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人生を楽しめない

臨床心理士/公認心理師として精神科で勤務しながら、夜な夜なSNS 界隈で漫画家活動やLIVE配信などをしております。白目みさえと申します。活動内容などはこちらでご覧くださいませ。

今回のご相談


◆相談内容まとめ
・仕事以外に楽しみやくつろぎの時間を持ちたい
・両親は教育熱心で受験を中心にした幼少期を過ごした
・ゲームも漫画も禁止で友達と遊ぶことも許してもらえなかった
・自由になっても何もしたくない
・何をしようとしても「そんなことしなくていいんじゃないか」と思う
・今は仕事以外は寝るか過食かの毎日
・カウンセリングでも子どもの頃にやってみたかったことをやろうとしたが身に付かなかった
・「今のままでいい」と言われつらくなってやめた
・何かやってみても続かない、なにも響かない
・考える方向が間違っている?

ご相談内容の分析と白目の見解

内容全体を読ませていただき、私が感じたのは「何かが欠けている気がする」でした。相談者様が人間的に何かに欠けているという話ではなくて。

幼少期に「楽しむ」ことを制限され、いざ自由にされても楽しみの見つけ方がわからない。楽しみを探すためにあれこれやってみたがどうしても見つからない。どうすればいいのか?考える方向が間違っているのか?

…と、一見「なるほどな」と思える気もするんですが、相談者様が「考える方向が間違っている」と感じておられるように、多分前提条件がいくつか抜けている、もしくは本来関係のないところをつなげていたり、ちょっと飛躍しているところがあるなどして、いくつかピースが足りないような感じがします。

推理小説で、犯人もトリックも全てわかっているのに、動機だけがわからない気がする感じです。もしかしたら、この動機さえわかれば真の黒幕がいるのでは?と思うくらい、なんだか「ちょっとズレてる気がする」という感じがします。

そのひとつとして。相談者様のお気持ちがあまり見えてこないのです。

相談者様は多分賢い人

受験に向けて頑張ってこられた方なので、おそらく推理力や論理的な思考力に優れていて、理由と原因を結びつけるのがうまかったり、「こうすればいい」という対処法を考えてすぐ動くことができる方なんだと思います。

こちらの文章も一見筋は通っています。これだけ見せられれば、多くの人は「なるほど」と思い、「楽しむための方法」をたくさん提案してくれると思います。

だって相談者様は「楽しめていない」状態で「楽しみたい」と思っているので。多くの人が「ははーん」と思うようなわかりやすい情報を提示してくれており、みんなが答えやすそうな「相談」をしてくださっているのですが、もらった答えは全て「そうじゃない」と思うものばかりだったのではないでしょうか?

なぜなら、相談者様はもう既にその答えを想定しているからです。

おそらく「AならばBであればC」となることを頭の中で想定していて、AとBの情報を提示すると、周りの人は「C」を出してきます。でもそれは相談者様も薄らわかっていて、「だろうな」と思うのを繰り返しているような気がします。

相談者様は聡明な方であり、周りの人が望むような振る舞いや言動に気をつけてこられ、また論理的な思考力は受験によって鍛えられたと思われますので、こうなるのも自然なのかなと思います。

多分周りからきたアドバイス

「楽しまないといけないと思っていませんか?」とか
「楽しむことすらタスクになっているから楽しめないのよ」とか
「完璧主義だから心の底から100点に楽しいと思えないと楽しいにならないのでは?」とか
「もうちょっと気を抜いて」とか
「新しいことに挑戦してみよう」とか
「ちょっとでも心が動いたら続けよう」とか
「続けないといけないと思っていない?いいんだよ嫌ならやめれば」とか

そんなアドバイスが今まで飛んできたのではないかと思われます。

「子どもの頃に楽しんだものを楽しみましょう」というのもいいアドバイスだと思うのですが(同業者擁護みたいですが)、あれは子どもの頃だから楽しかった、やりたかったという思い出補正もかかっていますのでね。

例えば「木登りがしたかった」という思いが語られた場合も、「木登り」そのものではなくて「子ども時代にみんながやっていることと同じことをしたかった」というのが本音だったりするので、その場合大人になってから「木登り」をしてもあまり心が楽にならないと思います。

さてどうしましょう

ここから先は白目の見解です。
実際に相談者様にお会いしたわけではありませんし、これまでに書いたことで「ああ!そういうことか!」と楽になっておられるかもしれません。

というか全く的外れなことを言う可能性もありますが、現段階で白目の思う策についてお話したいと思います。

一部書籍に収録されている漫画も交えて説明いたしますので、この先は有料とさせていただきます。

収録されている書籍はこちら。
(さりげなく宣伝)

心の浄化機能について

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(出典:『白目むきながら心理カウンセラーやってます』白目みさえ著(竹書房)

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