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【令和5年度税理士試験】相続税法の勉強

税理士試験にトライ中のアラフォーの”元”銀行員です。15年以上務めた銀行を辞めてR4年11月からは会計事務所で働いています。

9ヶ月ぶりの記事を書きます。R5年は相続税法を受験したのですが、ボリュームが多く、noteを書く余裕がありませんでした。会計事務所に転職して1年目ということもあり、ちょっときつかったです。いやほんときつかったですね・・・

今回は相続税法の勉強について、振り返り的な話です。

※長文です。テクニック的な話はほぼありません。思ったことそのまま綴っているので読みづらいと思いますがご容赦下さい。


はじめに

受験歴。
 R3年 簿・財 合格(スタディング)
 R4年 消費税 合格(TAC Web通信)
 R5年 相続税 結果待ち(TAC Web通信)

筆者について

・昭和生まれのアラフォー
・地方国立大学の経済学部卒、体育会系の部活に所属
・新卒で銀行に入行、ほぼ法人営業畑
・R4年11月に会計事務所に転職(いわゆる「町の会計事務所」)
・マイホーム有(35年ローン)
・妻1、子1(保育園)の3人家族、共働き
・妻の実家が割と近く、子供に何かあると助けてもらえる環境

【保有資格】
・FP2級(2010年頃取得、一発合格)
・簿記2級(2012年取得、3回目で合格)
・宅地建物取引士(2014年取得、3回目で合格)
・銀行業務検定2級と3級(財務・税務・法務。外為のみ3級だけ。法務2級一回落ちる)
・証券外務員一種・二種
・生損保関連の資格(正式名称忘れました)
・税理士試験 簿・財・消

勉強時間について

教材はTACのWeb通信。

1週間あたり約20時間強
1ヶ月あたり約80時間強

単純に×12か月だと960時間だが、以下を勘案、おそらく800~900時間の勉強時間。

△勉強のスタートが9月からだった、
△2~3月の確定申告時期の約1ヶ月は土日フル出社、かつ平日もかなり遅くまで働いていた、
〇たまに土日に祖父母に子供を預かってもらって1日勉強、
〇直前期には妻にも協力してもらって土日は1日勉強、

勉強時間をもう少しブレイクダウンすると以下の通り。

・平日
 夜 約2時間
 朝通勤前 30分
  合計 約2時間30分
理論暗記は基本的に平日朝のみやり、夜は講義視聴や問題を解くというスタイル。

・土日祝日
 夜 約2時間
 昼 13時~15時の間の約2時間
  合計 約4時間
昼は子供が昼寝をしている時間。ただ、最近は体力がつき昼寝をしなくなったので妻は不満を抱えている。

相続、ボリュームが多くてきつかった

とにかく勉強ボリュームが多くてきつかった(法人・所得はもっと多いとも聞くが)。同じ税法科目の消費と比べると2倍以上。

<講義の回数>
 消費 週1回
 相続 週2回

<答練の回数>

※なお、相続は各答練を3回ずつ解いているので130回ほど答練をやっていることとなる。

講義視聴について

講義は1コマ2時間30分から3時間ほど。1.4倍速ほどで聞いていたが、自分はテキストによく書き込むタイプで、その都度講義を停めたりしていたので、夜の勉強時間では視聴しきれなかったりすることが多かった。

そのため2コマだと週3~4日くらいを講義視聴に使い、残りの時間でトレーニング問題を解くという感じ。
トレーニング問題は解けても1回だけ。正直最低2回解いてやっと頭にぼんやり残せる感じだったので、1回しか解いていないと学んだことがあまり定着しないまま次の講義に進み、新しい論点がどんどん加わっていくという感じで、精神的にきつかった。

ただ、計算については通常講義が終わる5月以降に答練の解き直しを繰り返すことで本番前にはどうにかなった(と思う)。振り返ってみると焦る必要はなかったと思う。

答練のこなしかた

TACの答練は、とにかく溜めたくなかったのでほぼスケジュール通りにこなしていた。論点理解が不十分でもとにかくやっていた。ゆえに成績はボロボロ。上位60~80%が定位置。

6月以降で大原等の外販問題なども開始。
ネットスクールのラストスパート模試は、理論もついているのでおススメ。場数が踏める。解説も比較的丁寧で良い。

財産評価の公式暗記が大変だった

「財産評価を制すものは相続税を制す」という言葉があるとかないとか。とにかく公式の暗記。暗記していないと解けない。

基礎期は講義に付いて行くので精一杯で公式をしっかり覚えることはできなかった。上級期の2回転目でようやくおぼろげに、そして5月以降の直前期の答練の繰り返しなどを通じてようやく定着してきた。

公式の定着、こればっかりは手を動かして学ぶしか方法がない。非上場株式の評価公式もややこしいが、答練では毎回ほぼ100%出題されるため、自然と覚える。

覚えづらいのがたまにしか出てこない論点。
例えば市街地周辺農地。農地は4種類あり、この「周辺」とついているやつだけ最後に80/100を乗じる。
他にセットバックを必要とする宅地は、減額する数値に70/100を乗じる。
70なのか80なのかややこしかった。

参考だが、一部の宅地の評価について
「農ハチ造成ハチ規模大ハチセットナナ仮換1年クゴ」
という語呂合わせを作って覚えた。
意味は以下。
・農ハチ(市街地周辺農地の評価、80/100)
・造成ハチ(造成中の宅地、80/100)
・規模大ハチ(地積規模の大きな宅地、0.8)
・セットナナ(セットバックを要する宅地、70/100)
・仮換1年クゴ(仮換地の評価、95/100)
困ったときに割とパッと頭に浮かぶ。苦手論点は自分なりの語呂合わせを作っておくと良い。

あと、不整形地や定期借地権の評価公式などもややこしい。苦手論点で、そして定期借地権は本試験で出題され・・・

頭を使う計算問題が苦手

問題文をよく読まないと判断できない問題。時間も食われ苦手だった。
この辺は克服できないまま本試験に臨むことに。

例えば、以下のようなやつ。
・土地と建物の所有者が違う
・土地等の貸し借りが、使用貸借か、相当の地代か、通常の賃貸借か、権利金のやり取りがあったか
・小規模宅地等に該当するか?該当する場合何に?対象となる宅地の面積は?
・宅地の評価単位 等々

不合格となった場合、敗因は明らかにこの辺の論点の理解が不十分だったこと。

国税庁の財産評価の質疑応答のページに色々なパターンが載っているため、よく見ておくべきだった。

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/01.htm

理論の暗記範囲

基本的には理論マスターにある理論はほぼ暗記。

やっていないのは3項目。題数にすると6題。
・非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予(古い方)
・更正及び決定の特則
・災害関係

暗記時間は前述したとおり、平日の出勤前の約30分。確定申告時期のしんどい時期もこの平日の理論暗記だけは継続。

ほぼすべての理論を出たら書けるという状況にもってこれたのは7月下旬頃。この時期は妻に協力してもらい土日は半日以上に勉強時間に充てるようになり、いつもは平日朝しかやっていなかった理論暗記を土日にもある程度時間を割き、1週間で1回転程度。

平日だけだと2~3週間で1回転となるが、それだけ間が空くと一番初めにやった理論が2周目に入ったとき薄くしか残っていない。短期間で回転させることで満遍なく覚えることが出来た。

前年8月から暗記を開始した

消費の時はTACを受講し始めたのが11月からだったので、暗記を本格的に始めたのは12月になってから。ただそれでも間にあった。

相続は理論数が倍以上あるので、理論マスターが届いた8月下旬から暗記を開始。生活のルーティンに。

理論解説講義は複数回聞いた

相続は上級期に入ると、3時間の講義のうち半分から2/3くらいを理論解説の時間が占める。

ただ、一度聞いただけでは理解が進まないものもあるので、昼休みにご飯を食べながら理論部分だけ再視聴。TACの場合、Webテキストもあるので、パソコンの画面だけで勉強可能。重いテキストを持っていかなくても良い。

大原の理論サブノート買った

6月頃に大原の理論サブノートも買って、TACの理論マスターと見比べた。

消費の時も理サブを買って、理マスに無い理論を抽出して理マスに貼り付け、念のため覚えた。おかげでR4年の消費では、大原のみにあった「総額表示」の問題が書けた。

ただ、相続税法については大原もTACも内容はほぼ一緒。

なお、書きぶりはだいぶ異なる。
 条文に忠実なのがTAC、
 覚えやすく多少噛み砕いているのが大原、
ということらしいが、確かにその通り。

なので良いとこどりする作戦に。
TACの理論マスターで、「これ長いなー、このまま書いたら結構時間が食われるなー、大原ではどうやって書いてるんだろう?」といった感じで大原の理論サブノートを見て、良いものがあれば大原形式で覚える。
例えば、「課税価格」に対する注釈(※)は、大原の方がコンパクト。
(※「・・・相続税の課税価格に加算した後の相続税の課税価格とみなされた金額」というやつ。)

逆に、TACの方が覚えやすい理論もある。
また、TACの方がかなり細かい柱まで書いてある。特に物納関係とか。

あと、TACの理論マスターの方がサイズが大きい。書き込みをしたり、メモを貼り付けたりするのはTACの方がやり易くて好き。大原小さい。

更に、大原の理論サブノートの文字の赤字が気になる。どうせ全部覚えるのだから全部黒字の方が良い。
ちなみにTACも「外販」の理論マスターは赤字が確か入っていたと思うが、正規の講座で配布されるものは全て黒字。

質問メールはほぼ使い切った

TACのWeb通信では、回数制限はあるものの、疑問点があるときは質問メールができる。

消費の時はほとんど使わなかったが、相続は色んなとこが気になって毎週使ってほぼ使い切った。
ただ、回答が返ってくるまで2~3日要する。もっと遅いことも。毎回同じ先生が返してくれる。通学の方であればその場で疑問を解消できると思うので、この点がWeb通信の1つのネック。

ただ、うちは共働きで、子供も小さいため、通学という選択肢はない。

計算スピードは頭打ち

消費税のときもそうだったが、相続もほとんどの答練で最終値まで出せない。解き直しでもしんどい。初見答練ではまず無理。

答練での上位成績者、満点を取っていたりしている人、仮に初学だとしたら化け物だと思う。専念生なら有り得るか。

自分は2回目の解き直しでは無理でも、3回目でようやく当初から10分以上短縮できた感じ。

思うにスピードアップができるのは主に以下の要素
①問題を読んで理解するまでの速さ
②解答をイメージして公式を駆使して答案用紙に解答を書く速さ
③電卓を叩く速さ
④文字を書く速さ

この中で一番どうにかできるのが②。相続税法の場合、公式や算出手順が明確で一本道なので、しっかり身に付いていればスラスラ書けるようになるはず。
ただ、模範解答通りに書くと時間を相当食われるので、端折ったり、数字を記号に置き換えたり自分なりに工夫した。

一方、難しいのは①。国語力が重要。もちろん場数を踏むことでも速くなるとは思うが、個人の基本スペックがモノを言うと感じる。40代から向上させるのは至難の業かと。どう足掻いてもこれ以上早くならない。

読み落としや勘違いがあるとそこでアウトなので、時間が掛かっても1つ1つ理解して、理解したら②でバッっと書くというのが一番理に適った戦略かと思う。

テキストをよく使った

苦手だなぁという論点はテキストに何度も立ち返った。
論点の説明ページと、その論点に関する演習問題がセットになっていて、基本問題を、読む・解くを繰り返しやることで理解を深めた。

本番での立ち回り

自分の場合、理論45分、計算75分というの目安にしていた。
計算にいつも時間を食われるので最低75分は確保。
更に計算は残り10分の時点で財産評価や課税価格の集計は切り上げ、税額控除を埋めるというマイルールでやっていた。

なお、理論から解く派。
また、素読みはしない派で、頭から順に読んで解くタイプ。

R5年度の本試験も同様にやった。が、計算のボリュームが少なく、税額まで出してなおかつ10分ほど時間が余る。この10分で理論を見直し柱を追記。

相続税法は勉強して本当に良かった

一般的な町の会計事務所だと中小零細企業の法人がメイン顧客。そうなるとまず切っても切れないがのが非上場株式の取引。
法人税法と所得税法の考え方も入り混じって往生したが、根本となる相続税法上の非上場株式の評価法を体系的に学べた点にもっとも価値があったと感じている。

もちろん本丸である相続申告でも役に立つ。実務はまだ1件も担当したことがないが、このボリュームを独学でやるのはかなりしんどいと思う。体系的に学べたのは本当に良かった。

R5年度本試験の所感

最後にR5年度相続税法の所感です。
予備校の解答速報等は一切見ていないので間違いがあると思います。

・理論は書けた。ただ、解答の体裁を失敗。1問目の特定事業用宅地等の判定、
丙は該当、関連規定~
Aは非該当、関連規定~
Aは該当、関連規定~
と1つ1つ書いてしまった。関連規定はまとめて書けばよかったなぁ…と途中で後悔。

・理論の2問目は持分の定めのない法人と、特定一般社団法人等について記載。どっちも書ける理論だった。解答要求事項を外していなければそれなりの点数になる(と嬉しい)。

・計算、冒頭の法定相続人の数、配偶者と親の2名。3/2と3/1。多分合ってる。簡単過ぎて逆に怖かった。多分、合ってる。

・分割財産で使った相続人の数も、多分、おそらく大丈夫。兄弟姉妹が相続人となる場合、代襲は1回まで。だいぶ下の方まで家系図が続いていたけど引っ掛けだよな?とドキドキしながら判断。

・計算は冒頭の宅地の評価、評価方法次第で50:50でどっちに転ぶかで色んなところに影響を及ぼす嫌な問題。あれは知識無かった。同族会社に貸している土地だし一団で評価するのかなぁ、でも、50%超の所有ではないし、うーん、どっちだ??とかなり考え込む。
一団で評価すると地積規模の大きな宅地に該当するし、その場合のⒷと©の数値も与えられていて…結局別個で計算。解答欄広かったのに、めちゃくちゃ余る。
また、無償返還の届出を出しているので最終値に80/100乗じた。

・事業用定期借地権、TACの阿部先生が確か一度も出たことないと言っていた論点。苦手論点。前日も勉強していたがやはり苦手。80/100との比較したら、80/100の方が小さくなり、80/100で計算した数値を最終解答に。

・小規模宅地等の判定は2つとも貸付事業用宅地等。自己株式を勘案すると50%超の保有ではないので特定同族会社事業用宅地等には該当せずと判断。ジャスト50%だったので判断に一瞬迷ったが理論マスターを思い浮かべ、確か「5/10を超える」とあったはずなので同族には当たらずと判断。

・全体的に問題が少なかったので部分点をもらえるよう、とにかく計算過程を丁寧に書いた。特に非上場株式。これも法定相続人同様、基礎的な内容(と感じたが…)で、簡単過ぎて逆に怖かった。何か見落としがあったらヤバイ。芋づる式に間違う。
ちなみに比準要素数1の会社と判定。直前期と直前々期両方のⒷ©Ⓓを書いて丁寧に比準要素数1であることを説明した(つもり)。また、1人は間違いなく原則評価だが、もう1人は5%未満且つ中心的な同族株主に該当しない株主が存在。この株主が課税時期は非役員で「申告期限までに役員に就任」とあり、特例評価とするか迷う。記憶によれば初見論点。テキストちゃんと隅まで読んでおけば良かったと後悔。結局、財産評価は課税時期で判定するのが原則?のはずだから、多分課税時期で役員じゃなきゃダメなんじゃ?ということで特例評価に。且つ配当ゼロなので2.50円で計算。

・保険1個だけ?生前贈与加算無し??ええ??

・2割加算、兄弟姉妹は必ず対象。お母さんは無しで良いはず。一親等の血族なので。

・未成年者控除、「法定相続人ではないので適用無し」とコメント付す。


以上となります。

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