見出し画像

ベトナム鍋図鑑/『シーズン1の最終回はハノイで南部名物花鍋』


いつの間にか3月。ハノイは朝晩は涼しいものの昼過ぎには連日30℃近くまで上がり、春を飛び越えて一気に夏になったみたいで鍋の季節はおしまいです。っていうかそもそもハノイに春があるっていうのはウソ八百。冬の次は夏です。乾季もありません。
そういうわけでこれは今シーズン最後の鍋。ニッポンでのすき焼きも含め12鍋を描いたのでいい区切りです。
 
行ったのは第1回のハゼ鍋と同じ南部料理の店です。南部料理に鍋があるということは、カレ等カノジョ等 暑いのに1年中鍋を食べるということです。
因みに鍋料理の店で看板にサウナの文字を掲げている店が少なからず存在します。汗をかきかき鍋をつつく。どういう格好で食べるのかはわかりません。

サウナ鍋


ホーチミンには花鍋の専門店があって一度行ったことがあります。さすがに種類、鮮度、見せ方とも見事な花の山でした。ただそれがウマいかというと、、花弁あるいはガクと呼ぶべき部分は薄い紙を食べているようで。
俗な言い方をすればインスタ映えはするでしょう。
 
ここは普通の店です。前回はハゼが主役で野菜の一部が花でしたが今回は花が主役です。
地味なバナナの花も入れて全部で5種類。細く切る前のバナナの蕾は長さ30cm太さ10cmくらいあり、しかも高貴な紫色で実にリッパです。
ここに並んでいるのはどれも花鍋の定番です。花と言っても何でもいいワケではありません。
 

バナナの蕾


スープにはいろんなモノが初めから浮かんでいます。花が味気ないので魚と肉のダシが欠かせません。
肉は牛、魚はメニューによるとHemibagrus FishというCatfish=ナマズ系の川魚です。大体ハノイの店で出てくる魚は川魚です。泥臭くてこんなの食えるかっ、って叫ぶニッポン人がたまにいます。
ナマズを漢字で猫魚って書くのは髭があるからです。
あとは川エビと川イカ、んなワケない。
 
スープがウマかったです。以上。
 
花鍋なので女性に人気、なんて書くと、それは時代錯誤的表現と言われても仕方ないものです。
ワタシは商売柄そういうことに敏感で、公共施設のトイレで女はピンク、男は青みたいな表示を見ると冷や汗が出ます。ベトナムでは大体両方とも同じです。洒落たつもりでスカートとズボンみたいなのはあります。
テレビの温泉番組で男湯はボカシを入れればハダカを映してもいいだろ、っていうのも同様です。じゃあ女湯も映せばいい、って言うのは一理あります。
複雑な世の中です。民族のブンカは別にまた存在するのでテレビでやらなきゃいいだけのことです。
 
話が逸れました。
そもそもなぜ鍋の絵を描き始めたかというと日常性の中に潜む無限の多様性を感じるからです。
見せ方も様々。ニッポンでは鍋の中に具を並べた状態が見せ場になりますが、こっちでは具材を盛り付けた大皿が華です。
因みにワタシがこれまでの人生である程度集中的に描いた食べ物は駅そばと味噌煮込みうどんでした。何でも手当たり次第に描いているワケじゃありません。コレクター魂に火が付く瞬間が必要なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?