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暗黒日記Z #32 「二十五歳、絵を始める」

言うてあと二日で二十六歳になってしまうこんなタイミングで始めたところでどうにもなるまいとは思いつつ、なんとイラストを本格的に練習し始めてしまった。愚かである。しかし元々興味がなかった訳ではないのだ。幼少期はカービィの絵をよく描いていた。丸描いて左右に半円くっ付けて下にも横向きの楕円二つくっ付けて、縦長の丸二つ中心に置いてそれぞれ半分黒くして、その下辺りに口っぽいの付けるっていう馬鹿ほど簡単な手順で描けてしまうので。でも思えば描くのはいつもその正面から見た姿ばかりで、横向きや何かアクションをしている様子を絵にしたことはなかった。

小学生の頃も初めのうちは絵を少し描いていた。レックスウィリーという、これもカービィのキャラクターなのだが、黒いバイクなのか一輪車なのかよくわからないやつで、大名作である「カービィのエアライド」に登場する。記憶が定かではないが、確かコロコロコミックに掲載されていた漫画にも登場し、私が真似して描いていたのはそちらの方の姿だったと思う。ある程度画力が付いてきたらその頃と比べてどのくらい描けるようになったのか確かめるために本気で描いてみたい。

その後はと言えば、『家庭教師ヒットマンREBORN!』にハマった影響で、小学校中学年くらいの頃は雲雀恭弥をどうにか描けないものかとしばしば練習していた。その甲斐あって、最終的にかなりこれはクオリティ高いのでは、と思えるレベルの模写が出来た。だがそれっきりで、特に理由もなく、私は絵を描くのを辞めた。まあ、そもそも習慣的に絵を描いていたわけではなく、本当に気が向いた時、年に数回くらいの稀なタイミングでしか描いていなかったので、辞めたというほどのことでもないのではあるが。一時的に夢中になって、しばらくして熱が冷めた、くらいのほうが言い方としては正しいかもしれない。

そんなわけで、随分描いていなかったとはいえ、一時期それなりにしっかり絵を描いてい……なかったわけでもない……わけでもない……感じなので、本当に微妙に、気持ちばかり、絵を描く楽しさは分かっていたから、十数年ぶりに本気で絵と取り組んでみて、私が最初に感じたのは懐かしさだった。そうそうこれこれ。こうやって、ね、描いていくと、そうそう。こうしたいんだけど全然出来ねーでやんの。うわ自分の線きったな。はーバランスどうなってんマジで。お前向いてないよ、やめときな。と、それはそれは頭の中が自分自身からの非難囂々でやかましいったらありゃしない。だけどそんなのも懐かしくてね。描かなくなった理由は特にないって言ったけど、たぶんこのいわゆる自分への失望で絵を描くのを辞めたんだろうな。

そういうものと今度はちゃんと向き合っていくべ、と思っている。何と言っても、幼少期と違う点として、私は小説を書いていく中で今述べたような自分自身からの非難囂々パーリナイを数えきれないほど味わってきたので、今更種類の違うパーリーが開始されたところであくまでもCoolでいられる気がするのだ。かの政宗公のように……。なんでこういつもいつも古のFUJOSHIみたいな文章になってしまうのか。腐女子だったことは一度としてないし逆立ちしたってそうはなれないというのに。何故か生まれつき心に飼われちゃってんだよな。私の中のそういう存在さんにはそろそろ安らかに眠ってほしい。

本題に戻ると、かくかくしかじかなあれで、私はこの度思い立って絵の練習を始めたのだった。自分への失望を甘んじて受け止めるとの覚悟とともに。大きな理由としては、以下の動画を見たというのがある。むしろそれしかない。突然YouTubeのおすすめに流れてきて、どんなもんやねんとほとんどあざ笑ってやろうくらいの気持ちで見て、めでたく人生観、いやさそんな大仰なものではなく、単純に絵というものに対する考え方を完全に変えられてしまった。

サムネとタイトルが絶妙に小物感あるんだけど、見てみたらこれ、押しも押されぬトップ・オブ・トップのイラストレーター、米山舞さんがメンバーのチャンネルの動画だった。他は花譜ちゃんのキャラデザとかしてるデザイナーよりの神絵師PALOW.さんもレギュラーで、サムネの絵はFAMYさんっていうこの人もまたとんでもなく良い絵を描かれる絵師さんのもので。その人が、よ。2013年の段階ではこのサムネの左側のような絵しか描けなかったところ、努力に努力を重ねた結果2015年には右側みたいなの描けるようになって、2022年現在は更にとんでもなくつよつよになって大人気イラストレーターとして大活躍してるってんだから、いやいやいや、ちょっとそれは、自分も絵描きたくなるって。本気で絵上手くなってみてえって夢見ちゃうって。と、まんまと刺激され、絵を始めてしまったのだった。

それが五日ほど前のこと。そこから毎日自分なりに練習していて、とりあえず現段階では今回の記事のトップにあるものくらいは描けるようになった。「描けるようになった」なんて言えるほど大したものではないが。これからもっと描き込んでいって一枚の絵として完成させたいと思っているので、まず最初の巨大な失望を自分に与えてくれるのはあの下書きの成れの果てになるということである。恐ろしや。一応、全体像も貼っておこう。ほぼ変わらんけども。

元にした写真はあるけど畏れ多くてモデルさんの名前も元画像も出せない……ユルシテ……。

たぶん来月の日記にもその時点の限界の絵が載せられると思うので、いい感じにご期待を乞いたさがある。何より自分が期待しているかもしれない。一ヶ月でどの程度伸ばせるかな。頑張りたいね。

最近ヒップホップ聴きがち。

そういえば、一つだけ付け加えておくと、本業は小説で時々絵の仕事もやる、みたいなことになれたら幸せだな、とか考えています。

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