いい加減、を思う

先日、いつも聞いているラジオ番組にハガキを投稿しました。かつて一度だけ投稿が採用されたことがあり、その時の驚きと興奮、嬉しさと恥ずかしさは忘れられません。

今回はハガキを7、8割方書いた頃、これは採用されないだろうなと思いました。伝えたいことは書いているものの、気持ちが空回りしていると感じたからです。こりゃダメだ、と思いつつもポストに投函だけはしました。

こんな時よく思い出すのが、ギャグ漫画家のうすた京介さんの短編集『チクサクコール』です。この冒頭に、うすたさんのデビュー作『ザ★手ぬきくん対物酢御くんパァト1』を含めた短編が所収されており、下記のリンクの試し読みで『ザ★手ぬきくん・・・』は全て読めます(試し読み以降の作品も面白いです)。

うすたさんのコメントによると、賞に必死で応募しても全く結果が出ず、「なかばヤケクソ気味に今まで描きためた中途半端な小ネタ達を15P分(だっけ?)」を応募したところ、『ザ★手ぬきくん・・・』だけが認められ(第2回GAGキング特別賞)、後のデビューにつながり、一番努力しないで結果が出たということで、いい加減の大切さと難しさを痛感したそうです。

ずっと努力を重ねた末に至ったヤケクソだからこうして結果が出たのであり、いい加減は努力の延長線上にあるという側面は確かにあると思います。一方、発作的なヤケクソだったから、むしろこれまでの努力を捨てるような衝動で行動したから、いい加減が生まれたのかなという気もします。うすたさんと比較するのは大変おこがましいのですが、私のラジオへの投稿も、明確に意識してこの内容を書こうと出したものは採用されず、ふと思いが浮かんでとりあえず書いてしまおうという気持ちで書いたら採用されてしまったという感じでした。

だから、努力だけでは割り切れない、いい加減に惹かれるのだと思います。もちろん、もし努力だけではダメ、あるいはこれまでの努力をあっさり捨てる勇気も必要だとすれば、いい加減に至る道は、途方もなく長いものになりそうです。