アデス『ピアノ協奏曲』&ホルスト『惑星』@サントリーホール(2022.10.4)

アデス、ピアノ協奏曲が日本初演で、かてぃんさんが弾くと前々から知ってて、でも仕事で繁忙期で行けそうにないから諦めていたのだけど…。

かてぃんさんのラボを聴いて、かてぃんさんがめちゃくちゃ苦労して譜読み(というかもはや楽譜という名の難解暗号の解読?)をされていて。
あのかてぃんさんが「???」となってしまう楽譜で、それでも持ち前の高い思考力であざやかに理論的に解明されて、ラボメンバーに6分の2拍子を解りやすく熱弁&解説してくださって。そのまっすぐな熱意や情熱にもめちゃくちゃ、わたしは感動してしまって。

でも、頭で理解してもいざ弾くとなるとオケと違う拍子のところがあったりし、どう合わせるんだ? もうなんなんだ! ってレベルに、かてぃんさんが物凄く苦心されていらしたのがとても印象的だった。
(実際に仰ってた言葉とは違うと思いますがそれくらいのニュアンスで熱量高く苦労されて懸命に取り組んでらしたのを見て胸がいっぱいになった)

で、いてもたってもいられなくなって、すぐさまチケットを取った。たまたまLA席(?)で空きがあったので、手元が見られるか解らなかったけど、聴けるだけで良いやと思って取った。

そんな、アデスのピアノコンチェルト。
凄かった!!!!
素人の感想なので見当違いだったら申し訳ないですが、一回生で聴いた状態の感想を、冷めないうちに素直に書きます。

第一楽章のもうなんだか分からないリズムの調べと、オケとが一体になった時の不思議な浮遊感というのが凄くよくて、慣れると心地好くて。クセになる感じで。
また、同時に、強烈に非現実感を醸す調べなのになんでか不思議なほど鮮やかな世界が広がって、これが異世界感というものなのかな、と心底納得しました。
そして、ピアノがキレッキレでした。
我等が推しの演奏、一切不安なんかなく、がっつりアデスワールドで自由に羽ばたきまくっていて、もうめっちゃくちゃカッコよかったです。
やっぱかてぃんさんて世界一カッコ良いなと背中越しに流れる指づかいを眺めながら、心の底から感嘆しました。オケと合わせて弾ききるその演奏のダイナミックさにも、大感激でした。

第二楽章は、一転して。
ピアノがどこまでもどこまでも、どこまでも繊細な音の表情で。わたしの大好きなかてぃんさんの音がそこにありました。
一音一音に宿る感情が
たった一音と思えないほどとてつもなく豊かで、
深くて、雄弁で。
どうしたらこんなに一音に感情を投影できるんだろうと思ってしまうくらいに、
一音ごとに、心の中心を、胸の真ん中を、強く深く揺さぶられました。
強い打鍵のところも、決して強いだけじゃなく、感情がこれでもかとこもっていて。それが、私にとっては心を代弁してくれるような、
悲しみや辛さや悔しさを、代わりに歌ってくれるような、想いがして、
魂から癒されるようなピアノでした。
あんなピアノを聴かせてくださり、ありがとうございました。

第三楽章はまた緩急凄まじく、ほんとに最初からもうずっと目が離せなくて。
ピアノも含めて色々な楽器をめっちゃガン見でした。
打楽器に見たことない楽器が多数お目見えしていたので、それの音を聴くのも新鮮で楽しかったし、ピアノも打楽器も管楽器も見たくて、もう同時にいろんな箇所を見られる目がいくつもあれば!という気持ちに駆られました。
時折、オケとピアノがユニゾンするところとかもあり、そうでないところでも両者の存在が互いを引き立て合うような化学反応がカチッとはまって!
リズムをカウントすることは不可能だけど、そんなの分かんなくてももうずっと最後までワクワクが止まりませんでした。

そんな走り抜けた20分。
かてぃんさん、本当に素晴らしかったです!!!
贔屓目なしに、かてぃんさんの演奏がまじで最高でした!
あんなの弾ききっちゃう角野隼斗さんは、やはり間違いなく自分の惚れた音楽家だ!と再確認。
めっちゃくちゃ最高にカッコよかったです!!!!

あと「アイガットリズム」。
もうめちゃくちゃに角野隼斗すぎて(最上級の褒め言葉(形容詞)です。アデス風味に即興?アレンジしちゃう所とか最高)、大興奮でした!!!
ウッ!ってもう真正面から魅力を食らってしまって、アデスに加えてこちらも大感動の嵐で、立ち上がることが出来ないほど、クラクラしていました…。
私の推しはカッコ良すぎか!!!!
と思いながら、昇天しておりました。

そんな興奮冷めやらぬ中、「惑星」。
いや、……もう、こんなエキサイティングな惑星、体験したことがない!!
あれは「体験」というのがふさわしいのではないかと思うほど、総合芸術で、今まで聴いたどの「惑星」よりも趣向がこらされていて、本当に素敵でした。
ああいう演奏会もあるんだなぁと新しいものを体験できた喜びでいっぱいです。

長々書きましたが、今日の角野隼斗さんは、またわたしの中に新しい扉を開いて下さった感じがして(現代音楽ほとんど知らないので)、それに大興奮&大感動できたことが嬉しかったです!

また再演できて、聴きに行けますように!!!
これは個人的な思い入れですが、私としては、あの第二楽章の、角野隼斗さんでしか出せない弱音のなかに膨大な繊細な感情の機微が詰まっているような、一音一音のなかに言葉に出来ない感情をこれでもかと詰め込んだような、あの雄弁で美しい旋律を再び聴きたいです。大好きです。

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