Rana 2 Alice's Adventures in Wonderland

「雨やまないね」
「桜の花は落ちた。花冷えだね」
「ミルクティーいれたよ。飲んだらいい」
「ジンジャービスケットもある。街で買ったんだ。可愛いベーカリーだよ」
「今日はなんのお話をしようか」
「アラビアンナイトも小川未明もグリム童話も
だいたい話しちゃったね。アリスもか」
「作者のキャロルはオックスフォード大学の
教員だ。僕と似てる。吃音もあった。僕も
君以外にはどもっちゃうな。なんでだろうね」
「本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンだよ。ルイス・キャロルはペンネームだ」
「君の名前知らないな、僕」
「何がいいかな。アリス……だとそのままか」
「ラナンキュラスからとってRanaにしようか。
君のイメージに近い」
「僕の名前は亮だよ」
「明るい、とかまこと、とかいう意味らしい。
全然そんなことないのにね。名前負けだ」
「僕の親もたぶんそこまで考えてつけてないよ。
音の響きだけだ、きっと」
「いつも拘束されて殴られていた」
「だから君にこういうことしちゃうのか。ごめんね」
「君はアリスのモデルになった子と似てる。アリス・プレザンス・リデル。キャロルは写真家でもあった。ますます僕と似てるな」
「君の写真は沢山撮った。ここに連れてくる前から望遠レンズでも撮ったよ」
「こんなに可愛い妖精みたいな子がいるんだなって」
「天使みたいだ」
「くだらない学校なんて行かないで美しいものは
硝子の函に仕舞うべきなんだ」
「そうだろう? Rana」


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