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読書感想-BL小説-『雨のように、愛のように/吉田ナツ』

こんにちは、falです。
今回は吉田ナツ先生の「雨のように、愛のように」(イラスト:不破慎理先生)の読了記録です。

高校時代の同級生、菱谷ひしたにと永井の話。再会もの〜
再会はいいぞ…
当時の関係性、お互いに抱いていた感情、蜜でも疎でも素晴らしい。
なぜなら、二人は再び出会うのだから。

駅、校舎、通学路、ファミレス…空気感も丸ごと含めた景色を共有できる相手って得難すぎん?
人が「懐かしい〜」って言い合う時、身体は1ミリも触れてなくても心でhugしてると思う。そのギュッてちょっと苦しくて嬉しいよね。エモ。

こんなふうに誰かの心を欲しいと思うことは、恋じゃないんだろうか?

恋ってなんなんだろうねほんと…
相手のことをどんなふうに好きかって、人間の数だけあることじゃん。
それを伝えても、相手の好きとは違ったら…、とか受け入れてもらえなかったら…とか、考えてしまうよね。
自分が傷つくこわさよりも、相手を好きな気持ちの方を見つめて大事にできる永井、本当にでけえ男だ。

吉田先生の作品は、それぞれがどういった価値観で生きている人物なのかが、ささやかな描写から伝わってくるのがめちゃ最高なんですよ…

人の感情って、単純じゃないから、言葉もその他も全部つかって、わかり合おうってしないと。愛し合えるって、全然簡単じゃないから、だからこそ尊いんだよね。

なるほど愛育まれてるじゃねーの。ぜひ。


▼これよりネタバレあり




菱谷〜、菱谷有理〜…
永井と会えて本当に本当によかったね…

俺じゃだめか?のシーンはとにかく最高だった。

言葉にしてから、好きだ、と思った。

はあ〜
永井はほんとすげえよ。
菱谷を雑に扱う男にも腹立ってるし、なんであんな奴をそんなに好きなのか全然わからないと感じつつも、菱谷の好きを尊重するじゃん。
あんな男と一緒にいるより、俺といた方が絶対幸せになれる!って押し付けないところとか、永井の魅力大爆発してました。

「セックスって、いいようにすることじゃないよ? こんなに好きだよって身体ごと伝えるのがセックス」

他者を愛して幸せにできる人間だ。


吉井も宮内もたぶんちゃんと好きだったんだよ、菱谷のこと。
でも器がな、まだ全然小さくて、そんな自分の小ささを突きつけられることにも耐えきれなかったんだよな。
それを菱谷もわかってたんだよな。
(だからといって、蔑ろにしていい理由には全くなりませんが)
あ〜あ、人の感情ほどままならんもんこの世にある?


頑張らないと愛されないって思っちゃうのは本当につらいな。
愛されたいという心の叫びに従うまま、相手の役に立つこと、相手を気持ちよくすることばかりをやらずにはおれんという状態、わかる…わかるよ…でもしんどいよ。

永井と会えてたくさん甘やかされて、泣いて甘えるのって気持ちいいなってこととか、自分も母親にちゃんと愛されていたんだなってこととか、気づけてよかった。

自分のことかわいそうだとか思ってないのもよかった。
そういう強さが永井を惹きつけたんだよな。

カギカッコで囲われていない部分も、とにかく愛の言葉に溢れていて、とても心が満ちました。
全人類、なにもしなくても愛されていいって知っていたいよね。

永井があんまり愛おしそうに自分を扱うから、有理も自分のことが好きになってきたってのが泣きそうに嬉しかった。
たくさん伝えてくれる永井に、うまく言葉にして返せないのをもどかしく思ってるのも愛おしかったよ。
クリスマス、嬉しいことあるから楽しみにしてな〜!

きっと近い将来に、永井にも有理自身にも愛してるって言ってあげられる日がくるね。

末永くお幸せに( ;  ; )

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