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光に揺れる 【散文詩】



カーテンに囲まれた部屋ではじまった一日は、心拍数の音でけっきょく目が覚める、遅刻しないようにとかけたアラームの5分前、音が鳴るなら何でもよかったんだと思って、ゴミ箱に目覚まし時計を捨てた水曜日。カラスの鳴き声がピアノみたいに美しくて、誰も死ぬことができない世界を、わたしたちはまだ知らない。
よく停電になる部屋は、生きているのか死んでいるのかわからないけれど、自分の意思で壊れることはないから、お金を払って住む価値はあると思っています、誰にも死ねって言われないから、部屋は安心してしまう。
外の街は感情がないから、ひたすら人を受け入れられる、やさしい人も、希望を持った人も、さみしい人も、人殺しも、それって素敵なことだと思う、わたしには全員が狂ってるようにみえるから。

わたしと、生きることの関係性、きみと未来の共通性、目に入る全てが忘れられなくなるような、窓を開けたら射し込む光、風が吹いて、窓から入り込んだ木の葉や花びらが部屋を埋め尽くすとき、生まれて初めて流れだす涙だった。



きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野