ぶどうの夢

深夜、ふいに目を覚ました。
ふと気になってキッチンのテーブルに置いておいていた葡萄を眺めた。
葡萄からはちりちりと小さな光が蒸発するように立ち上っており、葡萄の生命が少しずつひかりとなって失われてゆくようであった。
私の家は、都心の交通量の多い高層マンションの中層階である。
窓から漏れてくる光が、部屋中を赤や青、黄から紫へと様々な色に柔らかく照らし出す。
ふいにこの葡萄が、この世にある物質で唯一、わたしが生まれてきて、現在存在していることの不思議を知っているような気がして息を飲む。
わたしのこの瞬間は、二度ともどれないんだ。
静かに葡萄が橙色に照らされてゆく。
こんな夢を見ました。

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