マガジンのカバー画像

読書感想文や映画レビュー

34
読書感想文や映画レビュー、です。
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

【おすすめ】開業前に読んでおきたい漫画とか【ビジネス漫画】

 開業とか独立前って必ず情報収集したり、勉強したりしますよね。でも、本は読み慣れていないし、難しいビジネス書はちょっと…という方用に、おすすめのビジネス漫画とか開業に役立ちそうな漫画をいくつかピックアップしてみました。  お役に立てば幸いです。 カバチタレ!  まずは法律を学ぼう、ということで「カバチタレ」から。様々なトラブルを法律を駆使して解決、依頼者を守るという大筋ですが、かならずしも円満解決ではないし、勧善懲悪というわけでもないのがリアルでいいですね。  印象に残っ

【読書】狭小住宅【感想文】

狭小住宅 Xにて、この小説の一部が貼られていることがあって、気になっていたので購入。  序盤繰り広げられるパワハラを超えたパワハラ(普通に暴行)の連続は、胃の痛くなる素晴らしい描写でした。この本にはあらゆる種類のハラスメントがぎっしり詰まっています。  昨今のコンプラを考えると異常とも思える暴言の数々が飛び交うわけですが、わりと芯を食った名言(パンチライン)も多く、この作品の読み応えの大半はこの辺に由来しています。  そして、前半は動のパワハラ、後半は静のパワハラとなって

【読書】朝井リョウ「正欲」【感想文】

正欲  「性欲」ではなく、「正」欲です。表紙とタイトルからはどんな物語かは想像できないかもしれません。  紹介文はこんな感じ↓  この本を知ったきっかけは「バキ童チャンネル」という芸人さんのyoutubeチャンネルでした。  そのなかで「魚がビチビチ跳ねる様に性的興奮する方へのインタビュー」という内容の動画があり、これが衝撃でした。  で、その動画内で紹介されていたのが「正欲」という小説です。  ネタバレしてしまうと衝撃が半減されてしまうので、内容については割愛しま

【読書】田房永子「キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~」【感想文】

キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~  ツイッターでよく切り貼りされているエッセイ漫画です。前々から気になっていたので、購入。  ブチギレた女性(著者)が旦那に暴力をふるいまくり、それを咎められたら逆ギレし、通報するところがよくツイッターで貼られていて、ミソジニー男性が女性叩きをするときに重宝されているようです。   しかし、読んでみるとそこは主題ではなく、著者が夫に暴力を振るう自分自身に嫌悪感を抱き、それを克服しようとする経緯が主題です。  家族とい

【読書】萩原慎一郎「滑走路」【感想文】

歌集 滑走路  最近、縁あって短歌に触れることがあったのですが、短歌いいですね。  代表的なところでは、俵万智さんの 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日  が有名です。  短歌だけではなく、自由律俳句という季語も文字数も制限のないものもあって、詩の世界、かなり面白いです。  そういえば、買ったけど読んでない詩集があったなと思って、積ん読たちを探って見つけたのが、萩原慎一郎さんの短歌集「滑走路」でした。  たしか、ネット記事でこの詩集が紹介さ

映画「首」感想(2回目鑑賞を終えて)

 北野監督最新作「首」2回目を鑑賞してきました。  1回目は聞き取れなかったセリフがあったり、よくわからないシーンもあったので、2回目観てよかったです。  さらに、原作の小説版も履修してからの鑑賞で、小説版との違いも確かめながらの鑑賞でさらに楽しめました。  ということで、2回目の鑑賞を踏まえて、あらためて感想を記事にしました。  ネタバレ全開(小説版含む)なので、未視聴の方はお気をつけください。  鑑賞1回目の感想はこちら↓ 秀吉こそ信長の後継者 今作での信長はイ

映画「首」感想

 ずっと楽しみにしていた北野武監督の最新作映画「首」を観てきました。  結論から言うと、最高の映画体験でした。  北野監督作品はほぼ全部見ていて、「アウトレイジ」シリーズが大好きなのですが、軽々とその素晴らしさを超えてしまいました。  以下、感想ですが、ネタバレやストーリーにふれる部分があるので、未鑑賞の方はご注意ください。 感動ポイント その1:異世界感がある 今回一番感動したポイントは「我々の住むこの時代」と全く違う「異世界」を覗き見た感覚です。  死生観と倫理

長く続くシステムをつくる『情報は1冊のノートにまとめなさい』を読んで

 「あらゆる情報を一冊のノートにまとめてしまおう」という内容と実践方法が書かれています。けっこう売れた本みたいです。 内容を簡単にまとめてしまうと… 1冊のノートに、とにかく全ての情報を書き込んでいくということです。  シンプル・低コストで始められ、「時系列を守る」というルール以外は特になし。とにかくすべての情報を一か所にまとめるというのが骨子。  ふと浮かんだアイディアはすぐに姿を消してしまうことがよくあります。メモをしても、メモ自体を紛失してしまうこともあります。

「裸一貫つづ井さん」人生を楽しむ達人に学ぼう

人生をつまらなく感じ、落ち込んだ時などにオススメの漫画です。オタク女性たちの創意工夫に満ちた楽しい日常エッセイ漫画、そんな感じでしょうか。  まず、人生楽しむには、楽しもうという心持こそがいちばん大事なんだと思い知らされます(私の一番好きなエピソードは、好きなキャラクターの身長の位置に壁にマスキングテープを貼り、あれこれ妄想する@腐女子のつづ井さん一巻より)  さらに、この漫画の中には他人を揶揄したり、趣味嗜好を否定するような言葉が出てきません。エッセイ漫画にありがちな説教臭

面の皮の厚さと腹黒さが大事!「秘密の成功哲学 厚黒学」を読んで

最近話題の統一教会問題を見ていると、政治家ってほんとに腹黒いし、面の皮が厚いよなーと思いますよね。政治家だから腹黒いのか、腹黒いから政治家になるのか。参考になりそうないい本があったのでシェアします。  本書では、春秋戦国時代、秦始皇帝後の項羽と劉邦、それを取り巻く名将たちや三国志の英雄たちを通じて、才能や人柄だけでは大業を成し遂げられないことを説きます。つまり、面の皮の厚さと腹黒さこそが大事と。  面の皮が厚いだけでもダメ。腹黒いだけでもダメ。両方備えようという主張がなされ

売りたいものを売るのではなく、買いたい人を探すのが先:カーマスターズ4を見て

私は「カーマスターズ」というネットフリックスで見られるリアリティ番組が大好きで、つい最近シーズン4が始まり、歓喜しています。  内容はというと、カスタム・レストアが得意なカーショップ「ゴッサムガレージ」に密着したもので、ボロ車を入手してレストア&カスタムで価値を上げ、売却もしくは、より価値の高いレストアベース車に交換、より大きな額の取引を目指すというもの。社長も従業員もみんなキャラが立っていて面白いんですよね。  トライアンドエラーや予想外の展開、トラブル、予想を上回る大成

傑作SF「法治の獣」を読んで

未知との遭遇、異星人とのファーストコンタクト。SF作品でも人気のテーマではないでしょうか。あんまりSF小説に詳しいわけではありませんが、ファーストコンタクト作品としては最高ではないかと思える作品に出会えました。  概要を読んでも何のことやらですが、本書は「主観者」「法治の獣」「方舟は荒野を渡る」という3つのSF短編集です。  基本的にはすべて、人間が宇宙に進出して、地球外生命体に出会い、関わるという話です。  「主観者」ではイソギンチャクとクラゲが合体したような発光生命体

「プロジェクトPOS―ある事業部の挑戦」を読んで

先月、お亡くなりになられた藤子不二雄A先生の作品「プロジェクトPOS―ある事業部の挑戦」  今も続くパナソニックサイクルのオーダーシステム。その、歴史ある画期的なシステムの誕生秘話を読みやすい漫画形式で描いた名作です。  残念ながら絶版のため、プレミア価格が付いてしまっています。私は運よく1700円で購入できました(それでも当時の定価980円より高い)  で、感想ですが、「まず決断する」ことの大切さを感じました。作品中に様々な課題に直面しますが、それらはすべてこの事業をや

面白ければなんでもあり:「ケモ夫人」を読んで

ヘタウマ漫画ともいえないほどの画力(失礼)ではありますが、それすらも魅力です。ケモ夫人かわいいです笑  世界観も謎で、説明もほぼありません。その辺が、私の大好きな名作SF漫画「BLAME」的なハードさを感じさせますね。理不尽な世界観で、主人公は大して語らず、周辺キャラクターとの掛け合いによって世界観が補完されていく点も似ている気がします。  内容は読んでもらえれば分かりますが、面白いです。絵が下手(失礼)なのも想像で補完する余地があって、世界観にあっている気がします。