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『盲学校でマジックショーを!』万博 [著] を恵贈してもらった話。

現在。マジックマーケット2023秋というビザールなイベントが開催されています。

マジシャンはそれをマジケと呼んで、その時期が来ると大はしゃぎになります。わたしも大はしゃぎです。わたしはマジケが開催されると変な壺を出品したり手品と関係あるのかないのか分からないエッセイを出品したりするのですが、そんなよく分からないものを買って、レビューまでしてくださった方がいました。それが、万博さんです。

万博さんのTwitterなどを見ますと、昨今まで手品原理主義の怖い人なのだろうかと思っておりました。が、わたしのエッセイをブログでめちゃくちゃ褒めてくれており(http://bampaku-magic.blogspot.com/2023/05/blog-post_14.html)、それ以来、わたしはこの人を素晴らしい人だと認識を改めました。

そんな万博さんから、DMが来ました。今回のマジックマーケット2023秋に万博さんが出品される著書、『盲学校で、マジックショーを!』をわたしに恵贈してくださるというのです。めちゃくちゃ驚きました。そして、めちゃくちゃ嬉しかったです。

届いた当日に読みました。あっという間に読んでしまいました。

目の見えない人にマジックをするとしたら、自分はどんなマジックをするだろうと、ぼんやり考えたことは人生の中で何度かありました。

でも、そんな機会はそうそうないし、まあいいか。と、いつからかそういうことに考えを巡らすことがなくなってしまいました。

でも、万博さんがこの本を送ってくれたおかげで、またそれについて思いを巡らせることができました。

アルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』というSF小説があります。あらすじを簡単に言いますと、のび太くんみたいなボンクラが宇宙の彼方に置き去りにされて、漂着した変な星で科学的な異星人に訳のわからん刺青を入れる手術をされて超人になって、宇宙に置き去りにされたことにムカついて暴れるみたいな話です。

この小説にオリヴィエという盲目の王女様が登場します。彼女は可視光を見ることはできないのですが、赤外線や磁力線などを電磁波として見ることができる特殊能力を持っています。

物語の後半で核だか隕石みたいなものが地上に降り注いで、大地をボコボコにしていくシーンがあります。
盲目のオリヴィエは破壊的な衝撃によって生じた電磁波や磁力を、まるで美しい虹彩のように感じて、外に飛び出して踊ります。目の見える人にとってはめちゃくちゃやべえ状況の中で、盲目のオリヴィエは虹の中にいるように、るんるん気分で踊るのです。

そして、全てが破壊し尽くされて無音になった瓦礫の中で、オリヴィエは、この世にたった1人になってしまったように静かに立ち尽くしている。みたいなシーンがあります。

盲目の人が見えている世界は、いったいどんな世界なのだろう。それを想像するきっかけが万博さんのこの本に書いてある気がします。

わたしたちは本当の意味では、たぶんみんな何も見えていない。でも、相手が見ている世界を想像する努力をすれば、少しだけ他人が観ている世界が見えるようになるかもしれない。

そんな気がします。
万博さん、ありがとうございます。

マジケ期間中ならマジケ会場に行けば買えるので、普通は体験できないような他人の人生を覗き見したい方はぜひ触れてみてください。

マジックマーケット2023秋
https://tozakiweb.com/magicmarket2023a/

万博さんのブログ
http://bampaku-magic.blogspot.com/

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