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3回目の育休復帰で油断した結果、退職するハメになった話

2021年5月から勤めていたヘルスケアアプリの会社を、12月いっぱいで卒業しました。
途中産休を挟みながらも累計2年ほど勤めて、PdMやUI/UX周りのお仕事ができたのは大きな収穫でした。特に後半はアプリの仕様改善&効果測定を手探りながらも推進し、施策の効果が確認できたことは非常に嬉しい経験になりました。

ただ一方で、本当はお仕事を続けたかったのに、ワーママあるあるな原因で退職することになってしまいました。
今回はその5つのしくじりについてまとめます。

基本的には今後の自分のために、今回の失態を形に残して糧にするのが目的なのですが、もし今にも死にそうなワーママや、育休復帰前のママさんたちの糧になれば嬉しいです。

私がやらかしたら5つのしくじり

1)復帰後の役割に認識のズレがあった

元々入社直後はアプリ内のイベントを運営するプロジェクトマネージャー(以降PjM)的なお仕事をしていました。
しかし、イベントの運営経験も件数を重ねていくと、イベントの本質的な成功のためには、アプリ自体の改善が必要であることが見えてきます。「プロダクトマネージャー(以降PdM)的な役割が必要だよね…」と思いつつ、産休に入ったと言う状況でした。

そんな背景もあり、復帰前面談で「アプリ改善もお願いしたい」と言われた時には、喜び勇んで復帰前から関連しそうな書籍を読み、前準備をしていました。
しかし、この時の私の認識としては「PjMよりちょっとPdM寄り」くらいの、ふわ〜っとした認識。アプリのビジョンやロードマップは決まった状態で仕様改善のPDCAを回すくらいのつもりでいました。これが良くなかった。

いざ復帰して蓋を開けてみると、アプリのビジョンやロードマップはなく、より抽象的な部分まで期待されていたことが判明。当然復帰前のインプットでは足らず、想定以上のインプットが必要となった私はインプットとアウトプットのバランスに悩み始めます。
私は追加で書籍を買い漁り始めるものの、ここにさらに悲劇が起こります。

2)「同じ会社に復帰=同じ環境に復帰」という思いこみ

期待されているPdM業務を成功させるべく、どんどんインプットをしないといけないと焦っている最中、PjM業務チームの業務が溢れ帰る悲劇が発生しました。産休前に経験があることもあり、やむなくヘルプに入ることになり、かき集めた書籍はインプットできないままに埃をかぶっていくことになりました。

なぜこんなことになったのか。
それは同じ会社に復帰するのだから同じ環境だろうと言う認識の甘さがあったと思います。
産休前は私の上司にあたる社員がPjM業務の工数管理をしていました。しかし私の産休中にその上司は退職。優秀な彼女がやっていた工数管理は誰もうまく引き継げなかったのか、私が復帰する頃には「いつ業務が溢れるか予測不能、溢れたら体力で解決」という子育てとの相性最悪のスタイルになっていました。

ただでさえ業務が溢れかえっているのに、それを改善するための工数管理についても考えないといけない始末。
でも私のしくじりはまだまだ止まりません。

3)自分の体調対策が不十分だった

突然ですが、皆さんには苦手な季節や時期はありますか?
人によっては生理周期によって集中力が落ちる時期などもあるかもしれません。
私は断然夏の終わりから秋の始まり(8月後半〜9月)に調子が悪くなりがちです。具体的には体が重く、ひどい時には頭がうまく働かず仕事もなかなか捗りません。

昨年はこの時期は産後ハイのせいか調子が良かったので、すっかり忘れていたのですが、気づいた頃には時すでに遅し。多忙な時期にこの体調不良が重なります。
それだけならまだよかったのですが、さらに落とし穴だったのが授乳中であったこと。お医者さんに相談したところ、お薬もあったのですが授乳中で服用できず、耐える一択となってしまいました。

4)家事育児負担を甘く見積もった

ワーママにとって17:00~21:00は戦場。短時間に毎日大量のタスクを同時進行でこなしていかないといけません。
ちなみに我が家のタスクはこんな感じです。この時間、私は立ちっぱなしどころかずっと小走りで過ごしています。

  • 送り迎え1回目(保育園の部)

  • 子供の手を洗わせる

  • 保育園から持ち帰った泥まみれの服を予洗い

  • 晩御飯を作りながら、至近距離でテレビを見る子供を移動させる

  • 予洗いした服を洗濯機へ

  • 風呂を洗う

  • 送り迎え2回目(小学生の部)

  • 子供の手を洗わせる

  • 晩御飯を作りながら、至近距離でテレビを見る子供を移動させる(2回目)

  • 晩御飯を作りながら、子供達の喧嘩の仲裁

  • 連絡帳チェック

  • 学校からのプリントチェックし、内容によってはTimeTreeに書き込む

  • 晩御飯を作りながら、宿題を見る

  • 風呂沸かす

  • 子供の支離滅裂な話を読解しながら、子供たちが散らかしたものを片付ける

  • 子供の支離滅裂な話を読解しながら、ご飯を食べさせる

  • 子供の支離滅裂な話を読解しながら、完食するための声かけ

  • 子供の支離滅裂な話を読解しながら、風呂に入れる

  • 子供が食べ汚したのを掃除(テーブルの拭き掃除、床の掃き掃除、拭き掃除)

  • 子供の支離滅裂な話を読解しながら、皿洗い

  • 歯を磨かせる

  • 寝かす

  • 保育組の明日の持ち物準備

  • 小学生組の出し忘れた水筒を発掘して洗う

  • 明日のための麦茶を沸かす

産休前からタスクの内容はほぼ変わっていないので、なんとかなるだろうと踏んでいましたが、実際には子供の人数が増えたことで2倍の時間を要しているタスクがあったり、子供間の喧嘩が増えたり。タスクの種類は変わっていないが、量は確実に変わっていました。

業務が完全に終わっていればまだいいのですが、場合によっては脳内で仕事をしながらこれらをこなし、みんなが寝てから資料に落とし込むこともありました。つまりこれらのタスクが全て脳内で仕事をしながらになるわけです。
脳内で仕事をするというのは色々な弊害を生むもので、子供との会話をが全て生返事になります。

例えば子供に「◯◯って何?」って話しかけられたら、みなさんはどうしますか?
きっと一番いいのは、家事の手を止めて、「それはね…」と子供の興味を最優先させることです。
その次にマシなのは、「ごめんね、今家事やってるから後でね」と言って後でその件について話すことです。
でも私は、この時期「ねぇ〜何だろうね〜?」とだけ返して、会話を強制終了させていました。

食卓でも物理的に存在するだけで、精神的には存在していない感じがすると夫にも言われました。
これが後々大きな爆弾へのカウントダウンへとつながっていきます。

5)「とにかくタスクを減らしたい」が暴走

そんなこんなで家でも会社でもてんてこまいな状況になると、私の脳内はこんな気持ちでいっぱいになります。
「とにかくタスクを減らしたい」
状況から見て至極当たり前な思いのように見えますが、この思いがさらに状況を悪化させることになります。

仕事面では視野狭窄に陥り、本質的な課題に向き合えなくなっていました。
ちょっとしたバナーデザインでは、誰に何を伝えるのかの確認を疎かにしたまま制作するなど、デザインの5段階モデルで言うところの表層をさらった仕事の仕方をしていました。
「こんな仕事の質でお金をもらってはいけない」そんな気持ちが心のどこかにありました。

表層をさらった仕事

また家では、時間を惜しむあまり、話し合いを放棄し始めます。夫と話し合っても改善するか不確実な「話し合い」やれば確実に終わる「実行」を天秤にかけた結果、実行を選びタスク分散ができないまま追い込まれました。

「話し合い」と「実行」の天秤

話し合いを放棄したきっかけは、子供のプリント管理でした。
例えば小学校からきた遠足などのプリントを管理する際、私はプリントを撮影して画像データをTimeTreeでカレンダーに紐付けることで、抜け漏れを防止しています。この画像データをカレンダーに紐づける機能は、有料サービスなので、Timetree利用開始当初、夫に課金したいことを伝えた結果「うーん…」と言われてしまいました。
夫を説得するためには、この作業を普段やっていない夫に、以下のようなことを整理して伝える必要があります。

  • 画像データがないと、プリントの紛失や内容の手打ちによるミスが発生する

  • ミスがあると子供が楽しみにしている行事に参加できないケースがある

  • プリントの管理にいつもどれだけの工数が発生しているか

「いやいや、こちとら仕事も大変な上に4時間で20以上のタスクを毎日消化してんだぞ。説得する気力なんかあるかボケェ。」と思った私はこの時は勝手に課金という強行突破に出ました。
もしかしたら家庭内で話し合いを放棄したきっかけはこの辺かもしれません。それ以降、夫から残業相談がくるたびに「なんとかしておきます」を口癖にするようになり、ボロボロになっていきます。

退職を決めてから退職するまで

最後の一押しは娘の涙

忙しすぎるあまり表層をさらったような自分の仕事の質にモヤモヤしている中、退職を決意する事件が起こります。
学校からプリントの未提出があるとの連絡が来たのです。そのプリントは娘に渡したはず…と娘に確認したところ、紛失してしまったとのこと。どうやら、いつも忙しそうすぎて相談できなかったようです。
娘の涙を見ながら「これは完全に優先度が間違っている」と思い、退職を決めたのでした。

最終出社日の夜に夫に凹まれた件

退職準備は特に問題もなくあれよあれよと進み、最終出社日の夜を迎えました。とにかくえげつない忙しさから解放された自分を労うつもりでウキウキとハーゲンダッツを食べていました。
ただ忙し過ぎたことを除けば、まだまだチャレンジしたいことのある環境だったことも事実。「本当はあの施策もこの施策もやりたかったなあ…」とこぼしたところ、「え?え?どういうこと?」と隣にいた夫は非常に動揺しだしました。
どうやら私の退職理由の半分が家事育児問題だとはつゆほども思っていなかったようです。仕事、家事、育児に押し潰された結果の退職であったことを伝えると、途端にどんよりした空気を出し始めました。
今日だけは自分を労いつつ開放感に浸りたかった私は「おいしくアイス食べたいので、そのどんよりした空気出すくらいなら一人にしてくれ」と思わず追い打ちをかけてしまいました。
今思い返すとなかなかに荒んでいたと思います。

ちなみに夫はかなり家事育児に協力的だし、常に感謝を伝えてくれます。私が改善したい課題を相談し、その重要性が認識できれば進んで一緒に解決策を検討してくれます。
しかし、育児のホットタイムにいる時間はやはり私の方が圧倒的に多く、家事育児への自分ごと感が低い部分は否めません。家事育児について夫の方から改善すべき課題が上がることは残念ながら稀です。
これについては私が話し合いを放棄したこと、さらに言えば話し合いの不確実性に耐えられないところまで我慢してしまったことが問題だったかなと思います。

リセットボタンがあったら何する?

ここまで自分のしくじりの連続を書き連ねてきましたが、そろそろ「じゃあどうすればよかったのか?」という振り返りをしたいと思います。
「もしも自分が1年前の自分に戻れるリセットボタンがあったらどうするか?」という観点で振り返ってみました。

1)復帰前面談で期待されている役割を具体的に確認する

面談の時点で期待されている役割を具体的に確認すればよかったと思っています。例えば同じPdMと一口に言っても、会社によっては定義や役割が若干違うのではないでしょうか。しかも、私の場合は今までPdM不在の組織だったので、認識にズレが起きる前提で動くべきでした。
1年前に戻れるならば、役割の確認だけでなく明確に期待されているアウトプット(今回だとビジョンやロードマップの定義も含むのかなど)を書き出して、お互いの認識の確認をしたいです。

また、インプットのついては、役割に関するインプットだけではなく、ドメイン知識(私の場合、ヘルスケアや関連する医学的な治療ガイドライン)の強化とアップデートにも取り組むと尚よかったのかなと思っています。社会の変化についていくだけでなく、役割の変化に伴なって必要とされるドメイン知識も若干異なっていたように思います。

2)復職前の環境を前提に考えない

上司が退職したことは産休の間に知っていましたが、それによる影響については漠然とした不安のまま放置していました。1年前に戻れるなら、「彼女がやっていた業務が誰にも引き継がれていなかったら?」という想定でシミュレーションしてから復帰したと思います。
また、働くメンバーが変わっていなかったとしても、業務量の予測ができているかいないかは、家事育児に大きく影響します。すでに慣れている環境だからと安心せず、現状どのように業務量の予測をしているのかを確認し、できていない場合は、復帰直後の担当業務が増える前に最優先で対策すべきでした。

3)自分の体調の波を把握し、事前に有給を宣言しておく

今回のしくじりは、予測可能だったにも関わらず、以下2点について未対策だったことが痛恨でした。

  • 自分にとって体調を崩しやすい時期があること

  • 授乳中は薬が飲めないこと

1年前に戻れるなら予測可能な事案については、事前に有給を宣言しておくことで、会社的にも自分の気持ち的にも余裕を作ったと思います。
自分の体調だけでなく、子供の体調やPTA業務など、時期が予測できるタスクは他にもあるので、その辺も事前にチェックしておきたいところです。
また今後は、自分の体調を安定させる方法の一つとして、生理のコントロールも検討したいと思っています。

4)家事の負担を軽減しておく

1年前に戻れるなら、家事のアウトソースを復帰前に導入していたと思います。ちなみに宅食や家事代行について軽く有名どころは調べていたのですが、現在宇都宮に住んでいることもあり、地域的にサービス展開していないor枠が限られているなどの問題にぶち当たったまま放置していました。
退職を機に、家事の負担についてはしっかり見直していきたいと思っています。特に17:00~21:00の負担を減らすことで、子供との会話が生返事にならないことを目指します。

5)余力がなくなる前に話し合う

今回の末期症状として、「話し合いを放棄する」がありましたが、この原因を因数分解すると、すでに「確実に負担を減らさないといけない状況」の時点で手遅れだったということだなと思っています。
私は「今なんとか耐えられる」と思うとついついその問題を放置してしまうクセをなんとかしないといけません。ただこれについては、1年前に戻ったとしても、同じ失敗をしないための方法がまだイメージできていません。

とりあえず、「このクセの原因は私の言語化習慣の弱さがあるのでは」というのが現時点での仮説です。相談する際にはどうしても自分の課題を言語化する必要がありますが、どうもこの辺が自分は得意ではない気がしています。

言語化をもっと日常的に行うことで、この辺が少しでも改善しないかな…と期待を込めて、2024年はnoteの投稿をもっと増やしていきたいなと思っています。

最後に

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。
またワーママに限らず、ご家族にも自分ごと感を持って貰うために参考にしていただけると嬉しいです。

では、皆様良いお年を!
(私はこれから言語化習慣をどうつけるかの作戦を練ります…)

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