TACHIKAWA dystopia 3 NISHIFU

「今日はニシフに行ってきました」
「ニシフねえ。タチカワより何もないだろ」
「NGストアがあるんです」
「スーパー? タチカワでも買えるだろ」
「黒い会員カードを出すと3%オフになります」
「ふーん」
「ハウスDEPOもあります。チェーンソーオイルを買ってきました」
「ホームセンターか。お前チェーンソーなんて使うの?」
「ボスのデスクはあたしが作りました」
「えっこれ? IKEAとかで買ったんじゃないの」
「IKEAにあるもののレプリカです」
「器用だねー。お前配水管なんかもすぐ直すもんなあ」
「ニシフには古墳があります。アスカ時代のものです」
「いまから1800年ぐらい前か」
「古墳もレプリカなんですよ」
「あそこクマノ神社のとこだろ。最近は宗教弾圧が厳しいんだからあまり行くなよ。フチュウのオオクニタマ神社も閉鎖されただろ。今後は破壊するらしいよ」
「もったいないですね。オオクニタマはクマノより600年くらい古いのに」
「500年ちょい前にはミナカタ・クマグスって人がいたんだけどな」
「スクールで習いました。粘菌の研究の人ですよね」
「そんな弾圧に抵抗したんだよな。神社の森なんか粘菌の宝庫だしね。いまは森なんてないか」
「Mt.タカオのほうならあるんじゃないですか」
「あっちも閉鎖されたしね、どうかな」
「なんか厳しい世の中ですよね。どうしてこうなったのかなあ」
「俺も生まれる前からだしいろいろ報道も規制されてるしね。TVなんか観てみろよ食い物とアニメとお笑いくらいしかないだろ」
「あたしお笑い好きですよ。とくにブレックファストロールマンとか」
「知らないなあ」
「シンジュクLUMINEでよくライブしてますよ。
今度行きましょう」
「おっデートの誘い? うれしいね」
「セックスはなしです」
「ないのか」
「あたし彼氏いるもん」
「いるんだ。誰? 知らないやつかな」
「秘密です」
「ふーん。ま、いいけどね」

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