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山と仕事と事業の話|人の意思決定は気分の影響を受ける、気分は目の前の状況の影響を受ける

はじめに

こんにちは。えりりんこと白井恵里です。株式会社メンバーズ(東証プライム)執行役員 兼 メンバーズデータアドベンチャーカンパニー(以下DA) カンパニー社長をしています。DAは企業のデータ活用を支援する事業をやっています。事業立ち上げ時から社長を務めています。

「山と仕事と事業の話」シリーズは白井が仕事や事業の話にかこつけて山の話をしたいだけの軽い雑文です。社内向けコラムとして書いていたものですが、特に社内向けだけに閉じる理由がないのでnoteに掲載します。
山はいいぞ。

※山は素人です。大体適当なことを言ってます。事業も一回目の素人です。個人の感想を言っています。あしからずどうぞ。

お盆なので山に行きました。いつもは単独行が多いですが、今回は3人で行きました。リーダーなど役割分担は特に決めませんでした。荒天でなければ危険性の少ない登山計画で3人と少人数だったのでまあいいだろうと。是非はあるでしょうがその点についての議論がしたいわけではないので割愛します。

ただ、暗黙の了解として、このメンバーで行動するときは、基本的に言い出しっぺがリーダーであり、かつ、言い出しっぺが企画や手配の労を取ってくれるため、意見が別れた場合、その人の意思決定に従うというのが通例です。

さて、お盆ですが、急に発生した台風が色々引っ掻き回してくれて、全国的に荒れた天気となりました。予定は、登山前日に関東を車で出発し、北陸の山の麓で車中泊し、翌日登り始めて山頂を踏み、森林限界より上にある山小屋で1泊し、翌日下山し関東に帰るというもの。移動・車中泊含め2泊3日の行程です。3人の誰も行ったことはないルートです。

1日目、出発日、その時点の予報から「目的の山は天気は悪いが行動できないほどではない」と判断しました。ただし台風の影響もあり日本海にある低気圧と前線の動向が読みづらいということで、予報が変わり計画を見直す必要性がでる可能性が高いことは頭に入れていました。

で、移動中、石川県の能生のインターに差し掛かった頃ですかね、新たな予報をみて、やはり予報は悪くなっていました。なので一度最寄りのSAで車を止め、話し合いをすることにしました。

最新の予報は、翌日=山行1日目の午前中は何とか天気保つかも、午後からは雨、そして翌々日=山行2日目の午前は雷雨の可能性があり、午後も雨足が弱まっても強風の恐れがあるというものでした。また、全日程通して展望は望めなさそうでした。

私としては、以下のように考えました。

  • 前提として、風雨の危険性は森林限界を超えたところで高まるが、ルート上、森林限界を超えたら山小屋まで安全地帯はないと思った方がよい

  • 山行1日目は午前は行動可能で、昼までに山小屋に入ることが可能

  • 山行2日目は午前は雷が鳴っていれば行動は不能、昼までに雷がおさまれば標準的な所要時間で行動すれば日没前に下山可能

  • 山行2日目は昼までに雷がおさまらなければ下山不可能で山小屋に延泊して停滞せざるを得ない

  • いずれにせよ行動中に雨には降られると思った方がよく、汗や雨で肌着が濡れて森林限界を超えたところで強風に吹かれた場合、低体温症になる可能性はゼロではない

  • 低体温症や転倒などでの歩行不能者が出たらこの3人では移動はできないと考えた方がよく(誰も人一人背負えない)、その場合吹きさらしの場所=危険性が継続して存在している場所で1人が人を呼びに行く間もう2人は待機になる可能性が高く、全員危険である

  • っていうか展望ないなら行ってもテンションあがんなくない?

ということで、個人的な気持ちでいうと登山決行には後ろ向きでした。また、日本海から離れるほど天気はマシで、翌日=山行1日目であれば南アルプス(長野南部〜山梨)の方の山なら曇りで場合によっては晴れ間がのぞく時間帯もありそう、という情報も収集していました。その時点で引き返して南アルプス方面に向かえば、夜には登山口につき、車中泊して翌朝から登り出すことも可能でした。ちなみに翌々日になると前線が南下する見込みで南アルプスの天気も怪しそうでした。なので登る山を変えるなら早い方がいい。

ですが、私の認識では、私には意思決定権がない。または行使するつもりがない。なので、私の把握している情報と所感を伝えて、言い出しっぺの意見を聞きました。

で、これがまた、なかなか収集がつかない。話し合いをしているさなか、能生のあたりでも、車の外は大雨になったり、日が差したり、数十分の間に目まぐるしく天気が変わります。私にとって最大の焦点は翌々日の下山時に安全に行動ができるかどうかが不明ということなので、時間も地理条件も違う能生の今の天気は判断にほぼ関係がない情報です。私の考える論点を伝えて同意を得られていても、人の気持ちというのは今の状況に引きずられるもので、雨が強くなればやっぱやめようかとなり、日が差せばやっぱいけるのではないかとなる。ここまできたサンクコストもあるし、まあ話がまとまりません。

結論、予報はまた変わるかも知れないし、予定通り当初の山の登山口まで行き、翌朝また判断しようということになりました。繰り返しになりますが、私にとっての焦点は翌々日の天気なので、翌朝の天気を見ても判断はできないのと、登り出す時間にはおそらくまだその日の天気予報は発表されていないということもわかっていたのですが、とはいえまとまらないものはまとまらないので、個人的にはとりあえず判断を先送りにした形です。

翌朝出発時刻ではまだ雨は降っておらず、少し日も差していました。天気予報は更新されておらず、新たな情報は現時点では雨ではない、ということだけです。その新たな情報に背中を押される形で出発を決めました。なので、私個人としてはその時点で、翌日の下山に少しでも無理を感じたら停滞することにして、今日は今日の行動のことだけ考えるということに切り替えました。今日については、森林限界に到達する手前に避難小屋があるので、樹林帯を抜ける地点でまた天候を見てその上部での行動が難しそうなら引きかえそう、それも難しそうなら避難小屋に入ろうとということを2人に提案し、合意を得ました。その上で、携帯の電波が圏外になる前に、予定通り下山できず停滞となった場合に備えていくつか連絡をして、出発しました。

結果としては、森林限界に到達する前に雨が降り始め、テンション下がってやめよっかってなって引き返してきました。で、その日は観光しながら南アルプスに移動し、翌日に南アルプスの山に登って帰ってきました。ガスと強風でしたが雨は降らずまあまあ楽しめました。

結果オーライだし、私個人としては山頂を踏むことが目的ではないので別に問題でもなかったのですが、まあでももう少しスマートな意思決定のしようはあったよねって気持ちになりました。試みに、どうしてたらよかったかちょっと考えてみます。

まずなぜ収集がつかなくなったのか。

  • 意思決定は気分の影響を受ける

  • 気分は目の前の状況の影響を受ける

みたいなことがふわっと影響してそうだなと。特にプライベートの遊びだと顕著っぽいですよね。というか遊びの意思決定で気分を優先しなかったら何を優先するんだって気持ちにもなります。テンションが上がらない遊びなんてしたってしょうがない。

とはいえ、登山のように危険を伴う遊びは、その場の気分だけで行動を決めるというわけにもいきませんし、検討のための時間を無限に使えるわけでもありません。

じゃあどうすればよかったのか?

  • 目の前の状況に不必要に惑わされることを避けるために、合理的に判断できるときに判断しておく

というのがベターかなと思いました。リーダー=意思決定者、指示命令者を決めて合意しておく、というのも解決策になりそうではあるんですけど、その人が気分だけで行動を決めないという保証もないです。

じゃあ具体的にどう実現するのか。

  • 事前に条件分岐を洗い出し、条件ごとにオプショナルプランを決めて合意しておく

ということになるかと思います。つまり、「こうなったらこうする」を決めておくということです。判断基準を合意しておくという言い方もできますが、感覚的には、判断が必要になったときに備えて判断を外部化しておく、みたいな感じです。あれ、余計わかりづらくなったか?

状況が変わったとき、あるいは危険性が目に見える形で現出したとき、冷静に、平静に、気分を乱されずにいることは難しいです。できるかもしれないですけど、めちゃくちゃ修練なのか素質なのかが必要そうじゃないですか。そしてそういった動揺している状態で判断をすると、普段正常な判断能力を持っている人でも、客観的にみたらとんでもない判断をしたりします。だったらいかなるときも冷静にいることなど自分含め人類に期待することはやめて、冷静に、平静に、気分を乱されずにいるときに、先に判断しとくほうがよさそうですよね。そしたら、たいていの場合、「普通に考えたらこうしたほうがいい」という判断が容易に実現できます。で、たいていの危険はそれで回避できます。

という感じです。振り返ると、私は単独で山に行くときはあまり意識せず事前に条件分岐とオプショナルプランを練っていることが多いということにも気づきました。しかし複数人で行動することになったらそれだけでは収拾がつかないということが今回の学びでした。

さて、仕事に落として結びます。今回は、人の意思決定は気分の影響を受ける、気分は目の前の状況の影響を受ける、ということを改めて強く感じました。そのため、気分に影響するような状況が現出してからでは遅いのです。そうなったら強権的にでも関係者を掌握して合意形成とかすっとばして指示命令するしかない。個々のパフォーマンスを引き出すとかは二の次で、やるべきことをさっさとやらせるしかなくなるわけです。そういう指示命令の形は否定しないというか、形によいも悪いもなく状況に応じた選択があるだけだと思うのですが、自主性やら自発性などを重んじることが個々のパフォーマンスの最大化に寄与することであり、望ましいことであるという考えを前提としている組織も多いでしょうから、そうなったら成員の組織に対する期待や認識との亀裂はどうしても入ります。

ああ前にも話したような結論になっちゃった。ってことは多分今の私にとって大事なことなんでしょうね。今の私にとって大事なことであれば、今のその人にとって大事なことである他の誰かもいるでしょうから、まあ、インターネットの片隅に公開しておきます。

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