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月嵐 【散文詩】



私たちは簡単に、きみに対して泣くなとか、死ぬなとか生きろとか言えてしまうのに、どうしてもっと簡単に、泣き叫べとか、死んでしまえとか言わないのか不思議に思う。私たちはもっと単純に死んで、その度に生き返って、今日という日を瞳のついた太陽みたいに簡単に生きれたらいいのに。何度目かの朝、歳を重ねすぎてしまったせいか、生き返った、という感覚が年々薄らいでいっているようで、さみしさの形をした光が今、私の鼓膜を揺らしている。

希望が背骨の裏に隠れてしまったからだろうな、明け方の死因の98パーセントは月明かりがまるで届かない。きみを悩ませるすべての悲しみから、きみを守りたいなんて、それはもはや流星群を動かすネジにでもなれなきゃ、難しい話だろう。



きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野