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なぜ「かんざし」だったのか?金属加工工場がかんざしを作っているワケ

静岡工場博覧会ファクハク開催まであと100日を切りました!
普段、開放していない工場のシャッターやドアをオープンにし、地域の方にモノづくりを五感で感じていただく3日間。多くの皆様に楽しんでいただけるように様々な企画進行中です。

ここ静岡市にはバラエティに富んだものづくり工場がたくさんあります。
ファクハクの特徴は、特定業界の工場だけでなく、様々なモノづくり工場が一斉にオープンファクトリーをするところにあります。

当社(株式会社山崎製作所)はそんな数ある工場の中で、金属加工の精密板金加工を営んでいる会社です。
当社の自社商品のひとつ「KANZASHI」は、金属加工技術で製作しております。
もともとは機械部品、カバーを作っているOEM専門の会社です。そんな会社がなぜ、全く異分野の「かんざし」を作り始めたのか?とよくご質問をいただきます。
今回は、そのワケをご紹介させていただきます。

それは、金属加工の歴史をひも解いたところから始まりました。

三代目板金屋「KANZASHI」

金属加工の歴史


金属加工は、太古の昔、人類が青銅を発見したところから始まりました。
これを鋳造して剣・鏡・武具などを造り、そして鉄の発見により、これを加熱し打ちたたく鍛造によって成形し、種々様々のものを造り出すことが出来るようになっていったのです。鏨(タガネ)轆轤(ロクロ)などの道具を用いて金属を切ったり削ったり、穴を明けたり、模様を造ったりして切削をする技術が生まれていきました。
日本において、特に江戸時代には、その製造技術が大きく発展しました。

鍛造

錺職人


鋳造、鍛造という製造技術が発展した上に、切削技術の発展が進み、「金属の芸術家」と呼ばれた「錺職(カザリショク)人」の活躍もみられました。当社の精密板金加工のルーツは、この「錺職(カザリショク)人」です。
機械や工具は高性能なものになりましたが、加工原理は同じです。熱エネルギーと圧力と工具を使って形を作っています。
当時の錺職人も金属に様々な細工を施し、飾り金具、錠前、丁番、長持ちの金具、簪(かんざし)から家庭用の金具、さらに貨幣などなどを作っていた職人でした。

錺職人と鍛冶職人は仲間だった!


これは余談ですが・・・錺職人たちは、鍛冶職人とともに協力しあって様々なものを作っていました。たとえば鍛冶職が刀剣を造れば錺職は鍔(ツバ)などを製作し、鍛冶職が武具馬具などを鍛造すれば、錺職はこれに細工を施す、というように専ら細工を必要とするものを作っていました。
城下町でも近くに居住し、協力体制ができるようにしていたと考えられています。
つまり、現在と同じように、金属加工会社はそれぞれの技術加工方法別に細分化されていながら、横に協力しあって製品を作っていたのです。

昔の鍛冶職人

徳川大御所時代の職人


徳川家康公の大御所時代、駿府城築城や将軍家へ納入の金具製造のため京都、江戸より優秀な錺職人達が連れてこられたといわれています。その後、そのまま此の駿府に定住し、錺職業界の技術は著しく向上し繁栄したと考えらてれます。その錺職人たちの仕事の足跡は、徳川家康公の墓所となった久能山東照宮にも残されています。
静岡の歴史と久能山東照宮についてはこちらの記事 ↓

かんざしの歴史

江戸時代には、かんざしが大流行しました。町娘からお姫様まで、様々なかんざしをつけていました。また、かんざしは当時のプロポーズ時のアイテムでした。
かんざしを贈る意味としては、代表的なものは”あなたを守りたい”です。髪の毛、つまり、顔のすぐ近くに付けられるかんざしは、あなたのすぐ近くで、”一生守りたい”という意味をこめて贈られていました。つまりかんざしは、現在の婚約指輪のような役割だったんですね。
また、さかのぼること縄文時代、動物の角や枝等で出来たかんざしを「魔除け」の意味で着用されていました。そんなところから、相手を大事に思う気持ちを表すものだったようです。また「苦しい時も死ぬ時も一緒に・・」という想いをこめて「櫛簪(くしかんざし)」を贈ったということもあったようです。そして、三行半を言い渡す時には、そのかんざしを返したそうです。
これについては、当社のブランド「三代目板金屋」の特集ページで詳しい記事になっていますので、ご覧ください。↓


伝統あるかんざしに現代の技術を吹き込んだ「KANZASHI」


このように私たち精密板金加工の歴史をひも解いた中で、錺職人というルーツと出会い、そのなかに「簪職人」がいたということを知ったことから、「KANZASHI」の製作を始めました。
当社の「KANZASHI」は、伝統のかんざしに、現代の加工技術で、高機能な付加価値をプラスした商品となりました。
ずっと長く使える、品質と性能で、お客様からご好評をいただいております。
お客様のレビュー ↓

約80種類の「KANZASHI」は、オンラインショップと、全国の百貨店、専門店で販売しております。当社内ファクトリーショップで全種類購入できます。ぜひ、この現代の錺職人が作ったかんざしをお手に取ってご覧いただければ幸いです。
三代目板金屋オンラインショップはこちら  ↓

最後に

静岡のモノづくり職人には、徳川家康の時代から続く、匠の技と魂が受け継がれています。静岡工場博覧会ファクハクでは、多くの地域の方々に、世界に誇れる静岡の工場と職人を知っていただき、もっともっと身近に工場を感じてほしいと思っています。
これからも工場の魅力を発信していきたいと思っています。
ファクハクは、11/17~19の3日間開催です。
お楽しみに。

今回は、株式会社山崎製作所 山崎かおり がお届けしました。


ただ今、ファクハク参加企業、協賛企業、大募集中です。
ぜひ、一緒に工場を開きませんか?
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