で重要な文化遺産である水中遺跡について、遺跡の保存や活用等に関する検討を進める。

コピペです。5年前と変わってません。

その前(第2期)ですが、2か所あります。

海洋国家である我が国の歴史・文化を知る上で重要な文化遺産である水中遺跡について、観光資源等としての活用を考慮しつつ、遺跡の保存や活用等に関する調査研究を進める。

さらに、マリンレジャー等の安全対策や、海洋環境の保全についての啓発活動を引き続き推進するとともに、海洋に関する我が国の歴史・文化を知る機会となる水中遺跡の調査や、この保存・活用方策の検討に取り組む。

なんと、このままだと15年間、ほとんど変わらいのです。多くの国が水中文化遺産の取り組みを強化する中…。

例えば、日本のお隣韓国。政府の出している水中文化遺産保護に対する年間の予算は、単純にドル換算で数十倍です。ご存じでしょうが、韓国の人口は日本の半分、さらに、海岸線の長さは1/10です。

そのような状況ですので、海洋国家などと言っているのは、意味不明です。

日本の歴史を見ると、多くの文化的要素が海を越えて渡ってきています。こめ、茶、文字、宗教、政治形態、アート、etc。日本の文化や歴史を語るうえで海から受けた恩恵無くして何も語れません。その物的証拠である水中遺跡の保護体制は、世界最低水準にあります。研究の水準は別ですので…あくまで、内閣府・国の方針が最低ということです。

そして、多くの水中遺跡が破壊の危機に瀕しています。すでに破壊された水中文化遺産を単純にトン数で算出することができれば…。まあ、すでに破壊された遺跡について書いても仕方がないので、これからどうしていくべきかについて考えましょう。

日本の水中遺跡保護の現状

世界から見ると日本の内閣府の取り組みのレベルは世界最低水準だと書きました。一方で研究者は数が少ないながらレベルは世界最高に近い。研究ベースでは、The International Jounal of Nautical Archaeologyなど水中考古学の専門ジャーナル、アジア太平洋の国際会議などでは、日本人研究者も掲載・参加しており評価は高いです。しかし、大学など教育面では水中文化遺産の保護を学べるところが少なすぎると言えます。文化庁含む行政は、少ない予算と限られた人員の中で、注目されるべき成果を生んでいますが、自治体によって取り組みの度合いの違いなど極端な温度差が見られます。

🌊🐡世界を見てみましょう🐡
ギリシャなど1830年代から水中に存在する遺跡を保護する法律があり、19世紀中ごろから水中の考古学調査が行われています。1960年代以降は、スキューバダイビング産業が本格化し、考古学者が自ら潜っての調査が始まりました。国の水中遺跡保護体制も整備され、2000年代を境に、ユネスコ水中文化遺産保護条約など国際的な取り組みなど、世界で水中遺跡保護が常識となりました。

イギリス、デンマーク、オランダなどは、数万件の水中遺跡候補地点を有しており、数千件の遺跡調査が実施されています。洋上風力発電など海洋開発に際して事前調査・環境アセスメントの一環として水中遺跡を探査を実施し、産業の中に水中遺跡調査が取り組まれています。大学などでも水中文化遺産の授業があるのは、当たり前です。

私は、水中遺跡調査に20年ほど関わってきました。頻度は年々低くなってはいるものの、「水中遺跡って初めて聞きました」…未だに年に数回は、日本人からこのフレーズを聞きます。少なくとも私の経験では、このフレーズを言われたことがあるのは、日本人以外では1例のみです。先日、バーレーンの空港で税関職員に言われ、ビックリしました…。

先進国だけでなく、世界各地を見ると…ケニアなどアフリカ数か国では水中遺跡公園を整備していますし、トーゴなどは義務教育で水中文化遺産の保護の必要性を教え、マリやマラウィなど内陸国でも水中文化遺産保護条約を批准し、政府の取り組みとして水中遺跡を保護しています。カリブや南米諸国でも水中遺跡の保護の取り組みは一般的です。アラブ諸国は、どこも国の政策として水中文化遺産保護を海洋開発とのバランスの上で進めており、先進的な遺跡整備を進めています。オイルマナーの将来が不透明の中、ブルーエコノミー、SDGsの一環として、持続可能な環境・観光として水中遺跡公園や歴史展示に投資しています。サウジアラビアは、国営の水中遺跡センターを国際的にトップレベルにすること、水中遺跡公園など最高峰のものを目指して整備を進めています。

アジアでは、不思議と他地域に比べると人気のある分野ではありません…。それでも、スリランカは毎年大学生向けの水中考古学フィールドスクールを実施していますし、インドも海の歴史を意識し、国立の水中遺跡調査ユニットを組み、水中遺跡を取り扱う海事博物館の建設が始まっています。がっつり内陸国のイメージのある中央アジアはどうでしょうか?アゼルバイジャンなどは、ソヴィエトの崩壊以前まで内陸の湖で水中遺跡調査を継続的に実施していました。国立博物館でカスピ海から引き揚げられた遺物を展示しています。ソ連崩壊後は、残念ながらしばらく低調でした。他の内陸国も、ここ数年は、取り組みを開始する動きが顕著になり、政府としても取り組むところが増えてきています。

日本の近くを見ると、韓国は水中遺跡に特化した国立の博物館や研究所など複数の施設を持ち、中国も国の政策として進めています。水中遺跡調査に特化した調査船を数隻保有しています。タイなども国立センターがあり調査船もあります。フィリピンもマニラ国立博物館に水中考古学の展示があり水中考古学ユニットや保存処理も行っています。数年前、研究員を募集していましたが、日本よりも給料が高かったので移住も考えました。物価が安いので日本への仕送りもできるほど…。モンゴル国もユネスコ水中文化遺産保護条約の批准に向けて動いています。

北朝鮮も水中文化遺産関連の学会に参加しており国として調査と保護に取り組んでいると発表しています。それが本当かどうかわかりませんが、建前では調査と保護をしています。さて、それをかんがえると、日本政府・内閣府の今後5年間の方針である…「遺跡の保存や活用等に関する検討を進める」は、保護をするとは言っていないわけで、検討しかしていません。文字だけを見ると、国のトップの見解と方針は北朝鮮のほうがマシという状態です。

それが、日本の内閣府の方針なのです。

🌊🐡水中遺跡を発見する方法🐡🌊
さて、世界での話ですが、水中遺跡を発見するのは、9割が漁師やスキューバダイバーなど海に関わる人々からの情報および開発に伴う探査です。護岸工事・浚渫、洋上風力発電など海洋開発に関わるアセスメント(事前調査)で遺跡を発見し、周知して水中・現地での保存がスタンダードになっています。開発途中に見つけることは、ほぼありません。開発の前に事前にその範囲を探査し、遺跡があったら開発の計画を変えたりして遺跡を保護します。

韓国の新安沈船は、漁師が引き上げた白磁を犬のエサ皿に使用していたのを、漁師の弟が見つけたことを契機としています。他の沈没船も、漁師がタコと一緒に陶磁器を拾い上げたことから発見につながっています。

水中遺跡を発見する二つのルートで見つけ、そこで発見された遺跡の価値を判断するのが考古学者など研究者・地方行政の担当者の仕事となっています。

考古学者は遺跡を見つけません。遺跡を発見するのは、一般の人、海洋開発に関わる人、海に関わる様々な研究をする人たちです。

日本には、この二つのルートが明確ではないので、発見できる遺跡は全体の1割にとどまっているとみてよいでしょう。

🌊🐡水中遺跡はどこにあるの?(水中ですが…)🐡🌊
海外の事例を見ると、水中遺跡の多くは、湾を持つ都市部の浅い場所に集中しています。9割と言ってよいでしょう。3万キロの海岸線を持つ日本、すでに1万キロが埋め立てられています。そして、湾を持つ都市部は、ほぼ埋立地と言えます。大阪など自然海岸は1%も残っていません。つまり、大阪の持っていた水中遺跡の90%は、すでに破壊されています。東京湾や博多湾も似たような状況です。

また、埋立地などでも再開発の際には、海よりも低い位置まで堀りさげて調査してます。

先進国は、大体1万件弱の水中遺跡が登録されています。なんとなくですが、海岸線1㎞あたり1遺跡が目安かな~と思います。統計でみると、ですね。日本の海の広さを考えると、3万件あってもおかしくありません。

さて、仮に水中遺跡が2万件あったとして…
半数は都市部=1万件はすでに消滅、10%しか発見できていない、さらに、日本の海岸線の1/3が破壊されている…となると、まあ、残された水中遺跡の数は1,000件はいかないかもしれませんね。

スコットランドの水中文化遺産チャート

残念ながら、3万キロの海岸線を持っていながら、遺跡数は極端に少ないです。文化財GISをな文献が管理していますが、海の上は空白地帯。



サンフランシスコの地下には遺跡がたくさん…

https://temblor.net/earthquake-insights/ships-beneath-san-francisco-1803/


東京都の遺跡地図

埋立地に遺跡がありませんね。日本だけ埋立地を予定していたところにたまたま遺跡がなかったという可能性はあるのでしょうか?そんなはずはありません。すでにたくさんの遺跡が開発によって消滅しています。

ところが、まだ、残っているところもあるようです…

高輪ゲートウェイの遺跡、


埋立地で見つかる遺跡に対して、高輪ゲートウェイそばで築堤遺跡が発見されるずっと以前から、埋立地周辺も調査しようよ!と言い続けてきました。

実は、高輪の問題が表に出る数か月前、当時文化庁にいたF氏に、
「品川のそばで作っている新しい駅周辺でも遺跡が出る可能性があるし、事前にしっかりと調査しないとやばいことになるんじゃないですか?」と聞きました。

その回答は、「無理っすね」でした。
「そもそも法的根拠がない」とのこと。
「そんなあるかないかもわからないのに、誰がお金を払うんですか」ということでした。

まあ、その数か月後、彼もこの高輪の問題にかかわることになりました。私の言った言葉を覚えているかは、わかりません。

よく、水中遺跡を身近に見ることができない、と言われます。おそらく、日本の湾岸の都市部に生活している人であれば、水中遺跡があった場所の上を通ったことがない人はいないはずです。自分のマンションの下には沈没船があったという可能性も、否定することはできません。

🌊🐡日本の水中遺跡保護体制🐡🌊
日本には、400件弱の水中遺跡が周知化されています。そのうち、半分以上が琵琶湖(滋賀県)と沖縄県に集中しています。明治時代から長野県諏訪湖などで水中遺跡の調査は行われてます。1980年代から開陽丸の調査、鷹島海底遺跡(蒙古襲来の沈船)調査が実施されています。代表的な遺跡はあるのですが、それでも、デンマークのように数万件ある国と比べると、極端に遺跡が調査されていないことがわかります。

世界的に取り組みが遅れていたのを自覚した文化庁は、水中遺跡調査検討委員会を設置しました。過去10年間の議論の集大成として、昨年、『水中遺跡ハンドブック』を刊行しています。この中で、それぞれの自治体が周知の水中遺跡をどんどん登録していくことが重要であると示し、その方法などが示されています。調査のてびきですね。


基本、現在の日本で陸および水中遺跡を保護するためには、
  ①周知の遺跡として登録する。
  ②開発中に何か遺跡が発見される。

この二つの方法があります。周知の遺跡をどんどん増やす必要があります。そして、一応、開発事業が行われる際に、立ち合い調査や試掘のような形で、事業者にお願いをして調査をすることは可能です。まあ、3つめの方法とも言えます。
  ③開発事業者にお伺いをして探査する。

水中であっても陸の保護体制をそのまま適応させることになっています。ここでは、陸の遺跡の保護方法を理解しているという前提で書いていますのでご了承ください。


さて、ネットの検索で「埋立地」「遺跡」と検索すると、こんな記事がトップに出てきます…

日本に住んでいる限り、埋め立て地以外の土地を掘れば、遺跡が出る可能性はゼロではない。

おそらく、これが一般的な知識なのでしょうが…。埋立地でも、状況によっては、沈船や昔の港跡が残っていることもあるでしょう。これは、明らかに間違っていますが、このイメージを払拭する必要があります。

https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00492/


①周知の遺跡として登録する
開発の前に、遺跡の有無を確認するための調査の義務はないんですよね。海外との大きな違い。遺跡の所在を把握するための調査は自治体が責任を持って実施。そのため、自治体の担当者が、水中遺跡の探査データの読み方を学ぶ必要があるとしているようです。この方法は、悪くはないのですが、非効率的であり、また、システムが成熟するまで10-20年かかります。残念ながら、その間に海洋開発は進み、遺跡の破壊も進みます。

底引き網などで遺跡は破壊されます。遺物の引き揚げの報告があれば、それを止めることができますが、義務ではないので、ほぼ報告されることはありません。自治体職員が積極的に漁協などと連携をとる必要があります。さらに、海底耕運機など、海の環境を改善すると考えられている取り組みも海底遺跡にとっては、破壊マシーンでしかありません。海の研究など様々な取り組みがありますが、それらの過程で水中遺跡を発見している可能性もあります。様々な海の取り組みとの連携が必要になります。それを、各自治体で行う必要があるのです。文化財担当者の力量と調整力が試されています。漁業や開発に携わるすべての人々が、水中にある文化財に対して興味や関心がないと、なかなか賛同を得られないでしょうし、水中遺跡を知らない人が多いのですから、待っているだけでは情報は集まりません。

②開発中に何か遺跡が発見される。
開発途中に遺跡が発見されれば、報告の義務があります。陸の遺跡だと、掘っているときに何かが出てくることがあり、それは報告されています(建前上…)

海の上でも報告の義務はあります。しかし、海の開発で、人間が直接見ることはほぼありません。また、開発をしている現場でも、「遺跡が出る可能性がある」という考えを持っている人は、ほぼいません。水中ロボットや大きなクレーンで海底を掘削するなどの行為、一つや二つの壺のカケラが出ようが、わかりません。海の開発途中で遺跡を発見する確率は、ほぼ、ありません。陸の遺跡保護体制をそのまま海に適応することは問題ありです。

まあ、これは別の問題かもしれませんが。
陸の遺跡だと、開発によって失われる箇所だけを調査します。まあ、当たり前ですね。ただし、海の中だと、どこか1か所工事をしても、そこから数キロ先に工事の影響が出ること。護岸工事ひとつで潮の流れが変わり、別の場所の海岸の砂が失われたり、逆に砂が溜まる環境になったりします。この砂の量の変化が埋もれた未発見の遺跡に大きく影響します。まあ、川沿いの開発に対する遺跡の調査だと思ってもらえれば良くわかるかと。川の上流にダムを設置して下流の流れが変わったら…。下流に大きな影響が出ますね。海の中も同じ。ただ、因果関係がわかりにくい。開発の原因者負担による調査も、どこまでを範囲とするか…潮の流れをモデル化し、どこまで影響がでるか、それを考え、適切に開発業者に保護をお願いする。これ、自治体レベルで行うのでしょうか?そして、数キロ先まで影響することがあるので、もしかしたら県境を越えてしまうことも?

まあ、しかしながら、「遺跡の発見の報告」は一応あるわけです。それは、サイドスキャンソナーなどの探査中にデータで見える場合も発見と考えられるかもしれません。実際に、工事の前に海底状況をデータで確認しています。そこで、何か人工物があっても、報告はしていないのが現状です。それを遺跡として認識していないから…。これは、工事関係者が悪いわkではなく、水中に遺跡がある、という教育を受ける機会がなかったから。

海に関わる仕事をする人々の考え方を変えていく必要があります。その仕事は、誰がするのでしょうか?

③開発事業者にお伺いをして探査する。
海で行う様々な行為(開発や研究など)に対して、自治体は遺跡があるかもしれませんのでご協力いただけますか?と伺いを立てることができます。その伺いをたてる根拠が周知の遺跡が近くにあるため、または、開発される範囲が広いため、などです。場合によっては、開発の計画段階から立ち合い調査や試掘などを行うことができますね、陸の場合。しかし、これには、自治体職員が開発事業者に説明をしないといけません。どのような調査を実施するのか、範囲はどの程度か、調査期間は、費用は、などなど。また、開発事業者に対して調査を実施する必要性を認めさせるだけの根拠を示すことが重要になります。それを、水中遺跡についてほぼ知識のない自治体職員が、水中遺跡なんて聞いたことがない人に対し、国内に前例のない調査のお願い(しかも費用負担は開発者持ち)に行く…。そして、海の開発の多くは、大企業であり開発範囲も自治体の枠をまたがることもあります。これって可能なのでしょうか?

🌊🐡さらなる問題点…🐡🌊
EEZ(排他的経済水域)では文化財保護法が適応されていないので、調査をする法的根拠がありません。報告の義務もないということになります。他国の沈没船などが出ても、破壊してしまう可能性があります。日本の法律では何も問題がありませんが、国際的には大問題です。

下の図、ちょっと見にくいかもしれませんが、ユネスコ、中国、台湾、日本のそれぞれの海域における文化遺産の法的取り扱いの違いを図式化しています。

異なる海域で、どのように文化財が法的に扱われるのか…。一番下の日本(緑色)は、規定なしの一色。つまり、遣唐使船が日本のEEZで発見された場合、日本は何もできない。一方の中国は、自国に文化的つながりがある遺跡として調査をすることができると主張しています。

中国は、他国のEEZにおいても、中国に起源のある文物については調査を実施する権利を有すると宣言しています。また、スペインなどはガレオン船など自国の所有権を主張しています。スペイン人にとって、ガレオン船は立派な文化遺産、感覚的には「動く姫路城」です。それが、日本の海洋開発事業によって破壊され、さらに日本政府は何も対策を講じていなかったとなると、国際的な信用を失います。実際に、スペインは、他国に対してそのような訴えを起こしたことがあります。アメリカのトレジャーハンティング会社が沈船から遺物を引き揚げたことがありますが、裁判を起こし勝訴。遺物はすべて没収し、数億円の賠償まで勝ち取っています。

まあ、内閣府も現実をみないと、やばいことになる…

では、海洋基本計画を見ていきましょう…

海洋政策の計画、100ページほどありますが、全部読んでみて、問題点を下に示しています。本文か抜粋している場合は、ページを示しています。

はじめに


四面を海に囲まれ、世界第6位の広大な管轄海域を有する我が国にとり、国土の保全と国民の安全を確保すべく海を守っていくこと、経済社会の存立・成長の基盤として海を活かしていくこと、貴重な人類の存続基盤として海を次世代に継承していくこと等が強く求められている。

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なるほど世界6位の「管轄」ですが、その領域において文化財保護の法律が適用されていない事実を認めましょう。これだけ広大な管轄領域において文化遺産を無視している国はありません。なんと、国の管轄領域の9割が文化財保護の無法地帯なんです。この無法地帯においては、いくら遺跡を破棄しようが、おとがめなしです。規制も罰則もなにもありません。

ここは、遺跡保護に対する規定の存在しない広大な管轄海域を持つ…と変える必要があります。文化遺産保護の法がない世界最大の領域かもしれません。

また、人類の存続基盤とありますが…その基盤となる歴史を無視しています。次世代への継承。これも、言葉だけですね。前の世代から継承するべきだった文化遺産を破壊していますので、何を継承するつもりでしょうか?

また、海洋基本法に基づき、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、これまで、平成20年3月に第1期海洋基本計画、平成25年4月に第2期海洋基本計画、平成30年5月に第3期海洋基本計画(以下「第3期計画」という。)をそれぞれ閣議決定し、海洋に関する諸施策を推進してきた。

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なるほど…。第1期には、水中文化遺産についての言及なし。第2期で初めて触れました。第3期で、ワンセンテンス。そして、今回の第4期でも、ワンセンテンス。しかも、前回のコピペです。なにを推進しているのでしょうか?ちなみに、総合的というのも、微秒ですね。

こうした状況に対応するため、我が国は今まさに、産学官の英知を結集して、海洋政策の19 大きな変革・オーシャントランスフォーメーション・OX(Ocean Transformation)を推進すべき時であり、2021年より開始された「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(以下「国連海洋科学の10年」という。)」も梃子に、海洋の安全保障の強化、新たな産業の育成や既存産業の更なる発展、環境関連技術開発、持続可能な開発目標(SDGs)に係る国際的な取組に向けた積極的な貢献等により実現していく必要がある。

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持続可能な開発のための国連海洋科学の10年やSDGsには、「水中文化遺産の保護」も含まれています。つまり、海洋問題などもそうですが、これらの国際的な取り組みを謳うのであれば、きちんと、水中文化遺産の保護も含まれているのでしょう。いかがでしょうか?

国連海洋科学の10年の中の文化遺産プロジェクト

積極的な貢献とありますが、モンゴル国など内陸国がユネスコ水中文化遺産保護条約の批准を検討しているのに対し、ここでユネスコ水中文化遺産保護条約を明確に言及しないのはなぜでしょうか?

ユネスコ水中文化遺産保護条約


この後、本文に持続可能、SDGs、国際的な○○、などが数回出てきます。繰り返しになるので何度も書きませんが、要は同じ事です。世界的に遅れている分野である水中文化遺産の保護に取り組むべきであるのに、全く触れていません。冒頭で触れなくても許せますが、他の個所では、触れるべきです。

https://sustainabledevelopment.un.org/content/documents/12582UNESCO_Heritage.pdf

UNESCOとSGDSと水中文化遺産


総合的・計画的な推進を図るべき基本的施策の範囲を網羅しつつ、今後おおむね5年間に、集中的に実施すべき施策、関係機関の緊密な連携の下で実施すべき施策等を具体的に定める。

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水中文化遺産について取り組みがないのに総合的であるとは、あまりにも海を持つ国としておそまつです。集中的に実施すべき施策に入っていないのはなぜか?遺跡破壊を容認しているが、良いのか?具体的に定めるとあるが水中遺跡については何も具体的に触れていない。

多角的、総合的、その他、包括、多分野、国際的、沿岸国との協調などなど…。似たような言葉が出てきますが、国際的な見地からすると、文化遺産について触れていないのであれば、本質の無い単なる言葉を並べているようにしか読めません。

一度でも英語でもインターネットでMaritime Archaeology, Underwater Archaeology, Underwater Cultural Heritageなどを検索すれば、どれだけ日本と世界の差が開いているのか、すぐにわかるはずです。おそらく、「水中文化遺産を調べるほど重要視している人がいない」のが原因なのでしょう。


第1部 海洋政策のあり方


1.海洋基本法上の基本理念に基づく我が国の取組状況及び海洋をめぐる最近の情勢

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国際的な協調の下に~ユネスコ水中文化遺産保護条約を批准しましょう。
海洋立国~政府の対応は、現在のところモンゴル国以下です。
海洋と人類の共生~その共生の歴史を示す唯一の物的証拠が水中文化遺産。
海洋環境~欧州では、「環境」の中に文化遺産が含まれます。
科学的見地~日本以外の先進国では複数の大学で水中考古学が学べます。
健全な発展~水中文化遺産の破壊の上に成り立つ発展でしょうか?
総合・国際~上述しました。

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国益~文化遺産は益ではないようです。脅威にさらしているのは、自分達。
EEZ~文化財保護法が適応されないので、日本国民は遺跡の調査をする法的根拠がありません。一方、実は中国の法律では、他国のEEZであっても、中国に起源のある文物については、管轄を主張しています。つまり、変な話ですが、日本側は「日本のEEZ内で中国が文化財調査を実施することを許可する・許可しない」ということを決める法的根拠すら存在しないのに、「中国側は日本のEEZ内で調査する権限を有していると主張している」のです。 ただし、科学調査という名目であれば、やめさせる法的根拠になりうるようですが…。これは大きな問題で、UNESCOが主体となり国際共同調査を提案しても、日本は自国のEEZ内の文化財調査を実施する法的根拠がないので、すぐには参加できません。それでいて、海洋立国なのだそうです。

中国の水中文化遺産保護に関する法律

ご存じでしょうが、中国よりも日本の海のほうが大きいですし、中国は自らを「海洋国家」とは名乗っていませんし、歴史上、大陸に目を向け続けた社会・国です。

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法とルール? なんのことでしょうか? EEZにおける文化財を扱う法律を整備する必要がありますね。「法の下」の前に、「法」を作りましょう。

海洋利用~文化財を壊さないよう注意が必要です。

また出ました、国際的な枠組み…。ユネスコ条約を批准しないと国際的な枠組みにも入れません。

この段落は、水中文化遺産に関しては全く当てはまりません。そもそも、テーブルの上にも乗っていない状態です。いや、海洋政策全体を通してみての感想ですが、水中文化遺産について議論はほとんど行われていないことが明白です。

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海洋産業…。洋上風力発電などの海洋開発に際して、他国では環境アセスメントの一環で水中遺跡の探査を実施します。わが国には、その義務がありません。自治体が、必要であると判断すれば、開発事業主と調整して探査は可能です。しかし、どのような機材を使って探査をするのか、また、得られたデータをどのように見るのか、ノウハウがありません。

開発されてしまうと、遺跡が破壊される可能性は高いです。各国、数千件の遺跡が確認されていますが、多くは、開発に伴う探査です。探査のスタンダード、プロトコルなど国や地域で定められています。磁気探査を何メートルおきに実施、サイドスキャンの周波数の指定などなど、細かく決められています。


https://nngoffshorewind.com/files/offshore-environmental-statement/Chapter-19---Archaeology.pdf

EEZでの開発の場合、自治体の管轄ではないので、あらたな枠組みが必要です。

ちなみに、開発前の探査は海洋測量会社が実施できますが、そのデータを見るのは、「データの見方を学んだ考古学者」です。これは、探査会社にはなかなかできません。これまで、「このデータを見る目」が水中考古学者の技術だったのですが、最近は、AI(Deep Learning)によりデータを読み込ませて水中遺跡を発見する取り組みが活発になりつつあります。

そう、日本には、そもそもデータを読み取ることができる考古学者がほとんどいないのですが、外国では、データを読み取る考古学者が必要なくなる時代が到来しつつあるのです。

はい、ちょっと脱線しましたが…開発対応については、何度か政策に出てきます。開発の前には事前探査をするべきである!ということを思い出してください。

こちら、アメリカのBOEM(エネルギー庁)の考古学ページ。エネルギー庁が調査した水中文化遺産を紹介しています。日本でいうところのNEDOにたります。もちろん、日本のNEDOにウェブサイトには、「文化の”ぶ”の字」も見ることがない…


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環境には文化遺産も含まれます(国際的には)
つまり、環境の維持・保全=水中文化遺産の把握と保護が成り立ちます。
それを、内閣府は理解しているのでしょうか?

また、環境問題、海ゴミ問題、SDGsなどありますが、世界では、水中文化遺産の保護も、これらと同様に扱うべき重要な課題です。特に、日本が海洋立国という言葉を使いたいのであれば、その分野でのリーダーシップを発揮するべきではないでしょうか?マラウィやマリに負けてる海洋国家日本。

海洋ゴミと聞いたら、一緒に水中文化遺産保護を思い出してください。


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水中文化遺産の分野では、まだまだですね。

不思議なことに、個々の研究者は素晴らしい実績を残しています。個人の努力は世界トップクラスの日本ですが、横のつながりや広く国の政策となると、残念な結果、内閣府の指針は世界最底辺です。

人類全体の財産と言ってますが、その人類が海に残した財産に関しては、無頓着です。人類全体の財産である水中文化遺産の価値を見つめて欲しいです。

科学と言えば…。アメリカ国家科学栄誉賞というのがあります。アメリカでは、ノーベル賞に最も近い賞と言われている栄誉で、科学に貢献した研究者に大統領から送られるものです。水中考古学の父と呼ばれるジョージ・バス先生(私の大学院の恩師)が受賞しています。そう、アメリカでは、水中文化遺産の成果は、トップクラスの科学の栄誉として成功をおさめたと認知されているのです。日本ではどうでしょうか?

海洋に関する科学や研究の事例として、水中文化遺産を扱っても良いのではないでしょうか?日本のほうが海岸線は長いのですから…。


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法の支配ーまた、ですね。法がありません。

生物多様性ーもちろん、これも大事です。でも、「生物多様性や水中文化遺産の保護など様々な分野において…」としましょう。

UNESCOやIOCも、水中文化遺産の保護を訴えています。日本は主体的に参加していません。

水中文化遺産にかける国家予算は、韓国など他国に比べると日本は1/100です。でしたら、生物多様性や海ゴミ対策なども、同様に他国の1/100でも良いかもしれません。海洋問題の中の課題について、これほど大きな隔たりがって良いのでしょうか?

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グローバル化が進むのであれば、より国際標準として水中文化遺産に積極的に取り組みましょう。

また、「海離れ」は、起こるべくして個々った結果です。1950年代以降、世界が水中遺跡の保護を進めてきました。護岸の開発、埋め立て、浚渫などに際して水中遺跡を事前に発見し、保護をして、調査成果を広く国民に伝える努力をしてきました。その結果、多くの国で海洋への関心が高まっています。きちんと過去を見つめることができる物的証拠があるからこそ、海への関心が持続しています。

海の大切さ・・・と言っても、人間は経験と実際に見たり触ったりすることでそれを学びます。今の日本だと、「海を大切にしましょう」と文字でしか読みません。実際に、過去の人類が海から受けた恩恵のその物的証拠を見る機会がありません。その物的証拠を探ることができる唯一の方法が水中考古学です。実際に遺物を見たり、遺跡を見ることで、海の大切さ、海とのつながりを体感することができます。残念ながら、その証拠を内閣は無視することによって知らずに破壊しているのです。「海離れ」は、その結果です。海離れを解消したいのであれば、最善の方法は水中遺跡の調査と活用です。

ここでも、水中文化遺産について触れていませんね。一番海離れが進んでいる内閣府から海に親しむ活動をして欲しいです。

残念ながら、「過去の人類の海との関係」を直接知る手がかりを軽視する政策をとっているので、海と人の関係は途切れつつあります。未来へ伝えるモノを残さないと、「持続の意味」が曖昧になります。

2.本計画の策定及び実施に関し十分に認識すべき事項

本計画の策定及びその実施に当たっては、海洋基本法に定める前述の6つの基本理念を引き続き踏襲し、広範で長期的な視点に立った海洋政策を進めていく。 
この際、1.で述べた海洋政策の実施状況とその評価を踏まえ、また、最近の情勢の変化を勘案し、さらに、将来に向けて、世界及び我が国周辺の海洋の状況、海洋に関わる産業、 技術、人材等の状況がどのように推移していくか等も見据え、以下に掲げる4つの事項をいずれも海洋政策上の喫緊の課題として十分に認識する必要がある。

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喫緊の課題として掲げる4項目

ア 我が国周辺海域をめぐる情勢への対応
イ 気候変動や自然災害への対応
ウ 国際競争力の強化
エ 海洋人材の育成・確保

本当は、5項目を掲げて欲しい。水中文化遺産の保護…。
もしくは、イ 気候変動、水中文化遺産保護、自然災害への対応など

国際競争力。人材の育成については、すでに述べましたね。


3.海洋に関する施策についての基本的な方針

前述の6つの基本理念及び本計画の策定及び実施に関し十分に認識すべき4つの事項に基づき、海洋に関する施策を総合的・計画的に進めるに当たって、「主柱」ともいうべき海洋政策の方向性を定める。 
本計画においては、以下のとおり、第3期計画の主柱である「総合的な海洋の安全保障」に加え、新たな主柱として「持続可能な海洋の構築」を建て、これらとともに、「着実に推進すべき主要施策」について基本的な方針を定める。

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3つの「柱」がこちら…

  ア 総合的な海洋の安全保障
  イ 持続可能な海洋の構築
  ウ 着実に推進すべき主要施策

安全保障に関しては、特に意見はありませんが…。例えば、中国・ロシア・ウクライナは、水中文化遺産を国際政治のカードとして使用しています。日本も、水中文化遺産を平和を目的に政治的に利用することもできます。特に戦争遺跡などをメモリアルとして活用することもできます。例えば、ロシアのいるティッシュ号など。

多くの国は、水中文化遺産を政治利用しています。プーチン氏は、クリミア沖で自ら水中遺跡を発見するパフォーマンスを通じて、クリミア近海とロシアを結び付けています。


そして、こちらはウクライナ。巡洋艦モスクワを水中文化遺産として登録。これは、歴史的な勝利であることの誇示、そして、さらには、その海域がウクライナの所有する海域であることを示すことでもあります。


さらに中国。数千年続く中国の海洋交易の証拠を示しています。そして、最後に現在の中国の政策と結びつける…


中国人は古くから、「人はみな公のためにある」と考えた。中国人は世の中がすべて調和し、彼我の差別のない「天下大同」を理想と考えた。この考えは、現代の「人類運命共同体」にも通じる。中国人は海洋交易でも、平和的な取り引きで互いに利を得ようと考えた。逆に西洋諸国は大航海時代を迎えると、植民地獲得や略奪に走った。中国とは全く違う道だった。
中国による海上交易の興隆と繁栄は、異なる国、異なる民族の間の文化交流をもたらし、異なる文化が互いに参考にし、学び合い、融合する状況を実現させた。交易によってもたらされた文化の融合は、今日の世界がどのように平和発展の道を歩むかに対して、極めて高い参考価値がある。

水中文化遺産の政治利用とでも言いましょうか…。研究成果は素晴らしいですが、この結論への飛躍に私はついていけません。

日本も、水中文化遺産を平和的な主張をするために利用してみるのも良いかもしれません。遣唐使船の日中共同発掘などができれば、お互い政治的なつながりなど交友が深まるのではにでしょうか?ミサイルなどは溝を造るもの。共有文化遺産はその逆で、2つの国を結ぶものです。

次は持続可能という言葉について。
改めて…水中文化遺産の保護は、SDGs(目標14)に含まれています。持続とは、「現在残されたものをどのように未来に伝えていくか」と言い換えることができます。過去無くして持続可能な未来をどのように描くのか?人と海の関係の歴史を見つめることが、実は最も重要であることがわかります。

着実に推進すべき施策…。

ウ 着実に推進すべき主要施策 
主柱である「総合的な海洋の安全保障」及び「持続可能な海洋の構築」とともに、「着実に推進すべき主要施策」として、海洋の産業利用の促進、科学的知見の充実、海洋におけるDXの推進、北極政策の推進、国際連携・国際協力、海洋人材の育成・確保と国民の5 理解の増進、新型コロナウイルス等の感染症対策を位置づけ、それぞれについて、基本的な方針を定める。

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なんと、コロナウィルスの感染症対策はねじ込んでいるのに、人類の過去の痕跡を保護することについては触れていません。

この後、14ページから34ページまで、この3つの柱の詳細な例、推進すべき事業が細かく紹介されています。

     3-1.「総合的な海洋の安全保障」の基本的な方針
     3-2.「持続可能な海洋の構築」の基本的な方針
     3-3.着実に推進すべき主要施策の基本的な方針

基本的には、もうすでに述べたことの繰り返しになりますので、割愛。突っ込みどころは、ほぼ各ページに数か所ありますね。どれも、国際的とか他分野との協力、持続可能などなど。国益の確保などもあります。文化遺産を守ることは、国益とは無縁なようです。

防災についても度々触れています。水中遺跡は、過去の防災の記録を残しています。遺跡から過去の地震のデータや津波の被害などもうかがえます。また、津波などで遺跡が破壊される可能性もあるので、普段から広範囲において災害により破壊される可能性のある(水中)遺跡、まあ、リスクの高い場所を知っておくことも重要です。災害により被害を受けるのは、人だけでなく、水中遺跡も同様です。地震で文化財が壊れた!というニュースもありますね。文化財レスキューというやつです。水中文化遺産も、レスキュー事業に組み込むことも想定しましょう。

開発に対しての環境とのバランス。これも大切。開発で遺跡が破壊される前に遺跡の場所を把握すること。EEZでも遺跡の周知を進めて行くための法的根拠と体制の整備をお願いします。海洋資源の開発に関しても、国際的なスタンダードを明確に示していますが、水中文化遺産の保護に関しては、論外なままですので、総合的なスタンダードをお願いします。

Page17-18にかけて、海洋関連のプロジェクトの推進にあたっては、フロントローディングの考え方に基づき…俯瞰して取り組む、とあります。

フロントローディングとは、「開発プロセスの初期段階において「負荷を掛ける=十分な検討を行う」ことで、できる限り早い段階で多くの問題点やリスクを洗い出し、対策を講じる手法。これにより、全体の品質を高める効果がある。」としています。いや、日本は50年遅れていますので、時すでに遅し、です。

俯瞰…いい響きですね。俯瞰しても水中文化遺産は見えないようですね。もっと高い位置から見下ろす必要があるのではないでしょうか?もしかしたら、水中文化遺産以外にもないがしろにされている海洋科学の分野があるのかもしれません。

再度、SDGsや国際のキーワードですが…

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我が国の指導力~現在、モンゴル国よりも下にあります。

予防的アプローチ~つまり、EEZにおいて遺跡を事前に発見し周知化することでしょうか?できていません。

海洋と人類の共生~その証拠や次世代に伝えていくための遺産を無視しています。

リーダーシップやSDGSなどなど…結構頻繁に出てきます。それでも水中文化遺産については、どの項目でも言及されません。

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あと、「総合知」について…

人文・社会科学の知と自然科学の知の融合による人間や社会の総合的理解と課題に貢献するもの。総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会の議論を経て令和4年3月に公表された「「総合知」の基本的考え方及び戦略的に推進する方策 中間とりまとめ」では、「総合知とは、多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むこと」とされている。

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なるほど。総合知は、まさに水中考古学の分野がそれを具現化したようなものですね。特に水中考古学の分野で存分に発揮できるよう予算の拡充を期待したいですね。もちろん、ここには水中考古学のことなど書かれていません。

Page 32から、ちょっとイイ感じですが…

「里海」や「豊かな海づくり」、子供・次世代への海洋教育…。その根幹には、水中文化遺産があって欲しいものです。だって、未来を見るには過去を見ないと何も始まらないですから。素晴らしい取り組みなのですが、あと一歩欲しいところ。そもそも、国民の「理解の増進」のようなテーマを(6)と最後に持ってくるのは、どうでしょうか?私が策定するなら、最初に教育をメインテーマとして掲げます。

教育なくして持続なんてありえないし、過去も見ないと未来に伝えることが残らない。その単純な常識を理解していません。教育こそ未来です。

ちなみに、トーゴという海岸線延長60km、識字率70%、経済状況もよろしくはない国があります。この国は、ユネスコ条約をすでに批准していることはもちろんですが、それ以上に教育に力を入れています。水中文化遺産の保護を伝える動画を政府主導で作成し、義務教育機関に配布しました。また、毎週金曜日のゴールデンタイムにテレビCMで放映したそうです。その結果、国内で水中文化遺産保護の機運が高まり、高等教育などでお水中考古学が学べる環境になりつつあるとか…。動画作成とCM放送など日本政府でもすぐにできることではないでしょうか?

第2部 海洋に関する施策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策


第2部では、以下の内容について詳しく書かれています。35~89ページまで、結構長いですね。

   1.海洋の安全保障
   2.海洋状況把握(MDA)の能力強化
   3.離島の保全等及び排他的経済水域等の開発等の推進
   4.海洋環境の保全・再生・維持
   5.海洋の産業利用の促進
   6.海洋調査及び海洋科学技術に関する研究開発の推進等
   7.北極政策の推進
   8.国際的な連携の確保及び国際協力の推進
   9.海洋人材の育成と国民の理解の増進

読んでいて、また同じような内容…と思うところばかり。まあ、これは行政文章のしかたないところ。この順番ですが、「海洋人材の育成と国民の理解の増進」を最初に持ってきたいです。海への理解がないことには、何のために海を守るのか、その目的意識が薄れてしまいます。国際協力の推進も上位がいいかな。そして、海洋環境に関しては…きちんと文化遺産もその中に含むと明記するのか、もしくは、10項目として「水中文化遺産の保護と活用」を追加するべきでしょう。内陸国よりも程度の低い海洋政策では、海洋立国とは呼べません。

内容は…かなり淡々と詳細について書いています。結構、踏み込んだ取り組みを実際のデータなどをもとに計画を練られて書いているようです。どれもきちんと検討しているのでしょう。なかなかの努力と仕事量、熱量を感じ取ることができます。

それぞれ個別の事例は、必要なことであり、特に意見はありません…が…

水中遺跡に関する取り組みはどうなんだ? 遺跡の名前ぐらい挙げたらどうなんだ?

まあ、つまり「ヒトを支援するAIターミナル」に関する取組を深化させることのほうが、日本が管轄する領域の中に存在する文化遺産を守ることより重要だということでしょう。遣唐使船、朱印船、三角縁神獣鏡を積んだ船、朝鮮出兵の際の船、地震・津波で水没した村、さらには、日本に初めて渡ってきた旧石器時代の人々の痕跡…。さらには、他国では文化遺産として保護を呼びかけている・所有権が明確なスペインやオランダの船、日露戦争の船(オスラヴィア、スワロフなど)…これらすべてひっくるめても、AIターミナルよりも価値が低いのでしょう。

キトラ古墳も、もし水中にあったら保護されていなかったのでしょう。正倉院などに保管されているものや、天目茶碗などは国宝として保護されているのに…

内閣府の現状と考え方…

天目も 水に浸かれば ただのゴミ


気になる所、ちょっとした話題を取り上げてみました。

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北朝鮮の木造船、調査したいな…。いや、消えゆく運命にある木造船は、貴重だと思います。高麗や李氏朝鮮時代の木造船が韓国では数隻調査されていますが、それらと比較してみたい。


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なるほど。いや、しかし、ユネスコ水中文化遺産保護条約を締結した際のトップは松浦さんでしたね。彼も、退任してからは、どうして日本は批准に向けて動かないのか、嘆いていました。

30年ほど前でしょうか、とある国際会議で、日本の政府関係者の方が「日本の水中遺跡の取り組みについて簡単に教えてください」と問われ、「日本では水中遺跡について取り組みを行っていないので、お答えできません」と答えたという伝説が残されています。その場には、鷹島海底を訪れたことのある外国人研究者が同席しており、何かの冗談なのか、何かの間違いか…、どのように対応して良いのか、かなり困惑した雰囲気になったそうです。

世界の中で、「水中文化遺産を専門的に取り扱う政府機関の無い国」も珍しいです。それが、世界第6位の海域を誇っていますね。

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漁業者から情報を得るのであれば、海揚がり品に関する情報や、海上保安庁が把握していない海の中の障害物の把握にも努めて欲しいものです。「積極的に情報の提供を自治体に提供するよう促す」など。


韓国のシステムの例
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「海しる」は、素晴らしいシステムです。ここにある情報を、自治体の文化財担当者の方々にはぜひ見てもらいたい。ここで水中文化遺産の情報を集約して公開しても良いのではないかと思う。


https://www.msil.go.jp/msil/htm/main.html?Lang=0


Page49-50

EEZの課題は、もうお分かりですね。法の支配って、法律作ってよ!

4.海洋環境の保全・再生・維持
 51-58ページは、「海洋環境の保全・再生・維持」です。
これだけのページをサンゴの保護や海ゴミなどなどに使っています。水中文化遺産も同様に、項目として入れていないのは、なぜなのか?

5.海洋の産業利用の促進
 次の産業など海の利用ですが…開発行為・漁業行為などで、文化遺産が破壊されないよう、しっかりと遺跡の所在を把握する必要があります。環境アセスメントの一環として、水中遺跡調査の実施を義務として。それが、世界のスタンダードです。

6.海洋調査及び海洋科学技術に関する研究開発の推進等

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国連海洋科学の10年の取り組みである水中文化遺産保護を徹底しましょう。この後、さらにUNESCO等が出てきます…同じことの繰り返し。

総合的観測網の構築ですか…水中遺跡を発見した際の報告のシステム化をお願いします。

調査技術! 水中遺跡探査は、けっこう新しい探査方法などを提案したり手法の検討など、別分野にも応用できます。最近は、AIによりデータの分析が進んでますね。人工物か自然のモノか見分ける技術、いろいろと応用できそうですね。

サイドスキャンソナーとかサブボトムプロファイラなど、様々な探査方法がありますが、データの分析にはこれまで経験がものをいう世界でした。これからは、DeepLearningによりAIが沈船を探しだす。そんな研究がアメリカや中国で進んでいます。

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素晴らしいですね。基礎研究、市民参加型、総合知。

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水中文化遺産の研究機能の強化をお願いします。また、分野を超えるのであれば、そこもやはり。


7.北極政策の推進

特に意見はないですね…、北極圏にも遺跡はあります。アリューシャン列島やベーリング海近辺で水中遺跡調査してみたいな~。


8.国際的な連携の確保及び国際協力の推進

上でも書いた通り…

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国の政策にこんなセミナーが登場するとは…。セミナー自体は、良い取り組みなのでしょうが、国の水中文化遺産の取り組みとほぼ同様の扱いであるのは、なぜでしょうか? 文化庁が実施した水中遺跡に関するシンポジウム、日中韓文化フォーラムのような事業(あれ何年前だ?)を継続して実施し、国際的な視野の中で水中文化遺産保護を目指す。などなど、いろいろ書けるぞ。


9.海洋人材の育成と国民の理解の増進

やっと、水中文化遺産が登場します!国民の理解の増進の中です。ここでは、3項目に分かれています。

  (1)海洋立国を支える専門人材の育成と確保
  (2)子どもや若者に対する海洋に関する教育の推進
  (3)海洋に関する国民の理解の増進 

さて、この 「9.海洋人材の育成と国民の理解の増進」の中の(3)海洋に関する国民の理解の増進において、水中遺跡が語られています。

水中文化遺産の取り組みと同列の取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか…。

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どれも、特定のプロジェクトやセミナー、取り組みなどの紹介に見えますね。かなり具体的な内容です。その中で、国の海洋政策の柱として存在するはずの水中文化遺産に関する取り組みは、具体例が示されておらず異様です。文化庁の取り組みである「水中遺跡調査検討委員会」のように、名前を出しても良かったのかと…あと、『水中遺跡ハンドブック』に書かれた内容のプロモーションなどでも良かったのでしょうね。

ここで書くべき内容は、例えば、「水中文化遺産の保護の重要性を呼びかける動画を作成し、全国の中学校に周知し義務教育の中で水中遺跡の理解を深める時間を設ける」などではないでしょうか?識字率70%のトーゴが行った事例ですね。

具体例を示さないのはなぜか?
それだけ内閣府が水中文化遺産について検討していない・知識がないからなのではないでしょうか?

海洋国家である我が国の歴史・文化を知る上で重要な文化遺産である水中遺跡について、遺跡の保存や活用等に関する検討を進める。(文部科学省)

およそ60文字….。

しかも、文部科学省に限定されているようです。

さらに、「検討」を「進める」のであって、「保護する」わけではない。

まあ、それが5年前のコピペであり、10年前ともそれほど変わらない。前回も、呆れたのを覚えています。今回ほどの衝撃ではありませんでした。


第3部 海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項


もう、書く気力もありませんが…

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時代に即して柔軟に対応
 →→半世紀遅れてますよ。

重点的に取り組むものが何か議論
 →→おそらく「文化」に関しては、ほぼ議題にも載せていないのは明らか

幅広い関係者
 →→文化関連の専門家はどれほど呼ばれたのか。そもそも、水中考古学で博士号を持っているの日本で3人なので、呼ばれるのか疑問ですね。文化庁内でもしっかりとした水中遺跡の知識を持っている人がいませんので。

海洋政策の推進状況の評価
 →→例えば、外部評価として、外国の専門家に委託してみるのはどうでしょうか?

更に幅広い専門家
 →→え?「更に」トル でお願いします。  
 →→いや、というか、専門家でない人を募ったらどうなのか? 専門家って、意外と視野が狭くなりがちだし、自分のフィールドを推すでしょうね。もし、私が専門家として呼ばれたら、そりゃ、自分の意見を主張をしますよ。いっそのこと、素人集団に評価や議論をさせてみるのも面白いかもしれませんね。新たな発見があるだろうし、本当に市民が何を思っているのか、何が重要なのか、考えるきっかけになるでしょう。

まあ、実は、それがパブリック・コメントを求める理由ではあります。ただし、結構偏った意見が集まることが多いです。


終わりに 


このことについては、後に詳しく書こうかと思っていますが、水中遺跡の保護に関しては、海洋政策の中の部署(セントラル)と地方公共団体(ローカル)のハイブリッド形式が良いかと思っています。その間に文化庁が入る形をとります。

基本は、データの収集と遺跡の周知化です。発掘などは、ほとんど行いません。海洋開発や他の研究で得られた海洋データは膨大なものになります。例えば、海底断層調査、湾内の海底地形の調査、その他サンゴなど生物の調査。そこにあるデータは、一つの分野にとってみればノイズにしか見えないものの、実は他の研究者にとっては貴重なデータかもしれない…海底深くに眠るレア・アースの堆積層を探るのに、地表面にある小さな粒のような埋もれた何かの物体など興味ありませんーまあ、しかしそれが曜変天文茶碗30点を積んだ沈没船かもしれない。海洋で工事をする前に、からなず地質や海底の様子を探査します。それらのデータには、遺跡が映っていることもあるでしょう。それらのデータをできるだけ一元的に中央で管理します。

基本、研究で得られたデータは、保存はするものの急いでデータを見る必要はありません。開発が行われる場合は、そのデータをその場で検証し、遺跡がないか判断します。また、その周辺で得られた研究データも一緒に見直します。このデータを見るのがセントラルの役目です。AIも活用します。

地方公共団体は、小規模な開発であれば地元で、大きな公共事業であればセントラルでデータを共有しながら遺跡の有無を確認します。セントラルとローカルで情報は共有します。また、それぞれの地方で文献史料の精査や魚漁業者からの情報をくみ上げて、それぞれの地域で周知の遺跡の候補地を登録していきます。何かの研究が行われる時には、セントラルからローカルに地域にとって重要な遺跡がないか情報を共有します。

ざっくりいえば、そんな感じです。文化庁が出版したハンドブックの内容、これまで地方で行ってきた日本式の埋蔵文化財行政を、そのまま水中にも適応させます。その上に、セントラルとなる部署を内閣府に設けます。そこで海に関するデータを管理。地方地方でローカルで強みのあるデータを集める。

はっきり言って、突然、地方自治体職員に、沿岸部での開発に伴う調査で得られたサイドスキャンデータを分析して遺跡があるか判断しろ、と言われても無理です。また、それぞれの自治体が主体となって探査を実施するなど、できればよいですが、経費の無駄ですし、費用対効果は抜群に最悪です。一元化して、きちんとデータを読める人が中央で管理します。できる職員がいれば、もちろん地方と協力しながら実施します。

地方自治体が得意とすることは、その地方に存在する文献史料の整理や地元の伝承の精査、また、漁師さんなどの聞き込み、ちょっとした地元の海の特色や利用方法です。その強みを存分に発揮してもらう必要があります。一方、音波探査などのデータの見方や探査技術は、専門家に任せる。つまり、それぞれの強みを適材適所で発揮させることです。現在、進んでいるEEZにも及ぶ海洋開発に、自治体が関わるわけにはいかない、そうなると、セントラル部署が必要になります。ユネスコ水中文化遺産保護条約でも、国で水中遺跡を管轄する部署が必要であるとしています。

海洋立国であれば、これぐらいの部署は作れるはずです。半世紀遅れた分野ですので、投資するのは当たり前です。いつまでもモンゴル国よりも程度の低い水中文化遺産保護体制では、日本のリーダーシップは発揮できません。水中文化遺産は世界最低レベルなのに、他の海洋問題に首を突っ込んで偉そうな意見を述べても説得力はありません。

先にも述べましたが、このセントラルとローカルのハイブリッド方式については、これからもう少し詳しくどこかで書きたいと思っています。今回は、ちょっとした先取りとしてお知らせしています。

このような部署を造れるのは、文化庁ではなく、内閣府です。内閣府が、国の方針として水中文化遺産を保護していく、それが日本政府に求められていることなのだと思っています。

それを考えると、たった60文字、さらに具体例を示さずに「検証する」と15年間もコピペを続けている現在の方針では、全くお話にならないのです。

そうこうしている間に、文化遺産の破壊は進みます。継承するものがない海の文化、持続をテーマに語っても説得力がありません。触れる・見れる・感じることのできる海の文化遺産がなければ、海の魅力は薄っぺらいものになります。海離れの原因はそこにあります。世界がブルーエコノミーや海洋問題に取り組む中、日本は孤島に取り残される運命にあるように見えます。

海と人の歴史を語らずに、海洋立国など言っている人は、海についての理解が皆無だと証明していることになります。おそらく、すでに1万件以上の水中遺跡が破壊されているでしょうが、まだ、内閣府が本気を出して取り組めば挽回できるチャンスは残されています。

今こそ、水中文化遺産を国の海洋政策の主軸に据え、世界の中でリーダーシップを発揮して欲しいものです。それを期待しています。

ぜひ、パブリックコメントの提出をお願いいたします。

4月2日まで!


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