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これからの旅の前夜

今月で今の仕事を辞める。
いつ頃からやめようと思っていたのかな?とここ1ヶ月ふりかえる。

それは5年前ごろだった。結構時間がたっているな。

5年前、1人目の産休と育休から復帰した。
上司や同僚ががらりと変わっていた。
その事自体は特に気にならず、一番仲の良かった子と会えないのが寂しかったぐらい。
しかも復帰する前から、新部署ができたら移る事になっていたので、お客様気分だった。

そして復帰してから6か月して2人目の妊娠がわかった。
会社はその事も受け入れてくれて、予定通り新部署に移った。
新部署はできたばかりで特に仕事らしい仕事はなかった。
ちょうど「つわり」が酷い時期だったから、一日椅子に座っていればOKという感じだった。本当に「ありがたい環境」と待遇だった。
休みも自由にとっていいといってくれて、
私が休みたい曜日はその後、その部署の「定休日」となった。

新部署の他の人たちは、個人的な仕事をするので、
私とは厳密にいうと仕事の内容が違う。
私は、たまに電話を取ったり来客に少しだけ声をかけたり、
備品を補充するだけで怒られることもなかった。

私はいつか「何してるの?」「もっとやることあるでしょ?」とか
「妊娠してるからって甘えないで」とか「仕事しないならやめれば」とか言われる日が来るのかもと内心びくびくしていたが、その事はまるでなかった。

それは、今思えば暇すぎる故の被害妄想で
他の人は私の仕事に気をまわしている暇もなく仕事していただけで
私の仕事や存在は「会社が決めた、ここにいる存在」でしかなかったように思える。

朝きたら「おはようございます。」
昼になったら「休憩いってきます。」
時間が来たら「お疲れ様でした。」
途中数度「お手洗いに行ってきます。」

本当に私は透明人間じゃないだろうかと思うくらいだった。
なぜその時辞めなかったのか?
それは妊娠していて、つわりも苦しく。
この上なく「ありがたい環境」だったから。
透明人間でもよかった。それだけ。

私の場合の「つわり」ってほかに何も考えられないくらいつらい状態だった。幸せだけどつらい。そんなことは妊娠するまで知らなかった。

赤ちゃんが欲しくて欲しくてやっと1人目が授かって、2人目も欲しくてほしくて、でもそんなにすぐには来てくれないだろうと思っていたら、来てくれた。だから妊娠できたことは本当にうれしかった。
今までのなかでも運がすごくいい事だったし
だからほかのことは2の次3の次だった。

だった。だったのだけど、
心の中のちいさな私は仕事にたいしてこれでいいとも思えてなかった。
正直、「仕事している」実感はなく、つまらなかった。
本当の心はそうなのにそう思ってはいけないと自分に言い聞かせ始めてた。周りにも、主人にさえも。

「ありがたい環境」と思おうとしていた。

その頃からだんだんとほんとうの心と理性の心が分かれていった。



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