会の解散に寄せて

3月号 (1)親が知っておきたいこと
4月号 (2)当会のこれまでそしてこれからのこと

知ろう小児医療守ろう子ども達の会
代表 阿真京子

(1)親が知っておきたいこと

■16年前の経験から感じたこと

この会が発足してまもなく13年です。この春、解散するにあたり、どんな思いで何をやってきたのか、振り返りたいと思います。

会発足のきっかけについては、こちらに詳しいので、以下のサイトをご覧ください。
https://promotion.yahoo.co.jp/m/news/kakarikata_200120/

この経験から、子どもが急変するということ、そして異変に気付くためには、親にもある程度、知識がいるということ、(私はこの時点で、そうした知識を持っていませんでした)

また、混雑し、疲弊する小児医療の環境を良くすることで、守れる命があるということを感じました。

■親になったら誰もが身に着けたいこと

では、わが子を守るため、親には何が必要なのでしょうか?

私が感じたのは、親が「子どもの医療のかかり方」についての知識を、身に着けることが必要だということです。

特に必要なのは、「緊急性が高い」ときは、どんな場合なのかを知ることです。

すぐに医療機関にかかるべき「緊急性が高い」場合と、おうちでみていて大丈夫な場合の違いを知ることが、大切です。

これを身に着けることで、緊急性が高くない場合は、それほど慌てなくていいのだとわかります。

おうちでみていて大丈夫な時に、おうちでみていられることは、親子にとって、また医療者にとっても良いはずだと思いました。

■我が子の「いつも」を知ることの大切さ

なぜ、疲弊が進んでいる医療環境を改善することが必要なのでしょうか?

そして、それがなぜわが子を守ることにつながるのでしょうか?

ほんのちょっと、想像してみて頂けますか?

続々押し寄せる多くの子ども達、そのほとんどがおうちでみていても大丈夫なお子さん達。けれど、その中にわずかにいる、非常に緊急性が高いお子さん・・・。

もちろん医療者もプロです。プロの目で診てくださっています。

そのプロである医師が、親の「うちの子、いつもと違うんです」という言葉には、必ず耳を傾けると、おっしゃいます。

「この言葉を聞くと、ちゃんと診なくてはもっと診なくてはと身が引き締まる」と。

親の「いつもと違う」という言葉は、重要なもの。だからこそ、いつもと明らかに様子が違うときに、いつもと違うということを私たちがきちんと伝えるためには、「いつもを、普段を知っている」ということが大切なのです。

そして、熱の高さだけでなく、「食う・寝る・遊ぶ・出す(うんち・おしっこ)」が、いつもと同じようにできているかどうかを見ることも、大切です。

■気付けなくても、自分を責めないで

だからといって、すべての病気を親が見つけられるわけではないことも覚えておきたいことです。原因を探して答えを見つけようとすることよりも、起きたことに対して、どう対処するかのほうが大切だと思います。気付けなかった時も、自分を責めないで。

病気やひとの身体がそれほど容易いものではない、ということも一方で頭に置いておく必要があると思います。

■私たちにできること

『小児救急電話相談#8000』についてお知らせをしていると、「病院にかからないようにするための活動なの?」と思われることもあり、過去、そのように聞かれたことも、たくさんあります。

しかし、こうした発信や活動は、「病院にかからないようにするため」ではないのです。「本当に医療が必要なときに、必要な子どもがかかれるように、必要な時を知ろう」というメッセージなのです。

2020年初春、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行を受けて、改めて『医療のかかり方』を日頃から知っている必要性を感じました。

専門家が発信するメッセージをいくつも見ましたが、普段の病気についての考え方と、基本的に変わりはありません。

普段の病気の捉え方と同じなのか違うのかという点については、その動向を見ながら判断することが求められますが(参考:日経DUAL子育て中家庭が知っておきたい新型コロナウイルス10の質問
https://dual.nikkei.com/atcl/column/19/022800063/031000014/ )

今、私たちに必要なことは、熱が4日続いて体調が悪ければ受診をすること。その前であっても、明らかにおかしいときは病院へ行くこと。

明らかにおかしいと感じるためには、日頃の様子を知っている必要があること。

迷ったら、受診の見極めができるツールを活用すること、などではないでしょうか?

(参考:子どもの病気 相談窓口 アプリ、一挙まとめてご紹介!

https://www.buzzfeed.com/jp/kyokoama/kodomonokyuubyou-3 )

変化する状況の把握は必要なことですが、それ以外については、常日頃の子どもの健康の見方について、医療のかかり方について、これまでに学んだことや、会でお伝えしていることと、ほとんど一緒のことなのです。

専門家を見極めたうえで、信頼できる専門家の声にきちんと耳を傾ける、ということも、同じく会でお伝えしている中の、日頃から大切にしている点の一つです。

いつもと少し異なる日常を、基本の手洗いをしっかりしながら、よく寝て、よく動き、よく休み、程よく食べ(これが私には一番難しいことです。笑)、たくさん笑って、周りのひととたくさん声をかけあいながら、いつもと同じように過ごしたいと思います。

次回が最終号、総まとめです。

これまでのことも、これからのことも、丸ごとお伝えします。

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