人事から見た求人ってどんな感じ?【採用計画編】

みなさんこんにちは。
キャリアについて迷走し続けた結果、キャリア迷子というコミュニティを作ってハーメルンの笛吹きのように皆を巻き込みながら一緒に迷子になろうとしているさいとぅーです。


こちらのコミュニティでは、キャリアについての悩みや困りごとについて相談したりボヤいたりネタにしたりと色々な内容が飛び交う場となっております。
ただ、なにぶんチャットなモノで、話題はどんどん流れていってしまいます。
そのため、よく出る話題については記事としてまとめた方が有意義かなと思ってこのたびnoteを書き始めました。


で、何についてまとめたらいいん?と皆に質問してみたところ、一番多かった回答がこちら

人事目線の求人/採用について


というわけで、本日は人事目線での採用活動についてまとめていくよー!


さて、企業目線といっても、
・大企業なのか中小企業なのか。
・ベンチャー企業なのか老舗企業なのか。
・人員補充のための採用なのか成長に向けた採用なのか。
様々なポジションや思惑があってその全てを網羅する事は残念ながら難しいです。

ですが、折角みなさんに人事目線について興味を持っていただいたので、僕が人事だった頃の経験も踏まえ、どのようなプロセスを経て採用活動を行い、どのような行動や意思決定をするか。について、少しでもお話できたらと思います。

この採用プロセスを抑えれば
「この企業の立場ならこういう考え方するかもな」
みたいに少しだけ想像しやすくなるんじゃないかなと思います。

というわけでプロセス全体の話に言及するので、お話しする範囲がどう考えてもめちゃくちゃ広くなります。
そのため大きく分けてこちらの三つに話題を分けてみますね。

①採用計画について
②求人募集の方法について
③実際の選考について

というのも、普通に何も考えずにダラダラ書いてたら1万字余裕で突破しそうで、これ誰が読むねん。となったため記事ごとバッツリ分断します。

というわけで今回は採用計画編です!


①採用計画について

人事の採用活動は採用計画から始まります。
昔とある有名なチワワも言っていました。
「ご利用は計画的に」と。

では、この採用計画はどのように決まるのでしょうか。
勿論企業によって違いはあると思いますが、大抵の場合は企業の経営計画の一部として組み込まれます。

この計画ですが、企業の健全な経営のためにはホントに色々な計画があって、それに言及するだけでまためちゃくちゃ長くなってしまうのですが、その中の柱となるのがこの流れ。

中期経営計画 ⇒ 年間計画

中期経営計画とは、3~5年後に我が社はどうなっていたい?というものを大まかな計画に落とし込んだものです。
上場企業なのかそうでないのか。安定企業なのか急成長企業なのかで計画の精度に大きな違いがある印象が個人的にあります。

また、ワンマンな社長が経営する中小企業の場合、この中期経営計画という存在すら知らない場合もあるので注意が必要です(?)

中期経営計画は市場の影響を受けて細かい判断は追い追い行う事もあるため(公開していないだけで実際は細かく予算として決めてしまう事も全然ありますが)詳細については決めず、重要な項目のみ決定し、全体としては大雑把に決める場合もあります。

一方年間計画は、事業の方針と同時に予算計画として「毎月どれぐらいの売上と経費があって最終的にどれぐらいの利益を出すか」を細かく決めるのが一般的です。
特に複数の部門がある企業の場合はこれをやらないと全体としての整合性が取れず気が付いたら赤字だった!みたいなことになる危険もあるので、ある程度の規模の会社であれば大抵行なっている事かと思います。


人事の話しろって言ってるのになんでこんな話してるかって?
ここでやっと採用の計画について言及出来るのよ。ちょっと待ってってば!


さて、企業には非生産部門と言われる部門があります。
間接部門と呼ばれる事もあるこの部門は、わかりやすく言うと企業の売上に直接的には関係しない部門の事を指します。

例えばイメージしやすいのは経理です。
経費処理や決算処理などの会計業務は、企業運営としては非常に重要な部分ですが、ここを頑張ったから売上が上がるという事はありません。
そしてもちろん人事部もこの非生産部門に当てはまります。

そのため、基本的には人事部が採用予算として確保できる額は、生産部門が立てた予算計画の利益の範囲内になります
※オーバーする経営判断も勿論出来ますが、その場合は当然赤字計画です。

また、生産部門の予算計画は人事部の採用計画を前提として立てるので、相互に影響しあった予算の立て方になります。

超簡単に説明するとこんな感じです。

正解のない部門間戦争

そして、採用費だけでなく、採用したら採用した分人件費が掛かるのも忘れてはいけません。

企業の経営について考える時に、簿記の超基本的な部分として企業の業績はこんな感じで分類されます

売上  :お客さんから貰ってきたお金
原価  :商品を売るのにかかった費用。材料費とか
粗利益 :売上から原価を引いた利益
販管費 :家賃とか人件費とか売上に関係なく掛かってくる費用
営業利益:粗利益から販管費を引いた利益

そして、どの部署に誰を配置するか決めた時点で、その部署に掛かる人件費がほぼ決まります。人員を増やせば増やしただけ費用が増えるため、利益を出すために必要な目標売上も上がります。

シビアな話ですが、企業が採用を行うのは”人が足りなくて忙しいから”ではなく、”売上を上げるため”であるというのは改めて意識してみるといいかもしれませんね。

企業によって意思決定の仕方は違うと思いますが、お金の流れと言う意味ではどの企業もこの原則から逃れる事は出来ないので、頭に入れておくのも大切な事かと思います。


予算の奪い合い

そのため、もしかしたら直接見たことないかもしれませんが、大抵の企業では人事部長と営業部長は毎年予算計画を立てる時に殴り合いの喧嘩をしています。


もちろん嘘です。


とはいえこの喧嘩を両成敗にすると大抵の場合それぞれの事業部にこんな落し所がミッションとして与えられます。

生産部門:うまく採用出来なくても関係ない。売上を上げろ。

人事部門:予算は大して割けないが関係ない。良い人材を採用しろ。

状況が悪化しただけじゃねぇか!!!


大分脚色入れましたが、採用計画とその予算確保のプロセスは大体こんな感じです。
ちなみに予算計画を立てた後。例えば期の真ん中ぐらいでどっかの偉い人が「人を採用したい!」とか突然言い出したら「追加予算ゼロだけど何とかして採用して!」とかいう意味不明な無茶振りに発展する可能性がありますが、なんとか頑張ってください人事の皆さん!

で、この予算を基にどのように求人の手法を決めていくか。については次回の「求人募集の方法について」で触れたいと思います。


さて、改めて上記の予算を元手に採用計画を立てる必要があります。
一つの観点は、どの部署のどのレイヤーの人を採用するか。です。

どの部署のどのスキル感の人が必要?

超雑ですが、まず大枠こんな感じで、どの部署のどの役職・スキル感の人間を採用するか。を考えます。
新卒を中心とした未経験レイヤーであれば、採用後の教育期間を長めに想定する必要がありますし、経験者であれば少なめで考える事が出来ます。
管理職を外部からいきなり採ってくるのは、様々な理由から勇気が必要ですが、人事異動なども会社全体の組織設計を考える上では重要な判断です。

例えば「名古屋支社の営業部課長を本社に戻したいが、代わりに担当出来そうな人が現地に居ない。では、外部から採ってきて、半年~1年程引継ぎを済ませた後東京に動かそうか。」
みたいな感じですね。この辺の判断は組織の人数・文化で大きく変わる考えかと思います。

もしくは職能的な考えで、経理部の管理職クラスが欲しい。とか、Webデザイナー部の経験者が欲しい。とか、営業部に新人を数人入れたい。とか。
いずれにせよこんな感じで大枠の要件を決めます。

続いて決めるのがジョブディスクリプションです。
昔横文字が苦手な役員が一生舌が回らなくて困っていたぐらい言いにくいワードです。
日本語で言うと職務記述書というらしいんですが、こちらもザックリ言うと、どのようなスキルを持った人に、どのような業務を、どのような条件で任せたいか。をまとめたモノです。
一旦パッとイメージしやすいもので言うと、求人の募集要項だと思ってください。
真面目に作成するときは、開示する範囲やしない範囲も含め、社内の細かい状況や背景も元に作成するので、もうちょっと細かく作成する事もあるし、全くしない事もあります。

最後(?)に決めたり決めなかったり暗黙の了解で進めたりするのがコンピテンシーです。

引用:d'sJOURNAL(https://www.dodadsj.com/content/200918_competency/)

先ほどのジョブディスクリプションを作成するときは、基本的にはスキルや経験を元にポジションを設計します。
しかし、社内で成果を出す人って経験だけでわかるだろうか?
という問いに対しての回答の一つとして考えられているのがこちらの概念です。

人事畑や経営畑に居た事が無い人はあまり関わった事が無いキーワードかもしれませんが、日本語の意味としては「成果を出す人の行動特性」と言われています。だったら最初っからそう言えよってね。この界隈も地味に横文字多くてめんどっちいですね。

例えば営業部であれば、成果を重要視している。とか、逆境に強い。とか、自律して行動できる。とか、こういう要件を設定します。
可能であれば、自社内の成果を出している人の特徴を精査した上で設定するのが理想です。

このコンピテンシーをきちんと設計していると、色々な会社で面談時に実施している適性検査の効果もより向上します。
ただ、かなり難しい概念なので、ここをやりこんでいる企業はどこまであるかな?というのが個人的な所感です。

さて、果てしなく長くなりそうなので今回はここまで。

次回以降で改めて
②求人募集の方法について
③実際の選考について
について触れていきたいと思います。
どの媒体で転職活動を行ったらいいの?とか、
求人票を見る時のコツとかある?とか
どういう人が企業に求められているの?とか、
就活は何ですればいいの?とか、
面接時に気を付ける事は?とか
その辺は後々触れていきたいと思いますー!

改めてキャリア迷子の告知です。
こちらのオープンチャットにて、キャリアについてのお悩み相談、迷走、脱線しまくった雑談などのやり取りしております。
社内や身内の人に気軽に相談するのは難しい問題だなぁと常々思っていたりするので、困ったらここの知らない人たちに「えいっ!」って質問投げ込んでみるのもいいかもしれませんよ


ついでに、僕が何者なのかについて、地味に良く問われるので簡単にまとめておきました。興味ある方はこちらからどうぞー

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