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湿気の街。

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本編の記事を纏めました。
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記事一覧

白鳩の聖域。

 手を打ち合わせる音が、辺りに響き渡る。  天井、壁、床、全てが真っ白に染まった、小劇場…

湿度文学。
4か月前
12

ペストマスクの白鳩。

 あの頃に戻りたいと、ほんの少し思っただけだった。  夜、ベランダに出て煙草を吸っていた…

湿度文学。
5か月前
22

グレーアッシュの悪魔。

『黒熊ヒーロー、指名あり』  俺のスマホに、「殺戮婆」からメッセージが届いた。  メッセー…

湿度文学。
6か月前
23

五寸釘の白鳩。

 幸せは、残酷だ。  夜の湿った路地裏の湿った地面の上に、勢いよく前から倒れた。ねちゃ、…

湿度文学。
7か月前
18

肉屋、「蟷」。

 がごっ、がごっ、がごっ……。  紫色の光で照らされた黴臭い厨房に、力強く心地よい切断音…

湿度文学。
9か月前
15

遺袋乙女。

 しゃりゅしゃりゅしゃりゅ……。  洋梨を食べながら、湿った夜の路地裏を歩く。  しゃりゅ…

29

アイスピックの浄化者。

 夜の湿った路地裏。  黒色のフードを被って、両手をポケットに突っ込みながらどぶ臭い夜道を歩く。  湿度の高いこの街には、廃墟区域と呼ばれる廃墟ばかりが立ち並ぶエリアがある。理由は分からないが、この区域一帯が人に使われなくなってしまった。それなのに、闇の中から何かの気配を感じるのは何故だ。 「ゲームセンター」と記された電飾看板が設置された、2階建ての建物。1階と2階の間に取り付けられた電飾看板は、今はもう使用されていない為、当然光を放っていない。だけど、その壊れて汚くなった電

湿度の高い濃紺色で。

 どぶの臭いと共に、肉饅を頬張る。 * 「湿気の街」。  都内でここだけ年中湿度の高いこと…

18

トレンチナイフの林檎屋。

 古びた受付に置かれた、真新しい呼び鈴。  私は無言で、その半球の中央部にある突起に下ろ…

21

死の受付嬢。

 夜のドヤ区域は、じめっとした空気に汚さを感じる。エリア中に漂う小便の臭いの所為もあるの…

15

夜行性ディーラー。

「へ、へ、へへへっ、へへへ……」  涎を垂らしながら、焦点の合わない目でへらへらと笑う同…

18

首狩り屋。

「湿気の街」のドヤ区域。  道の脇は、小便臭い湿った地面の上にブルーシートを敷いて商売を…

27

夜行飴。

 19時過ぎ。  職場に仕事用のリヤカーを置き、街に出る。  小便の臭い、何かを煮込んだよう…

18

ドヤ区域。

 小便の臭い、薬物常習者の奇声、酔っ払い同士の喧嘩、屋台から飛んでくる呼び声と漂ってくる何かを煮込んだ匂い……。 「湿気の街」のドヤ区域は、今日も変わらず湿気と喧騒に包まれている。  アンモニア臭漂う泥濘んだ地面の上を、リヤカーを引いて進んでいく。  僕が歩く道の両側には、簡易宿泊所がところ狭しと立ち並んでいる。このエリアに住む人々の為のだ。ドヤ区域の住人の大半が日雇い労働者と生活保護受給者で、彼等の寝床となるのが簡易宿泊所、通称「ドヤ」なのだ。 「いらっしゃーい」  ちなみ