【ライブの記憶】「渋谷キャスト7周年祭」関連特別企画:若林恵×tofubeats「発注向上委員会」立ち上げ!?記念トークイベント at SHIBUYA CAST 2024/04/27

突如世に公開された「発注向上委員会」なる謎の委員会。
何なのかさっぱりわからないものの、若林さんとtofubeatsが絡むなら、面白いに違いないということで行ってきました。
結論、やっぱり最高に面白かったので、簡単に内容のまとめや感想等書いておきます。

ことの経緯は「発注」への熱量?

ことの経緯は、4/28,29に無料配布されるブックレットでの若林さんのインタビューに書かれているので、これを読んでいただくのが良さそうです。
たくさん刷ったらしいですし、まだ若林さんパートしか読めてないですが、めちゃ面白い感じに仕上がっています。

SHIBUYA CAST. memorial booklet「頼まれなくたってやっちゃうことを祝う」

ごく簡単にサマリーすると、
もともと若林さんは「WIRED」時代に「発注」特集をやろうとしていたものの、出来ず終いになっていたと。
しかしながら、その特集をずっと心待ちにしていた一人がtofubeatsであり、もう一人が今回司会もしていた渋谷キャスト7周年祭 プロデューサーの熊井晃史さんでした。
そして前者は折に触れて催促し、後者は昨年末の謎イベント「水刺身を食べる会」で初対面にして発注について熱く語るといったことがあったらしく、
なんやかんやあって、この場に至るというところかなと思います。

もっと大元の部分だと、若林さんがDJ機器メーカーであるVestaxの創業者である椎野秀聰さんにインタビューした時の話(以下の記事かな?)がとても印象的で、そこから「発注」について考えるようになったようです。
そのエピソードの詳細はブックレットに書かれているので、ぜひ。

「発注」とは何なのか?

この辺りも、ブックレットに詳しく書かれているのですが、
出発点は、そもそも「発注」ってなんなんだろうね?ということでした。

言われてみると確かにという感じですが、
「発注学」というものはなさそうなものの、仕事をする中ではごく基本的なやり取りとして存在しているものです。
しかしながら、それがどういうものなのかは、いまいちよくわかりません。

業界ごとにもだいぶ慣習がありそうで、ゼネコンへの発注という視点と、単なる消耗品の購入という意味での発注という視点では、切り口が大きく異なるでしょう。
これは実感としてもかなりあって、自分の仕事のフィールドであるシステム開発では、この受発注について、永遠に揉めている印象があり、他業界とはまた違った慣習がありそうに思っています。

そもそも、仕事というのは労働というよりは、頼んだり頼まれたりの連続であり、貸し借りという概念から考えるべきでは?というtofubeatsの言葉も印象的でした。まさしくそうだろうと思います。

結局は「信頼」という話に至りそうという観点も、そうだなと思っていて、過去に書いたこの辺は親和性がありそうに思います。

「発注」を考えることは、世直しに繋がる?

そんな謎に包まれた「発注」ですが、これを考えることが世直しに繋がるのではないか?というのが若林さんの考えていることのようです。
この辺は、最近の若林worksである、「会社の社会史」や「実験の民主主義」と一直線になっていると感じました。

まずもって、政治や社会のルールを変えるためには、革命的なやり方に希望を持つのではなく、目の前の現場を変えていく実践からこそ、成し遂げられるのではないか?という仮説のもと、
我々が何もわからないまま行なっている「発注」について、解像度を上げて言語化し、共通認識をもっていくことによって、
仕事自体を変えていき、それすなわち人々の人生も、社会も変えていくことに繋がるのでは?
よって、これは社会の世直しなのであるという壮大な構想。

流石にこのぶち上げ方には、笑いましたし、痺れました。

「発注向上委員会」?

踏まえて、来年ロールアウト目処ぐらいで立ち上げるのが「発注向上委員会」なるもののようです。

このイベントでは、生成AI画像と上記のような内容をもとに構成されたスライドを見せてくれましたが、
本当にぶち上げていて、面白かったです笑

委員長はtofubeatsで、熊井さんも委員に入って、とりあえずお金集めするようです。
若林さんとtofubeatsで営業も行きますよという本気か冗談かわからないような話もありましたので、気になる方はぜひ黒鳥社orHIHATTに連絡してみると良いと思います、その商談絶対面白そう笑

結構構想自体はちゃんとしていて、メディアのイメージはある程度具体的になってましたし、
「WIRED」がテックという切り口で全てを扱えるようにしたのと同様に、
「発注」という切り口を使えば、世の中のあらゆる仕事が扱えそうだし、業種ごとに違いそうという特性上、ネタも尽きないはずという視点は、なるほど確かに、、、と唸りました。

tofubeatsは、自分自身が会社を立ち上げた背景もあり、会社と距離が遠い会社員のことがイメージできないので、そういう話も聞きたいし、
椎野さんのような優秀な経営者やイノベーターにたくさん話を聞いてみたいというモチベーションがあるようです。確かに面白そう。

「仕事」という視点だと、話が広すぎて語りづらい側面もあるけれど、
「発注」という視点であれば、案件単位になるし、より具体に近づくので、いろんな話が聞けるのではないか、というtofubeatsのコメントもなるほどと思いました。(こういう考え方からも、tofubeatsは良い意味でめちゃめちゃ"ビジネスマン"って感じしますね)

全体的な感想

てな感じの話でしたが、総じてめちゃくちゃ面白かったですし、「発注向上委員会」はとても気になるので、クラウドファウンディングとかするなら普通にお金出そうと思っています。

何より、確実に自分の問題意識ともつながっているんですよね。
受発注を考えていくことは、自分がどこにコストを払っていて、どこは払っていないのかを見つめ直すことでもあるという話もありましたが、
まさしく今の世の中は複雑になりすぎて、その辺りが全くわからなくなっていると感じます。

加えて、そもそもIT業界では↑にも少し書いた通り、とにかく受発注の課題が大きいです。
システムという目の見えない複雑性の高いものをどう見積もるのか?
そこにおける責任はどう分解して、どこをどう担っていくのか?
というのは、統一的な見解がいまだに取れておらず、
一般的には発注側の責任と整理されていることも、うまく実行されずに、炎上を繰り返すばかりです。

もはや開き直すケースすら普通にあるので、ここにおける課題はとにかく大きいと感じています。

まぁもちろん受注側の考えもわからないでもないですし、
イベントでもあった通り、情報の非対称性がある中で、どうやっていくのが良いのか?という話だと思います。
システムに知見がない人がある程度関わらなければいけない構造が悪い側面もあるでしょうが、
こういう話が、社会的にどうも前に進んでいる感じがしないとも思います。

だからこそ、人によってはとっつきにくいだろうシステムという切り口ではなく、「発注」という切り口から業界横断で考える機会は、
こういったIT業界の課題にクリーンヒットする話なのかもしれないなと思って、かなり期待感があるところです。

ちなみに、弊社大企業でも、結構筋の良い言い訳は作れる気がするので、
個人的には何かやりたいし、会社のミッション的にもやるべきだと思うんですが、自分に権力が一切ないので難しそうだなぁ、権力あればスポンサーとか考えたいんですけどね笑

とりあえずめちゃ面白いイベントでしたし、今後の「発注向上委員会」の展開には要注目ですね!


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