見出し画像

温故知新 みちのく湯治旅

コロナ後は我々観光業はどうなるのか? また我が家はどうしていくべきか? 「クーデターだ!」と言いながら、非常事態宣言やまん延防止の中、時々、「食うで・・・他で」と言いながら仲間と旅に出た。

中小旅館は面白い!

第二次世界大戦敗戦後、戦後復興、高度成長期、バブル期、そして失われた10年、20年などの時期を経て旅館は淘汰もされたが、残って来た。

大きな宿は、一晩にたくさんの人を泊めなければ成り立たない。多様なニーズに応えるために、色々設備を整え、出来る限りマイナス要素を無くして、多くの人の満足度を向上させる事が稼働率を上がる事につながる。

一方、中小旅館は多様なニーズに応えるより、自館の“ウリ”を前面に出し、それを求める客に泊まってもらう事を目指している宿が多い。大きな宿が多くの人を集める為にデーターベース・マーケティングを展開しているのに対して、中小旅館は限られた顧客に支持されればよいので、セリング・マーケティングを展開してるところが多いと言って過言でない。

東北と言っても宮城県の鳴子温泉に行ってきた。

湯治の宿があるんだ!

昔は病気を治す為に温泉を利用した。だいたい7日間を一回りと言って3回。つまり21日間が基本で湯治が行われていた。

有馬温泉の多くの宿泊客は、1泊2食型だ。これは“一夜湯治”と言って秀吉が有馬で始めたのだそうだ。

現在、そんなに長期間温泉地で滞在する人は少ないと思っていたが、東北の温泉地に湯治を売りにしている宿があるので行ってみた。

最近、我々の業界では“ワーケーション”という言葉が言われている。観光地等でバケーションとワークを行う事を言う。ワーケーションという言葉を使うと、たいがい宿泊関係の助成金は採択されるぐらいだ。しかし考えてみれば温故知新。ワーケーションの原型に、湯治という言葉があった。

湯治というと温泉で病気を治すという事だが、実際は温泉地で長期滞在を楽しんでいた人たちが多かった。有馬の江戸時代がそうであった。また、文豪が温泉地で小説を書いていたのは現代でいうワーケーションだと思う。

東鳴子温泉の湯治の宿

環境省が有馬・別府・鳴子を日本の温泉地を代表する地域として世界に売っていくという話があった。コロナなので、現在どれだけ世界に紹介してもらっているか分からない。鳴子にはかねがね行って見たいと思っていた。

鳴子温泉といっても鳴子火山の周辺に複数の温泉があり、一般的に温泉街が形成されているのは鳴子温泉で、その隣の東鳴子温泉の旅館大沼に行ってきた。

僕は行くときにあまり調べず、先入観なしで行くことが多い。そして身体全体で感じて楽しむようにしている。シックスセンス・ツーリズムというのを提唱している。確認の旅でなく感じる旅の方が楽しい!

国道から東鳴子温泉の看板を見て左折。進んでいくと寂れているというより廃墟じゃないというぐらいひっそりしていた。正直、道を間違ったんじゃないかと思ったぐらいだ。その奥に小さな看板を見つけた。旅館大沼に到着!

玄関に入って、すぐに多くの顧客に支えられているなあ。それも文化人がたくさん来ているなあと感じた。

ここの宿は旅館棟と湯治棟に分かれている。

昭和40年代、東鳴子温泉は通りが見えなくなるぐらい多くの人が訪れたという。その頃建てた鉄筋の建物が多い。湯治棟もその頃の建物じゃないかな?

湯治客が使用する台所は、普通の家庭の台所より少し広めで、共有で使用できる食器棚が備えてあり、大きな食事テーブルがあった。湯治客は仲良くなり、皆で食事を作ってテーブルを囲むのかな?と想像できる。

・・・大きなワインセラーがある。超常連さんのもので、ご主人も招待されるそうだ。そしてその顧客の専用の鍵付きの食器棚も設けてある。高級なワイングラスが入っているそうだ。

面白いなあと思った。

ダーチャの様な貸別荘をつくって、共有で使えるものと個人のものを分けて置いておくシステムつくれば良いんじゃないかと思った。何か発展的にこの感覚は使えると思った。

しかし、それをするには不可欠なモノがある。それは宿の主人を始めとする人たちがいなければ成り立たない。

農ドブル

湯治の宿と言っても旅館部分はちゃんとした旅館。色々楽しめる温泉があるし、食事もしっかりしている。所有の山の中に貸切温泉があるし、山荘もあり、色々な宿の顔を見ることが出来る。

しかし湯治の長期間滞在してもらう為のシステムを構築するには地域の人との連携が重要だと実感した。

2日目の夕食は農家の人が作ったお弁当。オードブルではなく野菜いっぱいの農ドブル!

画像1

本来は農家の人達がやって来て、釜を持ち込み目の前でライブキッチンをしてくれるみたい。今回は農家の夫婦がやって来て、野菜の作り方や調理方法を紹介してくれる。

画像2

これは価値があるし、面白い! 楽しい! そして野菜嫌いの僕でも美味しく完食した。

画像3

地元のお米を使ったおにぎりも魅力的だった。そしてこの容器なども地元産。

お風呂あれこれ

湯治棟には2つの小さな貸切風呂がある。そして本館の方には・・・

画像4

魅力的な壁画が描かれている。晩と朝の二回入ったのだが、朝奥のドアの張り紙を見てびっくりした!
奥は女性風呂になっていて、この風呂は混浴になっているのだ。

昨晩酔っぱらっていて、この張り紙を見ないで奥に入って行った。けったいなつくりやなあと思っていたが、女風呂に侵入していたのだった!

ヤバイ! やばかった! 誰もいなかったのが幸い。

画像5

山のすそ野にある貸切の露天風呂。

広すぎず狭すぎず・・・こういうのを塩梅が良いというのだろうなあ。

1泊では物足りない。せめて2泊して中日に電動自転車を借りて鳴子温泉で湯めぐりをするのがお勧めです。



この記事が参加している募集

泊まってよかった宿

よろしければサポートをお願いいたします。