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リピート

物語が消えた・・・。
後一息で、終わるはずだった物語が、全部消えたのは、暑い夏の日だった。
エアコンの効いたこの場所で 目の前にはりんご飴を書かれた 飴の袋だった。
彼と私の物語…。

暗闇の中、眩い光と賑やかな人のあつまりがそこにはあった。
彼は、私にりんご飴を差し出した。
小さな頃、りんご飴をねだっても買ってもらえなかったことを思い出す。お祭りのりんご飴は憧れだった。私は、りんご飴を食べたことがなかった。
ただの憧れだった。憧れていたこともすっかり忘れていたくらい遠い昔の話だ。
差し出されたりんご飴を
「もう 子供ちゃうし。」と
照れた私は受け取った。
知らない街の 知らないお祭りで 彼はやすやすとわたしの忘れてしまっていた 空白を埋めた。
ずーっと 誰かに買ってもらうりんご飴に憧れていたのだろう。
私の中で、何かが ブワッと大きくなった。
自分の中で起こったことに驚いたが彼にその反応を直視されない夜でよかったと ほっとする。
彼はこうやって 不意に私が長年見ないようにして 無意識に隠してきた欠損を 少しずつ埋めていく
こんな経験は初めてではなかった。

遠い存在の 彼のことを忘れることはできないでいる
どこが好きなの?
そう聞かれて返事出来ないでいる理由の一つでもある。
彼が一緒にいると 私の足りない何かが埋められていく。

目の前にあった りんご飴を口に入れた。
あのりんご飴とは違うけれど
真っ白になった画面に 再び
闇とりんご飴が再び 浮かび上がらせる。
私の 埋められたはずの かけらを世界に残すために
違う角度でこの出来事を 捉えるように
もう一度紡ぎ直す。

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