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成長の手応えと変わらぬ現実 〜ビーコル2020-21シーズンオフに思うこと〜

たいへんお久しぶりです、キヨウケンです。
皆さまお変わりなく過ごされてますでしょうか。
ツイッターは半年ほど前に辞めまして、いまはnoteの世界で生息してます。

ビーコルの2020-21シーズンも色々ありましたね。
年間勝利数を更新し、近年では最も実りある戦いができた年だったと思います。
出会いと別れはオフシーズンにつきものとはいえ、今季は残念ながら後者のインパクトが色濃い現状です。次のロスター、スタッフ全容が分からない今の時点で軽々に論じるテーマではありませんが、今やシーズンの充実ぶりが霞み「ヨキヨキ年でした!」などと手放しで喜ぶこともできず、契約発表以外のツイートばかり発信する公式アカウントには苛立ちを覚える人達も少なくないはずです。
こんな顛末からクラブに何が、どうして起こってしまったのか、あくまで仮説ですがつらつらと書き終えて今シーズンの締めにしたいと思います。

カイル・ミリングとは交渉決裂状態だった?

今シーズン躍進の最大の立役者であるカイル・ミリングHC。経験値や実績で他チームよりも劣る戦力に自信を与え、そのポテンシャルを最大限に引き出したのは氏の何よりの功績です。自らの方法論に固執し失脚した前前任者をはじめ、過去の指導者とは一線を画す働きを見せてくれました。
しかしながら、わずか1シーズンでの契約終了、しかもシーズン真っ最中の2月にリリースされる異例っぷりでした。家庭の事情でフランスに帰国し、現地のクラブで指揮を取るとの発表でしたが、、まぁその後は言わずもがなの状況です。

ここからは仮説です。
そもそも、ミリング氏は代理人の売り込みで契約に至ったのでしょう。仮に身内の誰かが発掘したなら、もっと契約までの顛末が語られていたと思われますが、未だその経緯が明かされない辺りクラブが能動的に見つけた人材では無さそうです。つまり、初めから代理人主導の人事で、その後の交渉でも主導権がクラブになかったと思われます。
それでもクラブは継続交渉を早期から進めましたが、既に戦力の脆弱さにHCも辟易しており、自身の待遇以上に編成に関してクラブの身の丈を超えるような要求があったのでしょう。それに応えられず交渉は決裂に終わったと思われます。
仮に複数年契約だったのなら、それを体良く破棄するために家族を口実にしたとしても不思議はありませんし、氏の要求を満たす待遇、戦力を担保するオファーが舞い込んだなら、それが離れるつもりの国からのものでも躊躇う理由はなかったでしょう。
考えてみると、最終戦後に戦力の薄さに言及したり、離日の挨拶映像で目を泳がせながら未来を語ったりした頃には、もう次のステージは決まっていたハズです。良くも悪くも嘘の付けない人なのでしょう。
広島(って言っちゃったね)のやり口云々ではなく、ビーコルが繋ぎ止められなかった。これが紛れもない事実です。

改めて問われる「強化のビジョン」とは

さて、2月末にリリースを出せたのはある意味でアドバンテージと感じていました。
「他チームよりもいち早く人選が進められる」
そんな期待を絶やさず抱いてましたが、蓋を開けてみれば、、、まぁそれ以上は言いません。
もちろん、B1の舞台で働き続けた実績のある人物ですから、Bリーグ初年度の姿とは何ランクも進化しているでしょう、なりふり構わずチームをさらに先に押し進めて欲しいと願ってます。
その一方で「佐古氏、ベップ氏に断られた」という情報も聞こえてきました。事の真偽は分かりませんが、この事を含めなぜ次のHCが青木氏となったのか、その積極的な理由は未だ見えてきません。
今季はミリングを招聘した事で、ビーコルはHCの重要性を再認識したはずです。チームを正常進化させたいのなら、ここから先の積み上げ方を描き、適任者を選ぶ作業がマストだったはずです。その割に候補に出た名前を含めどの程度の吟味が行われたのか、不安が拭えません。

言ってしまえば、人選において攻めの姿勢が全く見えず、むしろ財政面で「やりくり」せざるを得ない懐事情が浮き彫りになるばかりです。
この先積極補強や確固たる強化方針があるのなら、ここまでの発言全部撤回して全力で謝罪しますが、全ロスター、スタッフの陣容の行方や、今シーズンまでの戦い方をどう活かし強くしていくのか、非常に気を揉んでいます。

もう皆さんお忘れかもしれませんが、そもそもこのクラブは2018-19シーズンにウィスマン氏を招聘した際に「3年後に優勝」を掲げたのです。監督は代わり世の中の情勢は予想だにしない激しい変化に見舞われているとはいえ、その3年目が今季でした。果たして現状は如何なものでしょう?

フロントが唱える「できない理由」はもう聞き飽きた

ビーコルの生存能力は素晴らしいと心の底から思います。ギリギリでB1チームとしてエントリーされて以来、あらゆる形で今なお残留し続ける。運かもしれませんが、それも実力のうち。ホームゲームのホスピタリティを含めBリーグの中で愛される理由を持っていることも立派な強みだと思います。

ただ、プロチームは強くなってなんぼです。
上位進出や有力選手の獲得、それを下支えするアリーナ、練習場の環境整備、これらが遅々として進まないことからは、もはやクラブが勝つことを放棄していると捉えざるを得ません。
横浜という土地だからこそ運営経費は嵩みますが、それを補って余りあるスポンサー候補も数多く存在しているはずです。スポーツコートも灼熱の体育館もやむを得ず利用していると考えるべきで、選手の限られたキャリアを思えばそれらの改善に積極性を見せないクラブに魅力を感じてもらえなくても当然です。
新B1を目指す宣言もありました。結果的に入り込める雰囲気はあると思っていますが、そこにどれだけ本気なのかを少なくとも降格が復活する2022シーズン前には見せつけて欲しいものです。

毎年行われているカンファレンスで、クラブが「できない理由」の説明に終始する場面が何度もありますが、もはや言い訳レベルに陥るほど時間は経過しています。それでも内情を理解して応援し続ける人達は確かにいますし、待遇が低くても環境に不満があっても自分の仕事を全うしてくれる選手、スタッフばかりだと思います。しかし、早急にこうした好意をスポイルするだけの体質から抜け出すのが責務ではないでしょうか。
今シーズンオフの引き抜きはこの程度で済んだと思うべきです。諸々の予算は高騰しあらゆる人材の売り手市場化は加速するでしょう。その波から常に取り残されることで、毎年のように不安な気持ちを抱えるファン、ブースターのことももっと明確に想像してみるべきではないでしょうか。

誰がためのクラブか

とどのつまり、クラブの中の人たち、とりわけ経営陣の姿勢が今のクラブを方向づけ、未来の姿を決めていくはずです。
クラブは株式会社、当然株主の主張が尊重されます。ただし、とりわけスポーツクラブとはステークホルダーの支援、支持があってこそ、人に、地域に、世の中に必要とされてこその存在です。
「あまり勝てないけどホームゲームの雰囲気が良いチーム」なんてコンテンツに大きな飛躍は期待できません。話題性や目先の面白さで惹きつけることを否定はしませんが、プロスポーツの本質でもある「じゃあいつ強くなるの?」という関心事が延々と蔑ろになっている現実を重く受け止めて欲しい。それを叶えるための変革も辞さない覚悟で。
もう既に多くの人たちの心を掴んでいるクラブなのです。今季見せた成長の芽を更に大きく伸ばせるように、クラブのこれからの奮起を期待しています。

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