【ライブの記憶】Sound & City ~environ~ at HANEDA INNOVATION CITY 2024/03/24

去年同様、Sound & Cityが今年も開催されました。
TOKYO CREATIVE SALONの一環として、HANEDA INNOVATION CITYのDEJIMAにて無料で参加できるイベントですので、行ってきました。
実はあまり前情報見てなかったのですが、やはり面白かったので簡単に感想を書き残しておきます。

タイムテーブル
16:30 開場 @ 2階ZoneE DEJIMA
17:00 - 18:00 イントロダクショントーク 若林恵&齋藤精一
18:00 - 19:00 トーク+パフォーマンス《王睘 土竟》荒内佑+千葉広樹 照明:佐藤円 音響:WHITELIGHT
19:00 - 19:20 休憩
19:20 - 20:20 トーク+パフォーマンス《82番目のポートレイト》木藤遼太

イントロダクショントーク 若林恵&齋藤精一

まずは、メタバースえとせとらコンビ 若林恵さんと齋藤精一さんのトークから。流石の縦横無尽のトークっぷりでしたが、面白い話がいくつもありました。

例えば、このイベントの底流にはブライアン・イーノの考え方があるという話です。
ブライアン・イーノが衝撃を受けた作品があるらしく(アーティスト名が聞き取れなかった、、、)、それはいくつかのルールのもと、好きな音を出して良いというもので、それがなんとなく音楽になっていくものらしいです。
これは、混沌から秩序がどう生まれてくるのか?、どうすればいかに制御を最小限にして社会や都市、民主主義をコントロールできるか?という視点で見ることができます。
つまり、こういった見方のもと、音をどのように扱うのか?そこに人が集まって何をどうできるのか?をこのイベントは考えていくものである、という説明は興味深いものでした。
確かに前回はタイトルにもDAOと銘打たれていて、まさしく分散的な組織の中での音の実験でしたが、今回も後述の通り、確かにその流れを汲むものでした。

他にもラスベガスのスフィアの話はなるほどと思いました。
スフィアとは何なのか?という話でして、あれを単なるイマーシブ空間と捉えるのは間違っていると。
スフィアとは、これまでの映画や音楽、ライブといったセグメントを、テクノロジーによって、ひと繋ぎにしたものであり、正しい意味でのデジタル化社会のあり様を占めているものなのだ、という説明には痺れました。
自分のデジタル化の考え方ともかなり近しく、まさしくそうだと思います。

そんなスフィアですが、知らなかったんですが、2万席に対してスピーカーが16万あるらしく、これによって観客に対して"一つの体験"を届けるのではなく、一人ひとりに"違った体験"を届けることができるという話は、今回のテーマとも共鳴する話で、確かにすごいな、、、と思いました。
一度体験してみたいですね。

トーク+パフォーマンス《王睘 土竟》荒内佑+千葉広樹 照明:佐藤円 音響:WHITELIGHT

といったトークからパフォーマンスへ。
演者は、ceroの荒内佑さん、優河 with 魔法バンドや蓮沼執太フィルのメンバーとしても活動する千葉広樹さんのコンビがメインで、
照明を先日WWW Xでイベントもしていた佐藤円さん、音響は鈴木昭男・吉増剛造・刀根康尚らの作品の音響設計を手がけるWHITELIGHTさんという豪華布陣。
パフォーマンスの内容は、会場の上にある足湯スカイデッキにマイクを忍ばせ、その音をリアルタイムで分解・再構築して鳴らしてみる、というとても興味深いものでした。

当日はあいにくの雨だったので、足湯には人も少なかったり、小道具も用意していたのに風も弱く鳴らず、ということで最悪のコンディションではあったとのことですが、どうなっても失敗にはならないので大丈夫だと思っていたというお話の通り、終始面白い体験でした。

マイクを見つけたので、自販機で飲み物を買ってみたんですが、その音も若干使われているような気がしましたし、この音は一体何から生まれたのだろう?と考える時間は、これまでにない経験でした。

ちなみに、タイトルの「《王睘 土竟》」は、音をバラして組み合わせるという実験に合わせて、環境という文字をテーマを"ギャルった"とおっしゃっていて、なるほどなと思いました笑

トーク+パフォーマンス《82番目のポートレイト》木藤遼太

最後は東京藝術大学彫刻科、同大学院美術研究科彫刻専攻修士課程をともに首席で卒業したという、木藤遼太さんのインスタレーション。
卒業制作だったという《82番目のポートレイト》でした。

いきなり始まって、何がなんだかわからなかったのですが、終了後ご本人が解説をしてくださり、その後に再度体験できたので、よく理解できました、多分。

自分の理解は、

この作品は、クラシックのボレロを流すものである。
楽団が演奏するボレロを81種類集め、それを小説ごとに入れ替えたりして、27個の楽曲を作り、27個の自作スピーカーから流す。
楽団ごとに曲のテンポや音色が違うため、一つひとつのボレロはどこか歪な鳴りになるが、それが27個合わさるとまた不思議な音像になる。

といった感じです。

あまり考えたことなかったですが、クラシックは同じ楽曲を何度も演奏するのに、コピーやカバーとは言わないという話は印象的で、そこに面白みを感じたそうでした。

同一のリズムが保たれて進むボレロの一つひとつが人生のように思えるという言葉も印象的で、確かに同じ楽曲なのに、微妙な機微を感じさせるその様が、そしてそれらがひとつに合わさっているのか合わさっていないのか、絶妙な形で空間に鳴り響く様が、非常に印象的で、このイベントのテーマにぴったりだなと思いました。


去年も思いましたが、このイベントが無料というのは、どういうことなのでしょうか、、、
うまく何かの言葉に繋げることまではできていませんが、終始問いが投げかけられている環境が心地よく、充実した時間でした。
今後も機会があれば、ぜひ参加してみたいと思うイベントです。


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#ライブの記憶 #ライブ #音楽

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