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一休さんゆかり ~酬恩庵 一休寺~

日本が世界に誇るアニメキャラクター、一休さん。その一休さんのモデルとなった高僧、一休宗純が暮らし、永遠の眠りについている寺院が京都南山城地区にあります。

酬恩庵(しゅうおんあん)一休寺は南山城随一の紅葉の名所であり数多くの重要文化財指定の文化財を有しています。

今回は紅葉の一休寺を訪ねました。

※この記事は前回の続きです。前回をお読みでない方は下記のリンクからどうぞ。

■このnoteを書いている人:かまふち管理人"sho"
日本の歴史・文化・自然・世界遺産、国宝、(続)100名城、日本遺産、建築、町並み、旧街道、映画、日本酒、折り畳み自転車などに興味があります。京都/奈良/横浜/鎌倉/江の島などなど…。
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■観音寺からはタクシーで

一休寺総門

一休寺はJR田辺駅または近鉄の新田辺駅から歩いておよそ20分~25分程度のところに位置していますが、観音寺からタクシーに乗りおよそ15分で一休寺に到着します。

一休寺 参道

総門から境内に入ると石畳の細い参道がまっすぐに伸びています。緩やかな坂道となっている参道を静かに先に進みます。

一休寺 参道

間もなく右手に拝観受付がありますので、こちらで拝観料を払って境内に入ります。
■拝観料:大人500円、高校生400円、中学生300円、小学生200円

一休寺 宗純王廟の門

拝観受付前で右に曲がって少し進むと、右側に菊の紋の透かし彫りのある門があります。ここは宗純王廟と呼ばれる一休禅師の廟所です。

一休禅師は88歳で示寂じじゃく (高僧が亡くなること)し、この地に葬られました。

宗純王廟は一般公開はされておらず、菊の紋の隙間からわずかに中を伺うのみとなります。

一休寺 参道

宗純王廟の隣りには虎丘庵こきゅうあん があります。虎丘庵はもともと京都の東山にありましたが、応仁の乱のためにこちらに移築されました。

これは一休禅師74歳のときのことで、扁額の「虎丘」の文字は一休禅師によるものとのことです。

こちらも一般公開はされておらず時々特別公開されているので、見学を希望する場合は公式サイトなどで確認しましょう。

■一休寺の主要施設 庫裏・方丈へ

重要文化財 庫裏

虎丘庵先の右側の小さな門をくぐると正面に三角形の堂々たる建物が見えます。ここは一休寺の中心となる建物である方丈に続く庫裏(くり)(国指定重要文化財)です。

階段を下りて庫裏に向かう途中にも左右に重要文化財に指定された建物があるので確認しておきましょう。

重要文化財 東司

東司 とうすは寺院におけるお手洗いのこと。庫裏の手前左側にあります。

重要文化財 唐門

そして右側には唐門があります。

庫裏の建物が堂々として立派なためについ引き込まれるように歩いて行ってしまいますが、庫裏の手前左右にある二つの重要文化財の建物も忘れず確認しておきましょう。

■一休寺一番の見どころ 方丈と庭園

一休とんち話 トラの屏風

庫裏の中に入ると目の前にトラが描かれた屏風があります。そしてその隣には可愛らしい一休さんもいます。

一休とんち話の中でも有名な「屏風の虎退治」の話しがここに表現されています。

一休寺 方丈庭園 南庭

方丈から見る南庭園は、一面に敷かれた美しい白砂ときれいに刈り込まれたツツジが印象的な禅苑庭園です。

方丈の襖絵は江戸時代初期の画家である狩野探幽の手になるもの(複製・本物は宝物館に収蔵)。そして方丈奥の仏間には一休禅師の木像が安置されています(国指定重要文化財)。

一休寺 方丈庭園 北庭

南庭が江戸時代の典型的な禅苑庭園であるのに対し、北庭は禅宗寺院の枯山水となっています。

方丈 抹茶で一服

方丈をひととおり回ったら、抹茶を注文し、北庭を眺めなが暫くの間これまで歩いて疲れた体を休めます。

■自分だけの一休さんを探して

庫裏の受付には一休寺のさまざまな土産品が売られています。

一休寺納豆」は、一休禅師がその製法を伝えたといわれています。この納豆を粉末状にした「一休さんのふりかけ」もあります。

庫裏にある土産の中でひときわ目を引くのが「一休さん人形」

観光地によく売られている携帯ストラップ状の人形と思いきや、よく見ると一つひとつ大きさや形が違っています。

一休さん人形

それもそのはず、この「一休さん人形は」京田辺市で生まれ育った人形作家である"moga" こと北野深雪氏の手になるものです。

量産品ではなく一つひとつが手作りのため同じものはありません。自分だけの「一休さん人形」を探してみてはいかがでしょうか。

■本堂・開山堂へ

一休寺 本堂

庫裏を出て階段を上り参道を出たら右に進みます。小さな門をくぐるとその先に一休寺の本堂があります(国指定重要文化財)。

この本堂は山城・大和地方の唐様建築中で最も古い建造物であり、内部には本尊釈迦如来坐像、文殊普賢菩薩像が安置されています。

一休禅師像

本堂の裏側には直立して手を合わせる一休禅師像、その近くには開山堂や放棄を持って掃除をしている「少年一休像」など、そして一休寺に伝わる宝物を保存・展示している宝物殿もあります。

本堂と紅葉

■不思議な空間 二十世紀の森

一休とんち話 このはしわたるべからず

「屏風の虎」と並ぶ「一休とんち話」の双璧ともいえる「このはしわたるべからず」の細い橋を渡ると、その先は「二十世紀の森」となります。

二十世紀の森

二十世紀の森には数々の石像があります。中には有名芸能人にどことなく似ているように見えるものも。

二十世紀の森

これらの石像は十六羅鑑像を模して彫ったもの。その表情はどれも優しげで親しみやすく、何ともいえないほのぼのとした不思議な気持ちにさせてくれる石像たちです。

■旧墓地から鐘楼を見て浴室へ

茶人寸松庵の墓
能楽観世流三代音阿弥元重、十五代元章、十九代清興の墓

本堂付近から坂道を上ると旧墓地となります。

ここには茶人寸松庵の墓、能楽観世流の三代音阿弥元重、十五代元章、十九代清興の墓などがあります。

鐘楼

通路に沿って歩いて行くと左手の木立の中に佇む鐘楼の姿が見えます。この建物も国の重要文化財に指定されています。

浴室

さらに歩き進むとやはり国の重要文化財に指定された浴室が見えてきます。ここまで来ると、最初に拝観手続きをした拝観受付までもうすぐです。

モミジの絨毯
浴室

三本杉を過ぎると浴室の横に出ます。これで一休寺の散策はおしまいです。

■最後に

一休とんちロードの電信柱

今回訪れた一休寺は南山城随一の紅葉の名所とされていですが、京都市内の有名スポットと違い極端な混雑はなく、落ち着いた禅寺を静かに鑑賞することができるところです。

一休さんの「飛び出しぼうや」
駅前の一休像

一休寺とその周辺地域はとにかく一休さんでいっぱい。

一休寺からJR田辺駅または近鉄の新田辺駅までの道は、「一休とんちロード」と称して、電信柱に一休さんのとんち話が記載されています。

「飛び出しぼうや」や駅前の銅像も一休さんです。

南山城に点在する他の古寺併せて、紅葉の時期はもちろん一年を通して訪れたいところです。

■参考サイト

■一休寺
■所在地:京田辺市薪里ノ内102
■電話:0774-62-0193
■拝観時間:9:00〜17:00【最終受付16:30】 (宝物殿 9:30〜16:30)

■地図

■SNSアカウント
■ウェブサイト「かまふち」
https://www.shonan-kamafuchi.com/
■ツイッター
https://twitter.com/sho_kamafuchi/
■インスタグラム
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