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暗黒日記Z #39 「ローソンの月見とろろそばが食べられないこんな世界なんか一緒にヒャッハーしちゃおっか」

全部全部めちゃくちゃになっちゃえ〜、と思いながら温玉の消えたそばと半熟ゆで卵を買って上手くすればあの味を再現出来るのではなかろうかと挑戦したところ無事失敗に至る。後日ファミマでとろろそばと温泉たまごを買って組み合わせてみたけどやっぱり私が愛したあの味にはならなかった。まるで知らなかったが鳥インフルの影響で卵が今かなり高騰しているようなので、それが収まるまでの一時的な措置であることに期待を寄せておきたい。そうじゃなかったとしたら最早完全自炊であの味を超えることを目指してみるしかない。それはそれで楽しそうだな。

数少ない好物といえる食べ物だった存在がこの世から一つ消失してしまったことで今や私に残された好物と言えばマックのダブルチーズバーガーとポテト、すき家の高菜明太マヨ牛丼くらいしか無くなってしまった。どっちもジャンクだしお子様感が強いのが少し恥ずかしい。そういえばガストのまぐろのたたきご飯も好きだ。もう随分食べていないけれど。デリバリーでは「ねぎとろ丼」という微妙に違うメニューしかないのでそちらは時たま頼んでいる。てっきりデリバリーだから無いのだとばかり思っていたが「ガスト まぐろのたたきご飯」でググってみると一番上に表示されるのは2016年の恐らく個人が運営していると思われる便利情報お届けサイトといった体のブログ記事で、それ以外にヒットしている物をスクロールして見ていっても、ここ1〜2年にアップロードされた記事は見当たらない。少なくとも検索結果の1ページ目に関しては、2019年にアップされている記事が最も新しいものだった。薄々そんな気はしていたが、もしかするとまぐろのたたきご飯も数年前にひっそりと消滅してしまっていたのかもしれない。月見とろろそばと同じく。

悲しい。好きだったものが消えてしまう。しかし完全にもう二度と会えないという訳ではなく、とてもよく似た異なる形で出会えたり、全く違うけれどまた別の魅力を持ったものとして出会い直せたりするのは間違いない、という確信めいた希望を持てているこの感じは何となく引退したVtuberに抱く感情に近いものがある。どこかで楽しくやっていて欲しい、願わくばまた推させても欲しい、とまぐろのたたきご飯と月見とろろそばに思いを馳せる。合掌。

別れについて長々と語ってしまったが、世界というのはまあよく出来ているもので、大きな別れがあった時にはほぼ同時に大きな出会いもあったりする。何だか下手糞な落語の枕のようなことを言ってしまったけれど実際そうで、私は今「ボーダーランズ2」というゲームに夢中になって、毎日なかなか長時間遊んでいる。あれはいいものだ。ざっくり解説すると「パンドラ」という惑星でマッドマックスなヒャッハー野郎共をイカした銃火器でヒャッハーしながらトレジャーハントするゲームなのだが、これが本当に楽しい。

リアル寄りのカートゥーン風グラフィックがまずとても良い。これについては見てもらった方が早いのでリンクを置いておく。

ね。楽しそうでしょ。何だか分かんないけどワクワクするでしょ。映画の予告編にありがちな本編のノリとはだいぶ違うというようなこともなく、プレイ中も大体こんな感じで進んでいく。火を崇拝する妙ちきりんなカルトの信者を目的地まで連れて行くとそいつが炎に焼かれながら「ああああ最高〜!」みたいなことを叫びつつ果てて終わるクエストやら、自分を馬鹿にするために荒くれ者どもが装甲車に付けているオブジェをガレージに飾りたいから集めてきて欲しいって頼まれてそこら中の物騒な車達と機銃をぶっ放し合いながらカーチェイスしなきゃいけないクエストやら、いちいち見事に頭のネジが飛んだ内容になっていて気持ち良い。いま例示したのはちなみにどちらもサブクエで、メインストーリーに関わるクエストはもうちょっとシリアスだったりもして、しっかりとした物語も楽しめる。

そしてグラフィックや世界観だけでなく、システムも楽しさを補強してくれる。基本的に銃を使って敵と戦うゲームなんだけど、その銃の性能がランダムなのである。銃は宝箱のようなものに入っていることもあれば、倒した敵がドロップすることもある。一般的なゲームではそうした時の武器の性能は完全に固定されていたり、そうでなくともある程度その段階での適正といえる範囲の強さに留められていることが多いが、ボーダーランズシリーズはそうはいかない。武器の性能はランダムなので、思いがけなく異常に強い銃が手に入ったりする。FPSでありながらレベルや経験値といった概念があるRPGでもあって、それぞれのエリアごとに敵のレベルは決まっているので、敵のレベルに対して圧倒的な性能を持った銃が手に入れば、面白いくらい簡単に蹂躙することも出来てしまうのだ。そうやって敵を倒していったり敵の拠点の宝箱を漁っていったりする中でまたレアな強くてかっこいい銃が手に入り、それを手にして別の敵達を倒しに行くともっとレアな銃が手に入ってしまったりする……という風にガチャ的な楽しさもあるのがこのゲームをより深くしている。むしろそれが一番の醍醐味ですらある。ボーダーランズはランダム生成される武器の性能を吟味して自分好みの武器を追い求め続けていくゲームだと言い切ってしまっても、きっとファン達は頷きこそすれ首を横に振りはしないだろう。

持てる武器の数には制限があるので、より強い武器と出会う度にそれまでの愛機とは別れなければいけないのが辛いところだが、その儚さも面白い。あまり他では味わえない喜びがある。やはり全ては出会いと別れなのだ。「さよならだけが人生だ」と言った寺山修司の境地にまた一歩近付けたような気がしている。

特に理由もなく毎月の更新をサボってしまっていた期間はフィッシュマンズにハマったりもした。

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