2X年前の高校通学記

前回の続き、肝心の高校生活。

入学式から何を着ていくのやら?という状態だったが、姉のブレザーを借りて微妙に微妙に髪をこげ茶に染めてみたりした記憶。でも保守的にやりすぎて全然染まっていなかった。笑
クラスは最初こそ高校外部(「高外」と呼ばれます。中学からは「中外」、小学校からは「スーパー内部」笑)で固まりがちでしたが、3年間一緒なのですぐに関係なくなっていきました。

入ってみて分かったこと、思ったより体育のウェイトがデカい気が…。
最初の頃の体育でサーキットトレーニングみたいなのを4人1組でやらされて、中外の子2人と私と高外の子と4人で組んだのですが、まぁ~キツイこと!!!
ぜぇぜぇ言いながら、でもさすがにここでへばったら体育会系の名折れじゃと何とかこなしたんですが、高外の子もちゃんとできるし、中外の子もちゃんとできる。
後から分かるんですがその中外2人も体育が得意な持久力おばけ、高外の子も運動神経抜群で、私も体育会系だったからそのトレーニングがこなせただけなようで。(なぜ貴方はこんなキツイのをできる…?)と4人が4人とも思ったらしい。だよね、キツいよね??!
それから夏近くに蓼科の山を登らされるのですが、登山靴を買って結構な岩場を登らされる。き、きつい!
けどあんなに普段は青山でしか服を買わないの★とのたまってた、ひ弱で運動苦手なスーパー内部の子も真っ青な顔をしながらちゃんと登ってる。
スポーツテストの学校平均値が全国平均のはるか上なんだよね。最初そのグラフ見てびっくりしたけど、中学は遠泳もさせるらしいし、とにかく体力が活動の根幹だぞという感じだった。
皇族の方もあの険しい山を登られるのだろうか。SPさんも登るのだろうか。それはそれで大変だろうけどちょっと見てみたいしやるからには頑張っていただきたい。

ちなみに学力は高外が一番。でも陰キャイケてない系の比率も高め。中外はほんとに受験して入った??という子もいれば頭抜群にいい子もまぜこぜ。ただ基本的には真面目。スーパー内部は学力が下の確率が高く、できる子のほうが相対的に少なめ。でも一番陽キャで、何より開業医の子供や経営者の子供など金持ち比率が高い。キラリと光る頭の良さの子や、教育熱心な親御さんなんだろうな…という子ももちろんいる。でも勉強面では相対的にコンプレックスを抱えがちらしい。
そんなわけで高外と聞くとおぉっと言われがちだが、高校合格者の名前が入った塾のチラシと塾の成績とを母がマーカーで全部照らし合わせてくれて(こういうのが好きな親なのだ…)、系列塾からの合格者がみんな私より全然前の順位の子、下手したら1位の子とかいるのも知っていたので高外といえど最下位で入ったのは間違いない、こんな高外もいるんだとでも思ってくれとまたしても底辺根性で通っていた。

総じて言えたのが、勉強ができることが全然ステータスではなかった。いやある程度はおぉっとなってはいたけど、なんせ順位が出るテストは皆無。何となく頭の良さそうな人は分かるけど厳密には分からない。それよりもパッと目立つ他のこと、歌が上手かったりスポーツができたりダンスが上手かったり、元も子もないが容姿が優れていたり、何か「+α」があることが結構求められているような感じだった。
それはある意味残酷だったような気もする。クラスは違うが高外の子で心身のバランスを崩してしまった子がいた。伝え聞くところでは勉強ができることがステータスの世界から来て自分には何もないと感じてつらくなったようだ。そんなことはないのになぁ。でも確かに何かしらの個性がないとちょっとキツい環境というのは分からんでもなかった。「この子はこういう子」というラベルがあった方が生きやすい感じ。それはこの高校に限らず思春期のやり過ごし方の一つなのかもしれないけれど。

私の場合は茨城から来たというのが思わぬ個性になっていた。聞いたことない路線で長時間かけて来ていつも東京マップを持ち歩いている、市外局番が4桁の人間。
千葉や埼玉からくる子は珍しくなかったがさすがに茨城はいないようで。毎日2時間くらいかかるのでもはや小旅行。ちょっと遠い駅まで送迎してくれたり、お弁当作ってくれた親に大感謝。幸い座れたりはしたのでめっちゃ寝てた。あと椎名林檎とかCoccoとか鬼束ちひろとか聞いて闇落ちしてた。

あとはバレー。「茨城からバレーのできるなんかよく分からんやつが来た」となったらしい。先生もバレー経験者でまぁまぁしっかり指導してくれるし、キツめの合宿はあるし、何人かの子は中学からバレーしているから上手。
でも初心者も入り混じっているし、中学の時はレギュラーになれるかなれないか的なポジションだったが、高校では即レギュラーで試合に出られた。
バレー部の仲間ともみんな仲良くなってカラオケに行ったり池袋で遊んだり、茨城にはなかったスタバに行ったりして楽しかった。
あんなに中学時代は泣いて泣いて嫌で嫌で仕方がなかったし辞めたいが辞められる雰囲気でもなかったから続けていただけなのに、ボールが来たら問答無用で飛び込む身体になったが故に高校時代及びその後の人生の支えになるというのはなかなか考えさせられる。無理やりにでもめちゃくちゃやって体得させる方がよいのだろうか。

そして鉄緑会。最初はなんのこっちゃ分からなかったけど、HPとかで全然宣伝していないのに有名な東大に行くための塾があるらしい。確かに通っている子はいたけど、当時は今ほどは有名ではなかったしあんまり通っている人も多くはなかったような。普通に代ゼミとか駿台とか行ってた。私も行かなかった(というかそもそもどうやって行くのかよく分からなかった)ので、結局どんなところかは分からずじまい。
ただ、言いたかないが鉄緑に行こうが行くまいが高校ではむしろ「地頭」の違いを大いに感じる機会の方がずっと多かった。こりゃ敵いませんで…という。
スーパー内部で鉄緑に通っていていつも授業中に内職していた子はいたけど、正直それでも成績は…だったりとか。
一方でずっと遊んでたり寝てたりマンガしか鞄に入ってないし赤点ばかりの子が本気出したらサクッと東大や東工大行っちゃったりとか。
脳のCPUが違うし発想が違うんだよね。特に男の子。弓道大好きだった友達は矢の初速度と角度と飛距離を物理の実験用品とくっつけて実測して、更に戦国時代の文献を調べて武将の○○は○○飛ばしていた記録がある、ということは速度は…その速度を出すためには…みたいなことを調べて発表してきたり。バリバリの文理融合かつアクティブラーニング。

ここ最近、筑附小のお受験熱が過熱しているように思うけど、果たしてそこに通わせたい親御さん方が学校に期待することと学校で得ることは一致しているのだろうか…と思わなくはない。少なくともいい大学に行くための勉強をするといったことは全くといっていいほどなかった。親御さんの教育熱がものすごかったけど本人は自分に限界を感じてこれまた心身バランス崩してしまった子もいた。当たり前だけど、入ればパラダイスというわけではない。

生徒間の距離も近かった。男女カップル誕生しまくりだし、カップルまでいかなくとも男女みんな仲良く話してた。小学校からだともはや腐れ縁レベルらしい。雅な方もむしろ楽しめるんじゃないかな。私ですら授業中も隣の席の子とめっちゃ喋っていたし勉強もしょっちゅう教わっていた。はっきり言えば明らかに特性持ちな高外の子とかもいたけど、彼らの発想のファンだから、彼らの考えていることを聞いているだけでとても楽しかった。その子は開成にも合格していたけど男子校だとひどくいじめられるかもというところで筑附に来たらしい。やっぱりどうしても浮いていたところはあったので彼が学生生活を楽しめたかは不安だけれど、楽しんでいられたと信じたい。

文化祭も、ここは陽キャなスーパー内部が主導してバンドを組んで演奏してる前でモッシュに加わったり、天体観測を熱唱したり、学生漫才を見に行ったり、面白かった。
スポーツ大会はバスケに3年間出続けて全勝優勝したりした。えへん。
ハロウィンでクラス内で飾り付けしてドレスコードオレンジで仮装することにしたら、それを聞いた教科の先生がダースベイダーの恰好で来て、自前ipodでダースベイダーの曲まで流して大盛り上がりだった。その話を聞いた別の教科の先生はわざわざ昼に家に帰って、ターバン巻いて来た。
面白すぎるし、そうやって生徒の自由さに乗ってきてくれるのがすごく嬉しかった。
学習院との定期戦もかなり盛り上がる。自分にとっては晴れ舞台。バレーで勝ててMVP取れた時は、同じくバスケでMVP取った子とハイタッチしたり。うぅ、青春。

いいことばかりではもちろんなかったし、友達関係には悩んだこともまぁまぁあったし、恐らく結構美化もしちゃってるけど、友達に「高校から来たけどまさに筑波っ子って感じがする」と言ってもらえたのは嬉しかったな~。確かに「筑波らしい」子というのはいる。あと親も高校で起こったあらゆる話を通して面白がってくれて、遠かったけど行ってよかったねと終始言っていた。

なお進路指導は全くなかった。とりあえず塾には行っていたが、見て分かるように遊んじゃってあんまり勉強しなかったな…。浪人前提の学校かも。
志望校の前期に落ちてしまい、後期はセンター+面接と小論のとこにしたのだが、前日に初めて担任の先生に電話してここを受けるんですと言っただけだった。でも先生は「そうですか、そりゃ一発すごい小論を書くしかありませんね」とめっちゃ軽く言われて、さすがこの学校の先生だ!と笑ってしまってかえって緊張がほぐれた。別に生徒が難関大に合格しようがしまいがどうでもよい、人生の力点はそこにはないといったメッセージを感じた(あんまり深い意図はなかったのかもだけど)。学校全体のメッセージのようだったし、それが心地よかった。

皇族の方はどのような進路を進まれるだろう。かなり取りざたされてしまったけど、きっとこれまでもこれからも背負うものが大きくてしんどいこと多いだろうなぁといち平民は思います。
せめてあの門の中においては、心ほぐれる高校生活を送っていただいて今後の人生の一助となればよいな…と思うばかり。

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