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【伝統と革新のハイブリッド ちんぐ白】


球磨焼酎を中心に記事を書いていくつもりでしたが
詳細なスペックが分からないボトルが多く
一時休止して情報収集をしていきます。

てなわけで、またリクエスト企画に戻ります。
焼酎バーテンダー コナンです。



では 今回ご紹介する焼酎ですが
長崎の壱岐島にあります、重屋酒造の【ちんぐ白】

しかし 【ちんぐ】について書きたい事を考えれば考えるほど
壱岐焼酎とはなにか、とか、
なぜ壱岐が麦焼酎発祥の地と呼ばれているのか など
書くべきことが山積みだと気づいたのです。

てなわけで、
先ず 壱岐焼酎の説明、そのご【ちんぐ】の説明に入ります。


では、始めます。


シャンパンや コニャック バーボンetc.
この世界には定められたルールを守らないとその名を名乗れないお酒が沢山あります、

決められた場所で決められた材料を使い
決められた場所で決められたボトリングをする、などなど。

【ちんぐ】が造られる長崎県壱岐島にもこの定めに基づいて造られるお酒があります、
これが【壱岐焼酎】と言います

製法としては

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・穀類に大麦のみを用いる
・麹として米麹のみを用いる
・麹と穀類の重量比を概ね1:2としてもろみを仕込む
・壱岐市内で採水した水のみを用いる
・壱岐市内で原料の発酵および蒸留を行う
・米麹および水を原料とした一次もろみに、蒸した穀類と水を加えて二次もろみをさらに発酵させ、
単式蒸留器をもって蒸留する
・貯蔵は壱岐市内で行う
・消費者向けの容器には壱岐市内で詰める

Wikipediaより引用。
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酒質として我々にとって分かりやすい部分をざっくり言うと。
「米麹1に対して大麦2を使用」

これは壱岐焼酎を口にしたとき顕著に感じます、
余韻に日本酒を思わせるような甘い香りがあるのですが、
これこそ米麹を用いた壱岐焼酎の特徴だと思います。

法に守られた由緒正しき焼酎を造る長崎の壱岐島
なんと麦焼酎発祥の地なのです!

大陸に近い壱岐島は朝鮮と九州を結ぶ海上交通の中継地とされ交易が盛んに行われており
そんな中 朝鮮から蒸留技術が15世紀以降に伝わったようです、

1791年に書かれた文献には、壱岐島内で焼酎の表記が書かれた物があります
しかしこちらは酒粕を原料とした粕取り焼酎と思われています、

どのように麦焼酎が製造されるようになったかというと・・・

壱岐島はその昔、重税により米が少ししか手元に入らず、
年貢から外されていた麦が手元にあり、
島民は麦から造るどぶろくを楽しんでいたのですが、日持ちしないことが悩みだったそうです。
しかし朝鮮から伝わった蒸留方法を使うことで、
どぶろくが日持ちする焼酎に変わり 長く楽しまれるようになった。

とのことです。

そんな壱岐島の壱岐焼酎
島内には7つの蔵があるのですが

今回紹介するのは重屋酒造の代表銘柄
【ちんぐ白】

壱岐の方言で親友を意味する【ちんぐ】
ちなみに韓国でもおなじく親友を意味する言葉で使われています、
貿易の拠点であった土地ならではの方言ですね。

杜氏は二人おり
兄の横山雄三さん
弟の横山太三さん
が代表で造っております。

では、スペックのご紹介↓

蔵:重屋酒造
米麹:白麹1/3(壱岐産ニコマル)
麦:二条大麦2/3(壱岐産ニシノホシ・はるか二条)
酵母:確認中
蒸留:常圧と減圧のブレンド

少し前はスッキリ系代表!みたいな感じでお客様にお勧めしていましたが
よくよく飲んでみたときの クリアな第一印象、甘い余韻、ほのかに感じる穏やかな香ばしさは
常圧と減圧の長所を上手く引き出しているなと言う印象。
スッキリ系でくくっていた自分の未熟さに笑えますわー。

そんな ちんぐを造る重屋酒造ですが、
1997年ごろ、蔵の経営はとても厳しかったそうです。
しかしある日、先代の杜氏が造ったまま保存されていた古酒が蔵の別棟から見つかり、
これを販売したてみたところ
熟成されたまろやかな酒質と焼酎ブームもあり大ブレイク!
つぶれかけの小さな蔵から飛躍の一歩を踏み出しました。
しかしそれは偶然できたヒット、
今の重屋酒造がイメージする酒質設計をするため杜氏の横山兄弟は動き出します。

弟の太三さんは2013年より日本酒蔵である、佐賀の鳴滝酒造や山口の澄川醸造場で修業。
業界トップクラスの緻密な酒質設計の知識を持ち帰り、
兄の雄三さんが自社の焼酎にフィードバックしています。

そして2016年
新しくドラム型製麹機を導入
従来の麹室での手造り麹と併用することで
イメージする酒質づくりに近づけたそうです。

同時に日本酒造りを28年ぶりに再開
【横山五十】という名前で販売されました。

長崎壱岐島の伝統的なお酒を
手造り仕込と、最新の機器を用いて受け継いでゆく重屋酒造
今後にも期待です。


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