【心理士向け】心理所見をうまく書くコツ①
みなさんこんにちは。
臨床心理士/公認心理師として仕事をしながら漫画家としても活動させていただいております、白目みさえと申します。
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所見を上手く書けるようになりたいと。
そもそも院卒2年目の後輩に「上手く書けない」とか言われたら「おいおいブライアン!たった2年ぽっちで先輩たちに追いつくつもりかい?」みたいに返すと思いますが。
私自身も心理士歴は10年以上経つもののまだまだ発展途上ですし。
「できてるのか」と言われれば「すみません未熟者で」としか言えないようなものしか書いてませんけれども。
それでも私も10年前の私よりは所見が上達しているわけで。
だから既にもう今の私と同じ位置にいらっしゃったらそれ以上に教えることはもう何もないんですけども。
もしも5年くらい前の私の位置にいらっしゃるのなら参考にならんこともないかなと思うものを書き連ねますのでよろしければご参考になさってください。
タイトルこそ堂々としていますが。
割と「そらそうやんな」ってことばっかりですし。
「いやそれはお前だけやろ」的なことも書いてるかもですが。
お役に立てれば幸いです。
以下は所見上達のための秘訣でございます。
■○○に見せる
これは実は色々ありまして。別に読ませるためにぼかしてるんじゃなくて。それぞれ効果的だなと思うのでご参考までに。
①上司、バイザー、先輩
これはもう言わずもがなですね。
見せて指導を受ける。これが一番です。
上司、バイザー、先輩に見せる大きな目的は「内容が合ってるかどうか」です。
教科書の内容を丸写しすればとりあえず所見はできます。
でもそれってほんまに正しいのか?って話ですよね。
心理検査の結果は「A=50だからBだ」とハッキリ言い切れるものなどほとんどありません。
教科書に「Aが多い人はBだ」と書いてあったからそのまま写した場合。それが外れていれば、他の検査や他の指標で必ず矛盾が出てきます。
一段落目では「おっちょこちょいだ」と言っているのに
二段落目では「慎重な人だ」と書いてあれば矛盾していますよね。
でもこれまでの経験があれば、「こういう場面ではあまり考えなしに動いちゃうけど、こういう面では慎重になる」みたいなことが見えてきたりするわけです。
絶対的にどんな場面でも「こうなる」という人はあまりいません。所見の中では相反する言葉や特徴が出てくるのが当たり前なのです。
「じゃあそれはなんなん」ってのを考えるのが心理士の仕事です。
私もウルトラスーパー方向音痴ですが、多分自分と娘しかいなければ死ぬ気で地図読みます。でもそれは決して得意なわけではなくて。「追い詰められたらやるかもしれんけど、この人基本的に方向音痴なので1人で知らん土地に置き去りにせんほうがいいよ」と言えますよね。
そういう「心理検査が正しく読み取れているかどうか」を判定してくれるのが先輩方です。
先輩方に一回も見せずに「上手くなりたい」というのは、
自己流で楽譜も読めず、耳コピでピアノ弾いてみてますけど、ピアノのコンクールで優勝したいです。
って言うてるようなもんです。その世界で専門性を高めたいのなら、知識や経験が豊富な方にきちんと見てもらいましょう。
②自分の友達や身内
絶対ほんまもんの所見見せたらあかんで?
本人の名前入ってるとかもってのほかやで?
守秘義務違反で心理士の資格なくなるで?
今回見せるのは「ちょっと長めの所見っぽい文章」です。
相手によっては所見ではなくても構いません。
「ちょっと長めの自力で書いた文章」でも結構です。
例えば心理用語の解説とか。
「吊り橋効果とはどのようなものか」を自分なりの言葉で書いてみるのも良いと思います。
そしてそれを自分の友達、家族など、心理士以外の人に見せてみてください。
この目的は「読みやすい文章、伝わりやすい文章が書けているかどうかの確認」です。
心理士以外の人に、所見っぽい文章や心理用語の解説を書いた際に。
相手から「え、これってどういう意味?」って聞かれまくるということは、その文章では意味が「伝わってない」ということです。
心理検査を受けにくる患者様や家族様はもちろんのこと。
医師や看護師、学校の先生方は心理に関する知識は「ない」と考えてください。
そして「ない人」に向けて分かりやすい文章を書くよう努力してください。
専門用語を使わない、周りくどい文章は使わない。
説明がくどくないか、誤解を招かないか。
所見を書く際には絶対的に必要な知識ですよね。
ハイハイそんなことは知ってるよ!という方も。
意外と一般の人に読んでもらうと「なんか難しい」とか言われちゃうので一回やってみて。言われへんかったらもう上達せんでええやんか。
知識が「ない」人にむけて書いた所見は、知識が「ある」人にも読みやすい所見となります。
自分の文章は何がどう分かりにくいか、どういうクセがあるか、どう誤解される可能性があるのか…などを確かめてください。
③家族様(つもりで書く)
この所見を「家族様」もしくは「本人様」に見せるつもりで書いてみてクダさい。
②とも重なりますが、ここでの目的は「読み手側のことを考える」です。
②はどちらかというと「伝わりやすさ」なので。
さて出来上がりましたとなった所見を。受け取る本人や家族様が読んだらどう思うか…を考えてみてください。
医師向けであれば
「今回の検査の結果、白目は非常に方向音痴で救いようがありません。一度コンビニに入って出てきたら逆側に向かうなど方向感覚がなく、地図を渡せば自分もその場でくるくる周り、地図も回転させ、色んなものを見失っていました。本人はトラックの運転手などを希望していますが、絶対無理なので別の仕事が良いでしょう。必ず地図アプリを入れたスマホと持っておく、地図の読める友人と行動を共にするなどの工夫が必要だと思われます。」
と書いても良いのかもしれませんが。
これそのまま受け取ると私傷付きます。
事実を捻じ曲げる必要はありませんが、もうちょっと書き方ありますやん。
例えば
「今回の検査の結果、白目様はいわゆる『方向音痴』に該当するようです。検査の中でも、コンビニに入って出てくるとどちらから来たのかわからなくなると話しておられましたが、方向を感覚的に察知することが苦手なのでこのような現象が起きていると考えられます。ただし見えたものを記憶することは得意なようなので、コンビニに入る前には一度振り返って景色を見ておくように習慣づけると、出てきた時に迷いにくくなると思われます…(略)」
のような形です。
言葉を柔らかくして、苦手なことだけではなく得意なことでカバーできる可能性などを示唆しました。
遠回しに「救いようがない」とは言うてますけども。
そしてこれをやるとお察しの通り文章が伸びます。
そうすると、どれを伝えてどれを伝えないかの情報取捨選択ができます。
それもまた端的にバシッと所見を書くためのコツですね。
読み手の気持ちを考えて書くというのも大事な視点です。
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