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TACHIKAWA dystopia 11 Ísland

「……何でお父さんはお母さんのこと殺したんでしょうね」
「母親が浮気したんだよ、親父の双子の兄と。親父は昔から彼に劣等感を持っていた。母親の浮気がトリガーになった」
「そうですか……」
「お前もさ、ママはお前が1歳のときには死んじゃったんだろ。辛いよな」
「覚えてないから……大丈夫です」
「そか。パパのことは知らないんだっけ」
「はい」
「アイスランドっていまどこにあるの? この前変なこと言ってたじゃない。別の宇宙にある、みたいな。お前ってそこから来たの?」
「虹が……」
「虹?」
「夜空に回転する虹が出てますよね。そこから行けます」
「よくわかんないな。俺も連れてってよ」
「それは駄目ですね」
「何で?」
「周波数が違うんです。振動のリズムを変えなければ行けないんです」
「やっぱよくわかんないな」
「虹を使わなくても行けますけど……」
「そうなの?」
「ここタチカワからフチュウ方面にあるニシフに
クマノ神社がありますよね。そこにはアスカ時代に建設された古墳があります。レプリカですけど……形は十分に機能します。そこの玄室で波動をあげる行為……音楽をかけてもいいしセックスでもいいんですけど何かしら振動を変えることをすれば私達は飛べます。いまアイスランドのある別次元の宇宙に。あ、マリファナでもいいかもしれません」
「じゃあ行こうよ。タチカワからすぐじゃん。ルート69なら一本道だ」

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