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僕は寂しさを学んだ

「別れよう」

喫茶店で彼女は突如、その言葉だけを短く発した。

それが本当に突然なのか、僕がどこか予期していた言葉なのか、自分でも測りかねていた。

いつものデートのように、おいしい食事とお酒を楽しんだ。 食べ物の好みやお酒の趣味が似ていることは、とてもありがたいことだ。

その後はいつも、ホテルに行ったり、Barに行ったり、コーヒィを飲んだり

その時のお互いの気分によって色々。

今日もお互いの何となくの呼吸で、喫茶店に入った。

僕はホットコーヒィを頼み、彼女はカフェラテを頼んだ。

席について、一口飲んだ後

その言葉だけを短く発し、彼女は少し悲しそうな顔で黙り込んだ。


「そっか、僕はもう必要無いってこと?」

僕の発した言葉は、考えられたモノではなく、単純な疑問だった。

僕なりに、彼女の感情を理解しようとしたつもりだ。


「いや、だからそういうんじゃなくて・・・」

「別れようって言われても、あなたは寂しいとか思わないでしょ?」

「う〜ん、思わないというか分からない・・・だね。」

考えても分かるわけがない。

感情は学ぶモノ。 今、自分の中にあるモノに、「嬉しい」とか「悲しい」とかタグ付けをしていく作業。 タグ付けをし、言葉にすることで共感が得られる。

自分が嫌だと思うことは、相手にもしない。

自分が嬉しいと思うことを、相手にすると喜んでもらえる。

集団で生活する上で、必要で重要。

だから、成長の過程で学ぶ。


「きっと私のこと、そんなに好きじゃないんだよ。」

彼女の言葉が論理的な帰結なのか、感情なのか分からなくなってきた。

「もっと好きになれる人が現れるって。」


そんなこと言われてもな・・・

好きは、きっとそれなりに学んできた感情のハズ。

でも、難しいな。

簡単なようで難しい。

というか、奥が深いんだろうな。


彼女と別れて店を出る。

暦は12月。 見上げる空がキレイだ。 よく晴れている。

やっぱり冬の空はキレイだな。

空を見上げながら、歩き始める。

上を見たままだと危ないので、視線を前に向ける。


室内の温度と外の温度の差のせいか、僕はブルっと震えた。

寒いな・・・

隣に一緒に歩く人がいないせいか、繋ぐてが無いせいか

いつもより何だか寒く感じられた。

もしかしたら、寒いと寂しいは似ているのかもしれない。

少しは学べたかな

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