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江ノ島

初めて出かけた江ノ島がすごくよかった。江島神社がすばらしかった。山を登るようにしていくつもの社をめぐった。いい風が通り抜けていく参道が気持ちよかった。桜も咲いていた。

前日の大事件がうそみたいな時間だった。どんな情緒でいたらいいのかわからなくなって、明け方からまったく眠れずにいたのだけど、仕事での出会いもありがたかったし、ここを歩くことができて心底よかったと思った。

シーキャンドルのてっぺんからも本州を見渡していると、自分なんて相当ちっぽけな存在だったことを思い出してほっとした。自分の失敗を肯定するつもりは毛頭ないけれど、すこし冷静にはなれた。なるようになっているのかな。

今週はいろんなことがあった。

自分の至らなさを思い知るばかりで、このまま土の中に埋もれてしまいたくなった。
あわてていいことなんて、何もない。いつも思っているはずなのに。

心の片隅になんとなくひっかかっている自分の気持ちなんて、見過ごしてしまえば誰にも迷惑はかけないと思っていたんだけど、隠そうとしても顕在化するものなのだなとも思い知った。自分の気持ちなんて、全然ごまかせない。絶対、形になって見えるものなのだ。

まあまあな年齢になるまで、映画を見るのが好きじゃなかった。どうしても意識が日常から離れなくて、まったく没入できなかった。どんな大ヒット映画も10分もすれば眠っていた。映画館でも、家でビデオやDVDを観ていても、そうだった。今となっては、それは当時、日常が十分楽しかったからなのだろうと思う。しあわせなことに。

でも、今は違う。現実にしんどいことがたんまりとあって、せめて映画のなかに、たった数時間でも逃げ込んで、自分を肯定させてくれるような人や、自分のばかばかしさを「それもアリなんじゃない?」なんてテキトーに言ってくれるような人に出会いたいと思うようになった。

映画を観る時間も作れないような仕事の仕方からは卒業しなければ。そして、こうやってときどき知らない街を歩いて、からっぽになる時間を持たないと。

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