インナーチャイルド

栓を抜いた浴槽の残り湯が、最期に咳をするような。
そこにピアノの不協和音を握り潰して、滴らせて、ふと鏡に写せる自分がいないことに気付くような。
喩えるならそんな感じの悪夢を、ずっとループ再生している気がする。
私の手も目も耳も、私が証明したいと思うけれど、そのたびに靴紐にまとわりつく罪悪感。
私だけはそうしてはいけないって、幼い声をした影が泣きじゃくるんだ。

#詩 #散文詩 #自由詩

自由

最近の自由という言葉に違和感ある。自由になるお金の稼ぎ方教えます。というアレ。

何を言ってるんだろう?ってなってしまう。
確かに物理的な自由は得られるものかもしれないけど、物理的な自由は他に拘束されてしまいそうになるんではないか?
本来の自由って孤独のことを指すのに、今の自由はうまい具合にすり替えられて行ってる気がする。

ねえ?気がついてる?自由の真裏に束縛が有って、束縛の真裏に自由がある。

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こうして僕たちは

秋風の吹く街
澄んだ宙空に浮遊する蜻蛉
顔を撫でる冷たい風
鈴虫の羽音
夏の終りを告げる音色

ざわめく焦燥
暁の幻影
漆黒の鴉
コンクリートの壁で屈折する影法師
開いた瞳孔を手で覆い
瞼に焼きついた黒猫の残像を払い落とす

こうして僕たちは死に近づいていく
こうして僕たちは詩に近づいていく

光に揺れる 【散文詩】

カーテンに囲まれた部屋ではじまった一日は、心拍数の音でけっきょく目が覚める、遅刻しないようにとかけたアラームの5分前、音が鳴るなら何でもよかったんだと思って、ゴミ箱に目覚まし時計を捨てた水曜日。カラスの鳴き声がピアノみたいに美しくて、誰も死ぬことができない世界を、わたしたちはまだ知らない。
よく停電になる部屋は、生きているのか死んでいるのかわからないけれど、自分の意思で壊れることはないから、お金を

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昔日に滲む 【散文詩】

背もたれに寄りかかって、海を見ているとき、わたしを見つけられるのは月か星、ビニール傘をさしてはいるけれど、降ってくるのは雨みたいな光ばかりで、ビニール越しにも、夜空がよく見えた。わたしたちの記憶からこぼれて、忘れていった思い出が、海底で泳いでいます。たまに海へ来ると、思い出が、音を立てながら遡って来るんです。だから、海へ来てしまうんだと、気づいてしまった。外が明るいか暗いかで、朝と夜を判別して、洗

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それは誰の声だったか

微熱
熟した果実と甘い瞑想
発熱
途切れた記憶の断片を追いかけて
走る、走る、走る
黎明
錆びついた刃の綻び
移ろい、翳り、動乱の最中を闊歩する
輪廻
抱き上げた翼、溶けない翼
枯渇する飽和
語り継がれる童話

「いいかい、君たちは、ここにいるんだ」
「うん、わかったよ」

それは一体、誰の声だったか
曖昧な感情、朦朧とした意識
消失点を探して、遠くを見つめる
熱を帯びた空気を肌に纏い
濡れた髪を

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【生存確認日記】8月12日[月]〜8月18日[日]

12日(月)
今日は洗濯もしたし部屋の掃除もがんばったから気持ちが軽やか、部屋がきれいになると嬉しいし生活が楽しい。

13日(火)
今日は外でご飯。
アボカドのマリネめっちゃ美味しいし、馬刺も最高だった。

14日(水)
今日の映画館はトラブルがあったりして長く感じた。お疲れ自分。
そういえばなんんだか無性に観たくなった映画があって、久しぶりに「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を観た。
やっ

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ろんど

洗いざらしのTシャツが好き

太陽のにおい

潮風の波紋

アスファルトの曲線

月明かりの囁き

長い一日が静かに終わる

短い季節の鼓動が始まる

静かに袖を通す時が好き

コートに付いたクリーニングのタグ

そっと切り離して

ゴミ箱に投げ捨てる

気付かれずに息を吐く

静かに 

ゆっくり

透明な朝に

飽和した湿度は白煙を立てる

エルフ

11人のエルフ
尖った耳
緑色の服を着て
草木の中を飛び回る

小さな洞穴
秘密の入り口
薄暗いトンネル
地下へ続く螺旋階段

檻の中の少女
拘束された少女
盲目の少女に
エルフの姿は見えない

少女を囲む11人のエルフ
手には小さな斧
11の斧が少女を襲う
少女は悲鳴を上げる

一体 何度この夢を見ただろう
左腕の傷跡を数える
それは12回目の悪夢

詩眠

詩は浮かぶ 大抵は毎日
とりとめのないものばかり
それを下書き保存
投稿はせず 寝かせる
布団をかけて『おやすみ』

翌日 まだ寝ている詩を起こす
少しだけ本来の詩の民が顔を出す
昨夜はあんなに優しそうだったのに
今はどうだ
起こし方が乱暴だと喚いている
『ごめんね』と謝ってから
投稿ボタンを押す前に
また ひとつ浮かんで書いては
『おやすみ』