shizukutotamaki

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富山県民。苦手なことは自己紹介です。伝える系の仕事をしています。https://www.instagram.com/shizukutotamaki/

最近の記事

終わりの季節

気づけば一年の4分の1が過ぎていてぞっとする。こんなふうに、あっという間に死んでしまうんだろうか。 以前勤めていた会社の会長が、亡くなられたと聞く。家族葬も済んでいるとのことだった。訳あって会長が会社を去ることになったあの日、最後の社内メールでの挨拶も、会社を去るその後ろ姿も、なんとももの悲しかった。 自分が興した会社の末路を、どんなふうに眺めていたんだろう。 いま、この仕事をしているのは、まぎれもなく氏のおかげだ。その言動や行動を理解しがたいと思ったこともたくさんあっ

    • ポール・ウェラー@名古屋ダイアモンドホール(2024.01.27)

      ポール・ウェラーのライブ、初体験だった。ダイアモンドホールなんて、25年ぶりくらいに行ったかも。おそらく最後に行ったのはコレクターズかミッシェルだと思う。あの微妙に暗い階段をのぼっているときに、ライブに緊張しながら同じように階段をあがっていた当時の自分が急にフィードバックした。 直前でインフルエンザにかかり、一度は諦めたのだけど、執念で無理矢理回復(発症して6日目)し、マスクをして参加。ひさしぶりに男気のあるライブを見た気がした。野太い男性陣の声援に胸が熱くなった。 もち

      • 再会の意味

        8月に入ってから今日まで夏休みモード全開で、朝はちょっとゆっくり起きて、懐かしい人に会ってビールを飲み、ホットヨガにせっせと通い、躊躇なく昼寝する日々を過ごしていた。インプットもあまりせず、本は買っているけれど、なにもかも全然読み進められていない。 エンタメはDesney+でクドカンの「季節のない街」をちびちびと見て、日曜劇場「VIVANT」を後追いするくらい。「君たちはどう生きるか」もまだ観てない。 * 中学と高校の内輪的な同窓会が2つあり、隣町の恩師にも3年ぶりくらい

        • 市川沙央さんの『ハンチバック」を読む

          連休からの一週間は暑さと戦いながら出張をこなし(楽しんで)、家ではストレッチに励み、市川沙央さんの『ハンチバック』を読み、男子日本バレーの応援をし、インドやスリランカのカレーを食べ、小さな山を歩いた。暑くてもうろうとしている時間もまあまああったし、あまり仕事に身が入らない時間ももちろんあったのだけど、こうして書き出してみると、わりと充実していたんだな。 市川沙央さんの『ハンチバック』。先日の朝比奈秋さんの『植物少女』もそうだけれど、とりわけ去年から今年にかけて、「体がままな

        終わりの季節

          植物少女

          夜のお稽古で、お抹茶を3服いただいたからか、まんまと眠れなかった。2時すぎに目覚めてからポッドキャストを聞きつつ横になって、丸々番組を聴いたらすっかり覚醒して、読みかけのままにしていた朝比奈秋さんの小説『植物少女』を読了した頃には朝の5時をまわっていた。 出産時の脳出血で植物人間になった母と、その娘、家族の26年のお話。植物人間として病棟で過ごす母はずっと眠っている状態ではあるのだけど、生きるための機能は正常で、口元に食べ物を持って行くと咀嚼して食べたり、痛みに反応したり、

          日曜の夜ぐらいは...

          ほとんど仕事しかしてない気分。でも睡眠はたっぷりとっているし、ごはんもおいしく食べてるし、お酒も音楽もむさぼっている。いま、ここに本がすこし入ってきた。朝比奈秋さんの『植物少女』と、教授の『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』。それと、ときどき歩いている。 仕事以外は「快」を超優先しているけど、仕事ももっと「快」を求めてできるといいな。殺気立っている自分がほとほといやになる。何かを忘れているような気がずっとしているし、締め切りを反芻してはぞっとしているし。毎日、小さくても一つ

          日曜の夜ぐらいは...

          わたしが見た「怪物」

          映画『怪物』を観た。土曜の朝から映画館に行くのなんてどれくらいぶりだろう。坂元裕二さんの脚本はやはり味わい深く、とくに「坂元さんらしさ」を感じてぐっときたのは、湊と依里のやりとりだった。ときめいた。 「怪物」はたくさんいた。ほんの小さな断片で勝手に解釈して突っ走ってしまう人、自分の考えが正しいと思い込み、それを他人や家族に強要する人、「あやまればいい」というところで思考停止する人、子の性的な性質を受け入れられない親など。自分のなかの「怪物」にも気付いてしまった。 そして、

          わたしが見た「怪物」

          幼なじみのこと

          週末、ひさしぶりに幼なじみ3人で食事をした。一年ぶりくらいだったと思う。会えたことがうれしくて、さらに、コロナ禍がおさまりつつあること、お店もいい感じのところだったこともあり、調子にのってしまったかもしれない。帰ってきて、はしゃぎすぎたような気がしている。 幼なじみの一人は、この数年、会うたびに泣くようになっていた。仕事を休めないこと、職場との人間関係の難しさなどを話しているうちに、泣いてしまう。それがいつも心配だった。そして、ひさしぶりに会ったこの週末も、そうだった。

          幼なじみのこと

          ある光

          今週はずっとお天気がよくて、緑がきれい。北陸では年間でこんな時期はすごく短いのだけど、うれしい。 約10日間、コロナ療養で自室にこもっていた。部屋から庭の木々や草花も見えるし、立山も遠く見渡せていたので、あまり外の景色に不自由はしなかったのだけど、2週間ぶりくらいに外出して木々の中を歩き、草木の匂いをかぐとすごく心地よくて、懐かしかった。人がいないところでマスクを外して、いっぱい深呼吸しながら歩いた。 療養期間は、本当にただ仕事のことを忘れて、ただ眠り、ただ休み、読みたい

          The 1975@Aichi Sky Expo

          外国のバンドのワンマンライブはいつぶりだろう。おそらく20年くらい前に見たYo La Tengo以来? あるいはジザメリ以来?? というくらいにひさしぶりだった。ここ数年、すっかりBTSに入れこんでいたのだけど、近い熱量で平行して聴いていたのがThe 1975だった。今となっては何がきっかけだったか思い出せないけれど、楽曲の良さはもちろん、ヴォーカルのマシューの歌とキャラクターに、気付けばすっかりドはまりしていた。昨秋、チケットをゲットしてからこの日をどれだけ心待ちにしていた

          The 1975@Aichi Sky Expo

          川上未映子さんの『黄色い家』を読む

          GW後半はすっかり寝込んでしまったけれど、おかげでじっくり養生できたし、課題図書も読めた。 GWの課題図書、それは川上未映子さんの『黄色い家』。 めちゃくちゃおもしろかった。600ページあって、2週間前くらいから少しずつもったいぶりながら読んでいたのだけど、最後の400ページくらいは、ほぼ一気だった。 主人公・花と、男運がことごとくなく、スナックでしか働くことができない母、ちょっと「心ここにあらず」な不思議なところがある黄美子さん、初めての親友になる蘭と桃子、花が憧れる

          川上未映子さんの『黄色い家』を読む

          ついに

          一昨日、コロナ陽性と判定された。あんなに流行していたときには大丈夫だったのに、今になって……。 5類になる直前で、まだよかった。しかしGW後半はおかげで丸つぶれ。こうでもしないと、ちゃんと休まなかったかもしれないと思うと、家族に迷惑をかけたのは申し訳なかったけれど、このタイミングでかかったのはむしろよかったかもしれない。 GWだったので急患センターや当番のクリニックで診てもらって処方された薬を飲み、かなり症状はよくなっていたのだけど、咳がとまらなかったので念のため、耳鼻科

          エブエブ観て人生を思う

          映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』をやっと観た。おもしろかった。ハチャメチャだった。マンガみたいな世界なのにやたらとリアリティを感じたのはなぜだろう。正直、どんな映画だったと説明するのがものすごくめんどくさい作品だと思う。 絶対一発で理解されないし、そもそも自分も全てを理解できてないと思うし。 でも、変なことすると強くなるとか(最高)、指がソーセージになっちゃう次元とか、いろいろばかばかしいんだけれど、石になってしまったジョイとエブリンの対話の哲学っ

          エブエブ観て人生を思う

          始まりは終わりの始まり

          今週も始まってしまった。月曜の朝に目覚めることが一週間で一番つらい。特別いやなことがあるわけでもないけれど、遠くに見えていた「やるべきことが積もっている山」をちらちら見ながら週末を過ごしていたのが、月曜の朝になると突然目の前にそびえているような、そんな感覚。登らなければならない、やらなければならない、逃げられない。 でも、始まりは終わりの始まり。始めなければ終わらないと言い聞かせつつ、週末のお花見を楽しみに、ゆっくりスタートを切る。 * 映画『ミナリ』を観た。 アメリ

          始まりは終わりの始まり

          江ノ島

          初めて出かけた江ノ島がすごくよかった。江島神社がすばらしかった。山を登るようにしていくつもの社をめぐった。いい風が通り抜けていく参道が気持ちよかった。桜も咲いていた。 前日の大事件がうそみたいな時間だった。どんな情緒でいたらいいのかわからなくなって、明け方からまったく眠れずにいたのだけど、仕事での出会いもありがたかったし、ここを歩くことができて心底よかったと思った。 シーキャンドルのてっぺんからも本州を見渡していると、自分なんて相当ちっぽけな存在だったことを思い出してほっ

          3月!

          3月に入って、すこし落ち着きを取り戻しつつある。季節ごとフェーズが変わった感がある。10度を超えるとこんなにも暖かいんだな。 外を歩くと土の香りがする。雉がまた町に戻ってきた。小鳥が鳴いていて、蝋梅も満開になった。桜の木の枝がほんのりピンク色になってる。こんな時期になると、いつも小学校の国語の教科書で読んだ志村ふくみさんの染織のお話を思い出す。 桜色は花そのものではなく、花を咲かせようとする桜の枝を用いて染め出すのだと。このときに「桜の木は生きているのだ」と、生まれて初めて