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暗黒日記Z #37 「あとどれくらいボールを投げたら」

旅の終わりが着実に近付いて来ていて、既にそれがやってきた時のことを考えて辛くなっている。あんなに何度も何度もしつこいくらい勝負を持ちかけてきたあの子も、未だ正体の分からない電話口の相手──無論、電話がかかってくる時必ず姿を見せる素敵な髪型の紳士共々──も、時折遠路はるばる姿を見せに御足労頂いてしまっている特徴的が過ぎる教師達も、誰も皆一様にぱったりと姿を見ることは無くなるのかと思うと、これ以上先へは進まないというのが最も幸せな選択のような気さえしてくる。どうすれば良いのだろう。果たして、一体あとどれくらいボールを投げたら、旅の終着点に行き着いてしまうのだろうか。私は恐ろしくてたまらない。







ポケモンの話です。





カワイイイネェ! テェアゲテネチャッテ! ユメノナカデモショウブシテルノカナ!? メチャメチャツヨイモンネェ!!

全然そんなつもり無かったのに。一番最初のPV見た段階ではダイパリメイクがちょっとマシになったくらいのクオリティにしか見えなくて、それでオープンワールドになったところであり得たはずの素晴らしい未来の幻の中を彷徨う亡霊のような気分でしか遊べない気がしていた。だから買おうなんて気はさらさらなかったんだけど、発売後怒涛の勢いでTLへの放流が始まった主にネモ・チリ・ナンジャモ・クラベル・メロコ(敬称略)の情報にまんまと釣られ、そこへダメ押しとばかりに入ってきた友人からのタレコミが決め手となって、気付けば私の手の中ではパルデア地方への片道切符が悪魔のごとく微笑みながら佇んでいたのである。

こんなにも気持ちの悪いオタク語りをしているが、素直なところを言うと、私はそこまでポケモンというコンテンツにお熱な訳ではない。もう少しカタい、かつ殺伐とした、そして血が景気良くビシャビシャする、加えてトンチキ一歩手前のどうかしたストーリーが展開されるコンテンツが、ゲームが好きだ。ソウルシリーズ、ニーアオートマタ、十三機兵防衛圏、ペルソナ3ポータブル、といった辺りのもので私は出来ている。と自分では思っていたし、実際その通りなのは間違い無いのだが、存外自分の中でポケモンというものはかなり多くの比重を占めていたらしいことに今回気が付いた。

私の原初のポケモン体験は、家が近い友人(当時)のところへ遊びに行った時のものである。ルビーを貸してもらうことができ、そのあまりの楽しさに時間を忘れて夢中になっていると、近くで見ていた親達に「ゲームばっかりしてないで外で遊んできなさい」といった旨のお叱りを受け、泣く泣く外に出たという記憶がある。しかし外で子供らしく活発に(子供は活発に遊ばなければいけないものなのかどうかということについての議論はまたの機会にする)遊んだりすることは結局無く、不機嫌の極みに達して拗ねながら帰ったような覚えも無くはない。何にせよその日の集いが楽しいものとしてお開きになってはいないのは間違いない。こうして思い出そうとしているだけで胸が悪くなってきているくらいなのだから。

そんな昔話をしていて思ったのだが、私の「自分の物になった気がしない」という感覚はこの時に染み付いてしまったものなのかもしれない。欲しかった物をやっと手にしても私はなかなか自分の所有物になったような気がしなくて、壊れかける頃にようやく正真正銘自分の物になったのだなと実感を得る(そんな話をいつだったか雑誌のインタビューで藤原基央がしていて「分かりすぎる……」と立ち読みしながら深く感じ入ったりもした)こともある。「手に余る」という巨大な先入観を全ての物体に対して抱く。物体どころか観念的な方向でもその先入観は大いに発動する。例えば、私は上京してもう丸6年が経とうとしているが、今でも自分が東京にいるのだと心から実感しているかといえばそんなことはない。どこかでまだ余所者であり、一時的に腰を下ろしているに過ぎないと感じている。まさしく旅行者のような気分である。まあ事実として三十路までには地元へ戻るつもりでいるので十年間の旅行をしているだけと、長い目で見れば言うこともできるから、そんなどっちつかずな感覚になるのも仕方のないことなのかもしれないが。

そもそもとして、物心つく頃には私はいつか自分は東京に行くのだと信じて疑わなくなっていたのであって「今居る場所は本当の居場所ではない」という気分はその当時からのものなのだった。なので「置かれた場所で咲きなさい」だの「ここでダメなやつはどこ行ってもダメ」といった言葉が私は昔から嫌いで聞く度にイーッ! ってなる。イーッ! やかましいわい! ライカローリンストーン! デラシネ! どこまでも転がり続けるのが人生やろがい! イーッ! ロールウィズイット! ローリンベイベイッツオーライ! 言葉に笑みを奏でながら! って、まではならんけどそんくらいふざけろ痴れ者、と思うからどうかそういうことは私には言わないでください。永遠に前転を繰り返して手と膝の皮がズベリンチョフしてついでに頭もゾバブンチェフ・ペトローヴィチ・ヴォイニツキーしてしまいます。ラッシャーのカルチュアーは好きなもの多いから心苦しいよな毎日よぉ。早いとこあのシュセキエクソシストカッコワラさん諦めてくれないかな。あんまりこういうデリケートな話題はやめとこうね。このくらいにしとこうね。

お茶濁すためにお気に入りフォトぶん撒いとくね。

土砂降りの夜でもピクニックは楽しい
表情バグって、歯が痛いのを必死の思いで顔に出さないようにしてるみたいになった主人公ちゃんくんさん
フィルターによっては雪がこう見えるのかとよりにもよってな瞬間に気付く
現状最新スタイル。サナちゃん♂は直前までウッキウキで走り回ってました

右手親指が腱鞘炎なのか筋肉痛なのかいまいち動かし辛くなるくらいにはアホみたいに楽しんでます。ほんっとうに買って良かった。悩んでる人は買ったほうがいい。

最近久しぶりに「BEST HIT AKG」を聴いて「あっ!? 人生! これ、人生です!」となっていました。余談。

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