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この半年で時価総額急成長中のライザップのM&Aの歴史!

とりあえずブログを書いていこうとこないだ決心したので、今週は続けれています。早くも危ないフラグが立っていますが、毎週1記事くらいは書いていきたいと思っています。

今回はつい先日時価総額が7500億を超えたライザップの決算資料から事業を分析していこうと思います。

結果にコミットするライザップで有名なライザップですが、実は健康事業以外にもいろんな事業をやっています。主に下記の四つの事業領域で事業を行なっています。

(1)美容、健康関連事業
(2)アパレル関連事業
(3)住関連ライフスタイル事業
(4)エンターテイメント事業

まずは決算数値から見ていこうと思います。


2017年3月期の通期決算の事業数値ですが、売り上げ約1000億営業利益100億超えという高収益かつ超優良企業ですね。成長率も前年度比から約2倍伸びており5期連続増収増益という絶好調ですね。


そして全てのセグメントの事業を成長させており、全ての事業セグメントから利益を創出しています。

なぜライザップがここまで急激に成長しているのかというと、主な要因として積極的なM&Aからの経営再建させていくPMI力が高いと考えられます

過去4年間で16社のM&Aを行なっています。四半期に1社ペースですね。他の企業と比べてもありえないくらいのM&Aの数であると言えるでしょう。


全ての事業セグメントでM&Aを実行し赤字企業を買収したのにもかかわらずほとんどの会社を黒字化させて急激に成長させています

以上のことからライザップの主な成長要因はこの積極的なM&Aであると言えますが、今回は直近2年間のそれぞれの買収案件の詳細を分析しようと思います。

まず下記の8社をこの直近2年間でライザップは買収してきました。

(1)北斗印刷
(2)タツミプランニング
(3)日本文芸社
(4)三鈴
(5)パスポート(東証JASDAQ)
(6)マルコ(東証2部)
(7)ジーンズメイト(東証1部)
(8)ぱど(東証JASDAQ)

上場企業4社含む8社をM&Aしてきました。これからそれぞれのM&A案件について各年度の有価証券報告書に基づいて見ていきます。

下記をそれぞれ読むと長くなるのでここにサマリーを書かさせていただきます

投資基準

投資基準としては基本的に赤字または売上の成長が止まってる会社を割安で買収するイメージです。タツミプランニングだけは例外ですが、基本的にのれん代も高くなく割安で投資してるイメージです。マーケティングがライザップの強みなので、マーケティングが弱い企業で成長が止まってる会社を割安で買収し、徹底的にコストカットとマーケティングで販売を強化し成長させています。

合計使用金額

合計の使用金額でいくと上記の8社を合わせて約121億円ですね。一社当たり15億円ですね。のれん代は-23億と超割安投資スタイルですね。

リターン

上場企業4社の株式を取得しているので下記に取得時の価格と2017年時点での保有金額を見ていきたいと思います。

(1)パスポート(東証JASDAQ) 取得時金額11億→34億
(2)マルコ(東証2部)      取得時金額28億→88億
(3)ジーンズメイト(東証1部)     取得時金額15.7億→27億
(4)ぱど(東証JASDAQ)      取得時金額10億→60億

なんと60億から約200億円にもなっていますね。この4社だけでもうすでに140億の投資益を生み出しているのですでに買収金額をペイしてますね。


(1)北斗印刷株式会社

事業の内容:商業デザインの企画・制作、写真業、印刷業、広告業
企業結合の法的形式:現金を対価とした株式取得
企業結合の主な理由: 2014年12月に子会社化した印刷業を営む株式会社エーエーディとのシナジーがより発揮されると考えたため。なお、北斗印刷株式会社は、当社グループ子会社、株式会社エーエーディを2016年4月1日付をもって吸収合併しております
取得対価:6.5億
流動資産:4.3億(内現金及び現金同等物2.5億)
非流動資産:1.9億
流動負債:1.8億
非流動負債:0.7億
純資産:3.7億
のれん:2.8億
当社グループの業績に与える影響(2015年4月1日-2016年3月31日)
売上収益:7.2億
当期利益:1.7億

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ライザップの広告宣伝の質を高めるための買収でしょうか。ちょっとよくわからないですが、素手の純利益1.7億まで成長させており、のれんも2.8億なのでこの買収は完全に成功だったと言えますね。


(2)株式会社タツミプランニング


事業の内容: 住宅新築事業、リフォーム事業、メガソーラー事業
企業結合の主な理由:株式会社タツミプランニングのノウハウ・技術のシナジーによる住関連ライフスタイル事業の商材を拡充し、当社グループ会社のRIZAP株式会社や株式会社イデアインターナショナルとの提携によるトータルデザイン住宅サービスが期待できることから同社を当社の子会社とすることとしました。
企業結合の法的形式:現金を対価とする株式取得
取得対価:25億
流動資産:54億(内現金及び現金同等物12.5億)
非流動資産:8.2億
流動負債:49億
非流動負債:9.2億
純資産:4.1億
のれん:21億
当社グループの業績に与える影響(2015年4月1日-2016年3月31日)
売上収益:22億
当期利益:1.1億

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のれんの比率は結構高いですが、イデアインターナショナルがインテリア雑貨などを提供してる会社なので、タツミプランニングのリフォーム案件にアップセルでキッチン雑貨などを売れることや、タツミプランニングは主に神奈川でビジネスをしていて年間500棟のリフォームなどを担当していて、東京に進出しようと事業展開しようとしていたところにマーケティングが強いライザップがそこを支援できるという二つのシナジーの点で買収したのでしょうか。

(3)株式会社日本文芸社

事業の内容:書籍、雑誌の出版および販売
企業結合の主な理由:当社グループは、健康増進や美容関連の書籍や、ゴルフ関連の書籍など、当社グループの商材と親和性の 高い出版物も含まれており、当社グループとの間で多面的なシナジー効果が見込めることから判断いたしま した。
企業結合の法的形式:現金を対価とした株式取得
取得対価:20億
流動資産:40億(内現金及び現金同等物7億)
非流動資産:14.5億
流動負債:15億
非流動負債:4.5億
純資産:35億
のれん:-14億
当社グループの業績に与える影響(2016年4月1日-2017年3月31日)
売上収益:42億
当期利益:2億

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衰退産業への投資ですが、ライザップの健康ノウハウに関する書籍化のシナジーとそもそも超割安で買収できてますね。純資産が35億円の企業に対し20億での買収なので。すでに利益2億出すまで成長させてますね。ライザップの書籍化をライザップがゴリゴリマーケティングして販売しまくったのでしょうか。

(4)株式会社三鈴

事業の内容:婦人服・服飾雑貨の企画・製造・販売
企業結合の主な理由: 株式会社三鈴の当社グループ入りにより、アパレル事業拡大にあたり欠かせないファッションのボリュームゾーンであるヤングエレガンス領域へのリアル店舗展開が可能となり、当社グループとのシナジー効果が見込めることから判断いたしました。
企業結合の法的形式:現金を対価とした株式取得
取得対価:4.5億
流動資産:8.1億(内現金及び現金同等物7億)
非流動資産:8.9億
流動負債:6.1億
非流動負債:3.1億
純資産:7.7億
のれん:-3.2億
当社グループの業績に与える影響(2016年4月1日-2017年3月31日)
売上収益:35億
当期利益:0.5億

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直近赤字だったので割安で買収し、徹底的にコストカットと得意なマーケで販売力強化して成長させて5000万の利益まですでに成長させてますね。

(5)株式会社パスポート

事業の内容:インテリア小物雑貨及び生活雑貨の販売、フランチャイジーへの商品供給及び販売の指導や情報の提供
企業結合の主な理由:株式会社パスポートは、インテリア雑貨を販売するチェーン店として、駅ビルやショッピングセンターを 中心にしたテナント出店で業容を拡大しており、当社グループ会社のRIZAP株式会社や株式会社イデアインタ ーナショナル、株式会社タツミプランニングとの提携による業容の拡大が期待できるため同社を当社の子会社とすることとしました。
企業結合の法的形式第三者割当増資による株式引受
取得対価:11億
流動資産:41億(内現金及び現金同等物7億)
非流動資産:19億
流動負債:35億
非流動負債:18億
純資産:7.6億
非支配持分:-2.5億
のれん:6.2億
当社グループの業績に与える影響(2016年4月1日-2017年3月31日)
売上収益:76億
当期利益:-3億

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マーケティングに強みがあるライザップとしては実店舗を多く持っているパスポートと資本提携して成長させていけると思ってのことではないでしょうか。イデアインターナショナルやタツミプランニングをこれまでに成長してる実績もあるかつ商品開発の部分ではシナジーも見込めるのでとのことですが、この資本提携は今のところ赤字を掘り続けていますが、一番最新の四半期決算短信には2000万の営業利益を出していました。見たところ不採算の店舗は退店し続けて、新しいエリアの店舗を出していますね。コストカットをしっかり行って一店舗あたりの売上も上がっていますので、今後も成長が見込めるのではないでしょうか。しっかり投資リターンを取り返せるかどうかは今後の注目どころですね。

(6)マルコ株式会社

事業の内容:体型補整用婦人下着の販売、化粧品の販売、健康食品の販売
企業結合の主な理由: マルコ株式会社が強みとする紹介等を通じた店舗運営のノウハウや年間購入会員6万人の資産を「RIZAP」においても有効活用することで、「RIZAP」の企業価値向上を図り、ひいては当社グループ及びマルコの企業価値向上に資すると判断しました。
企業結合の法的形式:第三者割当増資による株式引受
取得対価:28億
流動資産:41億(内現金及び現金同等物22億)
非流動資産:72億
流動負債:38億
非流動負債:9.3億
純資産:66億
非支配持分:-15億
のれん:-23億
当社グループの業績に与える影響(2016年4月1日-2017年3月31日)
売上収益:94億
当期利益:11億

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ライザップは店舗運営のマーケがうまいのでこういう衰退していく企業を割安で買収して徹底的にコストカットして一店舗あたりの売り上げを高めて成長させていくことに自信があるのでそれを狙った買収ですね。これだけ割安で買収してここまで成長させるライザップの企業再生力は半端じゃないですね。

(7)株式会社ジーンズメイト


事業の内容:カジュアルウェアや雑貨等を販売する専門店チェーン
企業結合の主な理由:株式会社ジーンズメイトの商品企画力・開発力・デザイン力と当社グループの有する販売ノウハウを融合することによって積極的な商品展開、店舗展開を実現すること等により、当社グループとのシナジー効果が見込めることから判断いたしました。
企業結合の法的形式:現金を対価とした株式取得、第三者割当増資による株式引受
取得対価:9.2億の現金と第三者割当増資6.5億円の計15.7億円
流動資産:41億(内現金及び現金同等物12億)
非流動資産:15億
流動負債:9億
非流動負債:6億
純資産:41億
非支配持分:-8.8億
のれん:-16億
当社グループの業績に与える影響(2016年4月1日-2017年3月31日)
売上収益:7億
当期利益:-2億

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上記のマルコ社の買収と同様でしょう。赤字企業を割安で購入して得意なマーケティングで販売強化とコストカットして成長させていくストーリーだと思います。

(8)株式会社ぱど

事業の内容:地域密着型無料宅配情報誌「ぱど」の編集・発行
企業結合の主な理由:当社グループは、「ぱど」の有する読者基盤を主たるターゲットの一つとしているため、「ぱど」を通じた当社グループ製品・商品の広告・販売促進の展開が出来ると判断したため、株式会社ぱどを当社の子会社とすることとしました。
企業結合の法的形式:第三者割当増資による株式引受
取得対価:10億
流動資産:31億(内現金及び現金同等物21億)
非流動資産:2.3億
流動負債:19億
非流動負債:5.6億
純資産:10億
非支配持分:-3.4億
のれん:3億
当社グループの業績に与える影響(2016年4月1日-2017年3月31日)
企業統合日が2017年3月31なので影響はなしとのこと。

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上記に書いてある通りライザップは年間広告費が約90億ある会社なのでその一部で広告費として買収したみたいな感じではないでしょうか。


長くなりましたが以上直近2年間ですがライザップの成長要因である8社の買収案件をまとめて見ました。コメントや色々フィードバックくれるとありがたいです!!

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