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12歳の時のような友達は二度とできない

以前のハナエさんの記事に少しだけ登場したイッセーくんと、ジュンコちゃん(仮名)*1の結婚式・披露宴に行ってきました。
とくに披露宴は感動的なプログラムが目一杯詰め込まれていて、まるで4時間超のオペラを見終わったような充実感がありました。*2

式場でいただいたお花。
恥を忍んで?一番立派なものをいただきました。

スピーチされた方のお話はどれも心のこもったものでしたが、中でもとくに私が感動したのは、新郎の友人二名によるスピーチです。
このお二人はイッセーくんの幼なじみで、今は社労士(イッセーくん)・税理士・行政書士が集まった合同事務所を作り一緒に働いていらっしゃいます。

とても明るく、出てきただけでみんながクスリとしてしまうような、魅力的な二人です。
スピーチの内容は「みんなが知らないイッセーくんの本質を3点にまとめて教える」というものでした。
1点目、2点目は「動物と会話できる(が、競馬ではスッた)」、「バターの使用にこだわる(マーガリンをとにかく忌避する)」というもの。
聞き手に(しょうもないな…笑)と油断させたところで教えてくれた3点目が素晴らしかった。

映画「スタンド・バイ・ミー」のラストシーンで出てくる「あの12歳の時のような友達は二度とできない」*3 という言葉を引用しつつ、自分たちが今も仲間でいられるのは、小学生のときに出会って芽生えた純粋な友情を、それ以来ずっと大切にしつづけてきたからだ、という話をしてくれました。

なんて素敵な話なんだと思いました。
12歳のときに純粋な友情を感じた相手が、社会という荒野を生きるための仲間になれば、どれだけ心強いことでしょう。

感動した上で、この話から自分は何を学びとして生徒に伝えられるだろうかと考えました。

もちろん、みんながイッセーくんたちのように幸運をつかめるわけではない。12歳の時の友達とは会えなくなる人の方が多いでしょう。
でも、仮にそうだったとしても、この映画の主人公ゴードンのように、12歳の時の友達との日々はかけがえのない記憶になるのではないか?*4
だからこそ、12歳の時の友達を大切にしてほしい。
そう思うのは、私だけでしょうか?

S塾で仕事をしていたときは、
・交換採点で相手の答案にバツを大きく書く子
・隣の席の子の教材が自分の机にはみ出てくるのが許せない子
・解答を写してごまかして、授業点を他の人より良くしようとする子
などなど、同じ部屋で勉強している人を仲間や友達(まだ仲間や友達とまでは言えなくても、仲間や友達になる可能性がある相手)とは全く思っていない様子の子どもが多かったです(私の心も荒みました笑)。

今、一緒に教室で楽しい時間を共有している人のことを、一緒に努力し合える仲間と思って、心を開いてほしいな、と思います(もちろん、これは塾の中に限った話ではありません)。

貴重な12歳を荒んだ心で過ごすのではなく、将来、記憶に残るような、あるいは、イッセーくんたちのように大人になっても仲間でいられるような友達と一緒に過ごしてほしいと心から願っています。*5


*1 新婦とも同じオーケストラで演奏したことがあるため面識があり、今までは「コシノさん」とお呼びしていたのですが、これを機に「ジュンコちゃん」と下のお名前で呼ばせていただきます。
イッセーくんには「シュンジ(春秋を略して作られたあだ名)は面食いだよね、オレも面食いだから分かるよ」と言われたことがありますが、ジュンコちゃんは100人が見たら絶対に100人が「美しい!」と言うであろう、スーパー美人です。外見以上に内面が美しいのは言うまでもありませんが。
イッセーくんも相当なイケメンなのですが、イッセーくんには「シュンジもイケメンだと思うよ。やせたらね笑」というお言葉も頂戴しました(ちなみに、こうした発言からずいぶん仲良しなように見えると思いますが、イッセーくんは私よりも結構年下です。そんな年の差も気にせず、懐に飛び込んできてくれるのは、イッセーくんの魅力の一つです)。
このように書くと、人生順風満帆のイケメン・美女カップルの結婚式、という感じで、嫉妬や劣等感を覚えてしまいそうですが、そういった気持ちを全く感じない、本当に気持ちの良い、愛情や幸せをみんなで共有できた結婚式でした。イッセーくん・ジュンコちゃん、ご家族、お友達みんながこの日ののために入念に準備されたことが感じられました。

*2 えりかさん(えりかさんについては、別の記事を参照)と時計を見て、「まだこんな時間?もう夕方になったくらいの気分ですね」と言い合ったくらい、感動的なシーンが盛りだくさんでした。
スマホで写真を撮るのが好きではない(その瞬間にその場にいることに専念したいから)僕でさえ「今、この席からしか見えていない新郎・新婦を、この瞬間を残さなければ…!」と思ってしまうくらい、素晴らしい瞬間がたくさんありました。
イッセーくんとジュンコちゃんはバイオリンを通じて出会われただけに、二人がイッセーくんのお母さま(ピアノ)の伴奏で「ニュー・シネマ・パラダイス」の「メインテーマ」と「愛のテーマ」を演奏する姿は、このご結婚を象徴しているように思え、とても素敵でした。(リンク先の動画はいずれも誠実に演奏していることが感じられるものを選びました。)

*3 英語(原文)は "I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve. Jesus, does anyone?"。ここまでずっと笑わせるスピーチだったので、いきなり「カモン!」と言って、Ben E. King "Stand By Me" が流れ始めたときは、「安心してください、はいてますよ。」のネタを披露するのかと思ってしまいました。

*4 私がこの仕事を続けられているのは、中学受験で友達と一緒に勉強するのが楽しかったからです。一緒に塾に通っていた友達とは今もお付き合いがあります(ほとんど会うことはありませんが)。このお友達のこともいずれ記事にしようと思います。

*5 少し違う視点ではありますが、以前の「イス取りゲームをやめて、仲間をつくろう」という記事で書いたこととも共通します。イス取りゲームの勝者になることを自分ひとりで目指して、勝利を達成する力よりも、社会という荒野を生き延びていく仲間を作る力のほうがよほど大切だと私は思っています。子どもには、勉強が得意なことそのものには価値はなくて、あくまで仲間を助けるための手段として価値がある、と思っていてほしいです。

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